マーマネとは:ハワイのソフォラ属低木 — 生態・特徴・パリラ保全の役割
ハワイ固有の低木マーマネの生態と成長、絶滅危機のパリラ保全に果たす重要な役割を解説。
マーマネ(ハワイ語)は、ソフォラ属のハワイの低木〜小高木で、庭園にも適したハワイ固有の植物です。学名は一般にSophora chrysophyllaとされ、マメ科に属します。
特徴と生育環境
マーマネは株立ちの低木から高木まで成長し、適した条件では高さが10〜15mに達することもあります。葉は羽状複葉(個体や環境によっては葉が単葉に見える変異もある)をもち、春から夏にかけて黄色〜金色の豆状の花を穂状に多数つけます。根粒菌と共生して窒素を固定するため、土壌改良効果も期待でき、乾燥に比較的強い性質を持ちます。
ハワイ諸島の島ごと、標高や地域条件によって形態が変化する個体群があり、植物学者によって多くの地域変種や形態が記載されています。海岸付近から高地の乾燥草原まで幅広く生育しますが、放牧や外来種の侵入、火災などにより分布は局所的に減少しています。
生態的役割とパリラ(Palila)との関係
マーマネはハワイ島を中心に、ハワイ固有の鳥類や昆虫にとって重要な資源です。花はネクターを供給し、多くの在来のハチドリ類に似たハチやハチドリに相当する役割を果たすハワイのヒメドリ類(ハワイアン・ハニークリーperなど)を引き寄せますが、特に重要なのはマーマネの種子や若芽を主食とする固有鳥類、パリラ(Loxioides bailleui)との強い結びつきです。
パリラはマーマネの未熟な種子や蕾、若葉を主要な食物とし、これに適応した生理や行動を持っているため、マーマネ林の減少はパリラ個体群の減少に直結します。もしマーマネが広域で失われれば、パリラなどマーマネに依存する種は重大な危機に直面します。現在、パリラは絶滅危惧種として保護対象になっており、マーマネの保全はパリラ保護の中心課題の一つです。
脅威と保全対策
- 脅威:放牧動物(ヤギ、シープ、家畜)の食害、外来植物による競合、火災、病害、そして土地利用の変化による生息地破壊が主な脅威です。
- 保全対策:フェンスによる放牧動物の排除、外来種の管理、種子採取と育苗による植栽(再導入)、火災対策、地域コミュニティと連携した保全活動が行われています。
園芸・栽培のポイント
マーマネは在来種のランドスケープ植物として注目され、乾燥する場所や日当たりの良い環境で育てやすいです。種子からの栽培は可能ですが、発芽促進のための種子処理(軽い擦り傷や熱湯処理などの砂嚢化処理)が有効なことがあります。土壌は水はけの良いものを好み、若木期は過度の湿潤や重粘土を避けると生育が安定します。庭園での利用は在来生態系の再生や花蜜・種子を求める在来動物の回復に寄与しますが、地域の生態系保全に配慮して、遺伝的に適切な種・系統を用いることが推奨されます。
総じて、マーマネはハワイ固有の生態系で重要な役割を担う種であり、その保全は在来の鳥類や植物群落の維持に不可欠です。積極的な生息地管理と地域レベルでの取り組みが、マーマネとそれに依存する生物の将来を左右します。
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