マイア(ギリシャ神話)— プレアデスの最古の星・ヘルメスの母、アルカディアの女神
マイア — プレアデス最古の星、アルカディアの畑の女神。ヘルメスの母としての伝承や誕生・逸話を詳しく解説。
マイアは、ギリシャ神話に登場する畑や豊穣、春の成長と結び付けられる女神(またはナイアス的なニンフ)です。古代の伝承では、プレアデス星団の中で最年長とされ、特に「最も美しく、内気(シャイ)で控えめ」な姉妹として描かれます。名前の語源は古ギリシャ語の「母」「成長」を暗示するとされ、ローマのマイア(Maia)と習合して5月(May)の語源にも関係づけられることがあります。
プレアデスは、アトラスとプレオネの7人の娘たちであり、マイアはその一人です。マイアとその姉妹はすべて、アルカディアにあるサイレン山で生まれたと伝えられ、彼女たちはのちに星座(プレアデス)として夜空に上げられるという神話が伝わります。ヘシオドスなどの古典資料では、プレアデスは海と山と天空を結ぶ存在として詩に取り上げられています。
ヘルメスの母として
マイアは、他の神であるゼウスによるヘルメスの母です。伝承によれば、マイアはアルカディアの洞窟でヘルメスを産み、産後は毛布に包んで眠りについたといいます。しかし、目を覚ますと生後まもないヘルメスはすでに活発に動き回り、伝統的な物語(例:ホメロスの「ヘルメス賛歌」)では、彼は洞窟を出てテッサリアへ這って行き、やがて竪琴(リラ)を発明し、さらにアポロの牛を盗んだと語られます。後にヘルメスは発明した竪琴をアポロに贈って和解し、神々の使者・技巧の神としての地位を確立します。
その他の伝承と崇拝
マイアは母性的で控えめな性格としてしばしば描かれ、また一部の伝承では、ヘラがアーカスの母であるカリストを熊に変えてしまった際に、アーカスの世話をしたとも伝えられます。カリストとアーカスの物語はオウィディウスらに記され、のちに二人が大いなる変容(星座化)を受ける話へと繋がります。
古代ギリシャのいくつかの地方、特にアルカディアでは、マイアには小さな洞窟祠や地元の崇拝があり、彼女がヘルメスを産んだとされるキュレネー(サイレン)山の洞穴は信仰の対象でした。古典作家や地誌(パウサニアスなど)は、こうした地方的な崇拝や伝承を記録しています。
天文学的には、マイアはプレアデス星団の一星として夜空に名を残しています。古代からプレアデスは航海や季節の目印として重要視され、マイア自身も「春の到来」や「豊穣」を象徴する存在として詩や美術に描かれてきました。美術ではしばしば若い婦人として、あるいは穏やかな母として表現されます。
主な出典にはヘシオドスやホメロスの諸篇、ホメロス賛歌(特にヘルメス賛歌)、オウィディウスの『変身物語』、パウサニアスの地誌などがあり、作品や時代によって細部の異なる描写が残されています。

バルカンとマイア (バルトロメウス・シュプランガー作
関連ページ
- プレアデス(神話)
質問と回答
Q: ギリシャ神話に登場するマイアとは誰ですか?
A: マイアはギリシャ神話における畑の女神であり、プレアデスの中で最も古い存在です。
Q:アトラスとプレオネの間には何人の娘がいましたか?
A:アトラスとプレオネには7人の娘がおり、プレアデス族として知られています。
Q: マイアとその姉妹はどこで生まれましたか?
A: マイアとその姉妹は、アルカディア地方のシレネ山で生まれました。
Q:ヘルメスの父親は誰ですか?
A:もう一人の神ゼウスがヘルメスの父親です。
Q:ヘルメスはどこで生まれたのですか?
A:ヘルメスは、マイアとその姉妹が生まれたのと同じアルカディア地方の洞窟で生まれました。
Q:ヘルメスは生まれてからどうしたのですか?
A:ヘルメスは生まれた後、テッサリア地方に這い上がり、竪琴を発明し、アポロンの家畜を盗み出しました。
Q:ヘラがカリストを熊に変えたとき、マイアは誰の世話をしたのでしょうか?
A: ヘラがカリストを熊に変えたとき、マイアはカリストの息子であるアルカスの面倒を見たのです。
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