黄体形成ホルモン(LH)とは:性腺刺激ホルモンの役割・排卵とテストステロン生成

黄体形成ホルモン(LH)の働きとメカニズムを解説。排卵誘発・黄体形成から男性のテストステロン生成まで、臨床と生理学の要点をわかりやすく紹介。

著者: Leandro Alegsa

黄体形成ホルモンLHルトロピンルトロフィン)は、下垂体前葉の性腺刺激ホルモン細胞から分泌されるホルモンです。LHは糖タンパクホルモンに属し、FSH・TSH・hCGとαサブユニットを共有し、βサブユニットが個々の特異性を与えています。生理的には視床下部から分泌されるGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)のパルス様分泌により制御され、性ホルモンやインヒビンによる負のフィードバックで調節されます。

基本的な働き

  • 血中でのLHは特異的受容体(LHCGR)に結合し、主にcAMP経路を介して標的細胞のステロイド産生や分化を促進します。
  • 卵胞刺激ホルモン(FSH)と相乗的に作用し、性腺機能や生殖機能を維持します。
  • GnRHの分泌頻度によってLHとFSHの比率が変化し、性周期や性成熟に影響します。

女性における役割

雌では、周期の中期にエストロゲンの急上昇が負のフィードバックを反転させることで起こるLHサージ排卵を誘発します。LHは卵胞の最終成熟と壁の弱化を促し、排卵後には残存する顆粒膜・間質細胞を黄体へと転換(黄体化)させ、黄体からのプロゲステロンを高めて妊娠に適した子宮内膜を維持します。

LH不足は排卵障害や無月経の原因となり、逆に過剰なLH(例:一部のPCOSではLH:FSH比の上昇が見られる)は卵巣機能や排卵に影響を与えます。臨床では尿中または血中のLH上昇を利用した排卵検査薬や、生殖医療での排卵誘発のタイミング決定に用いられます。

男性における役割

男性では、LHは間質細胞刺激ホルモン(ICSH)とも呼ばれ、精巣のライディッヒ細胞(Leydig細胞)に働きかけてテストステロンの産生を促します。テストステロンは精子形成(間接的にはFSHと協調して)や二次性徴の維持に必須です。LHの不足は性腺機能低下(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)を招き、性欲低下や精子数減少を引き起こすことがあります。

分泌と調節のポイント

  • GnRHの分泌パターン(パルス頻度・振幅)がLHの分泌を決定する。
  • エストロゲンは低濃度では負のフィードバック、周期中期の高濃度では正のフィードバックを示しLHサージを誘導する。
  • プロゲステロンやテストステロン、インヒビンは主に負のフィードバックを行う。

臨床的意義と検査

  • 血中LH測定は無月経、早発思春期、思春期遅延、性腺機能不全の診断に用いられます。
  • 尿中LH検査は市販の排卵検査薬として排卵日の推定に広く利用されています。
  • 閉経期や卵巣機能低下ではLHが上昇し、逆に下垂体や視床下部の障害ではLHが低下します。
  • PCOSではLHが相対的に高くなることがあり、臨床所見やホルモンプロファイルの一部として評価されます。

治療への応用

  • 生殖医療では、排卵誘発や体外受精(IVF)でLH作用を模倣するためにhCG(human chorionic gonadotropin)が用いられ、排卵トリガーとしてLHサージを代替します。
  • 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症には、パルス性GnRH療法やゴナドトロピン補充療法(LH活性を持つ製剤を含む)で生殖機能の回復を図ります。
  • LHの過剰・不足に対する治療は原因により異なり、内分泌専門医による総合的評価が必要です。

まとめると、LHは男女ともに性腺を刺激してステロイド産生と生殖機能を調節する重要なホルモンであり、分泌のタイミングや量の変化が生理学的・病態学的に大きな影響を与えます。

排卵の予測

黄体形成ホルモンの急増を検出することは、排卵が間もなく起こることを示します。LHは尿検査キットで検出することができます。検査は毎日、排卵が予想される時間帯に行われます。陰性から陽性に変化した場合、24〜48時間以内に排卵が起こることを示唆しています。女性は2日以内に妊娠を意図した性行為または人工授精を行うことができます。

検査は、色替えのできる紙片を使って手動で読み取る方法と、読み取り用の電子機器を用いてデジタルで読み取る方法があります。





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