リンパ肉芽腫(LGV)とは|クラミジア感染による症状・検査・治療
リンパ肉芽腫(LGV)の症状・検査・治療をわかりやすく解説。クラミジア感染の原因・感染経路・リスク・早期発見と適切な治療法を詳述。
性病性リンパ肉芽腫(LGV)は、3種類のクラミジア・トラコマティスという細菌によって引き起こされるリンパ系の慢性(長期)感染症である。この細菌は、性的接触によって広がります。この感染症は、性器クラミジアを引き起こすのと同じ細菌によって引き起こされるものではありません。LGVは主にクラミジア・トラコマティスのL1、L2、L3の血清型(L1〜L3)が原因で、局所の皮膚・粘膜で増殖した後、リンパ節に波及して炎症を起こします。
LGVは世界的には熱帯・亜熱帯地域(アフリカ、アジア、南米など)で古くから報告されてきましたが、近年は北米や欧州でも再流行がみられ、とくに同性愛の男性(MSM)集団やHIV陽性者の間で報告が増えています。米国では毎年数百例が報告されていますが、診断されない症例や報告漏れがあるため実際の感染者数は不明です。
感染経路と危険因子
- 主に性的接触(膣、肛門、口腔を介した接触)によって伝播します。
- 複数の性パートナー、保護なしの性行為、MSMでの肛性交などがリスクを高めます。
- HIV陽性であることは重症化や感染のリスク因子とされています。
潜伏期間と病期
- 潜伏期間は接触後数日〜数週間(一般に3日〜30日程度)です。
- 典型的には3つの病期に分けられます。
- 第1期(原発期):性器や肛門に小さな潰瘍や丘疹ができるが、無症状または軽いのみで気づかれないことが多い。
- 第2期(局所リンパ節期):感染後数週で疼痛を伴うリンパ節腫脹(陰部・鼠径部のいわゆる「ブボ」)が出現。発熱や全身倦怠感を伴うこともある。
- 第3期(腸肛門・慢性期):治療されない場合、慢性的な瘢痕化、痔瘻(フィステル)、肛門狭窄や直腸の潰瘍・狭窄など長期的合併症を起こすことがある。
症状
LGVの症状は、細菌に接触してから数日から1ヶ月後に始まります。症状は以下の通りです。
- 最初に小さな潰瘍や水疱(痛みが少ないことが多い)
- 陰部・鼠径部の痛みを伴うリンパ節腫脹(片側または両側)— 大きくなって破れて膿が出ることもある(ブボ)
- 発熱、悪寒、全身倦怠感、筋肉痛
- 肛門・直腸感染では、血便、粘血便、腹痛、排便時の痛み、直腸出血や排便障害が起こることがある
- 慢性化すると瘢痕や狭窄、瘻孔形成などの後遺症
診断
- 病歴(性的行動、接触歴、症状)と身体診察が重要です。
- 検査は主に核酸増幅検査(NAAT:PCRなど)で、潰瘍分泌物、直腸スワブ、リンパ節穿刺(吸引)液などから検出します。血清学的検査(抗体検査)は補助的に用いられますが感度・特異度に限界があります。
- 血液検査で他の性感染症(HIV、梅毒、淋菌など)のスクリーニングを同時に行うことが推奨されます。
- 病原体の血清型(L1〜L3)を特定するには専門的な遺伝子解析が必要です。
治療
- 治療は抗生物質が基本で、最も一般的な標準治療はドキシサイクリン100mgを1日2回、通常21日間投与することです。
- ペニシリンでは効果が乏しく、クラミジアに対して有効なテトラサイクリン系あるいはマクロライド系の使用が推奨されます。妊婦やドキシサイクリンを使用できない場合は、専門医と相談のうえエリスロマイシン等の代替が検討されます(例:エリスロマイシン500mgを1日4回、21日間など)。
- 大きな膿瘍(ブボ)に対しては外科的処置(穿刺吸引や排膿)が必要になることがありますが、切開創は瘢痕や瘻孔を残す可能性があるため慎重に判断されます。
- 性的接触者(直近60日以内のパートナー)は診察・検査および治療の対象となり、症状の有無に関わらず同様の抗菌治療を行うことが推奨される場合があります(接触者追跡と同時に行う)。
予後と合併症
- 早期に適切な抗菌療法を行えば通常は良好に治癒します。
- 一方で治療が遅れると瘢痕形成、肛門直腸の狭窄や瘻孔、慢性排膿などの永続的な合併症が残ることがあります。
予防と受診の目安
- コンドームの正しい使用、パートナー数の制限、定期的な性感染症検査が重要です。
- 陰部や肛門周囲に潰瘍やしこり、痛みを感じたら早めに医療機関を受診してください。とくに発熱や腫脹(ブボ)、排便時の強い痛み・出血がある場合は速やかな受診が必要です。
- 診断確定前でも、医師が接触歴や症状からLGVを疑う場合は、パートナーへの通知と同時に早期治療(経口抗菌薬の開始)を行うことがあります。
疑わしい症状があれば性感染症を専門とする医療機関で相談を。治療後も他の性感染症(特にHIVや梅毒など)の検査を受けることをおすすめします。
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