マンボとはアフロ・ラテンのリズムとダンス、ヴードゥーの解説

蛇のマンバと混同しないこと

マンボとは、アフロ・ラテンに関連する言葉である。最も一般的な意味は

  • マンボ(リズム):キューバまたはアフロキューバの音楽のリズムとそれに関連したダンス。1950年頃、ハバナで考案された。 - 起源は1930年代末にさかのぼる「ダンソン=マンボ(danzón-mambo)」の流れにあり、ダンスとブラス主体のアレンジが発展して独自のスタイルになった。特徴はシンコペーションを強調する打楽器群(コンガ、ボンゴ、ティンバレス等)と、ホーンやピアノによるリフ(モントゥーノ)的な掛け合い、そしてダンサーが自由に即興するための強いアクセントを持つイントロやブレイクがある点である。代表的な演奏者にはオレステス・ロペスやアルセニオ・ロドリゲス、のちにデアマソ・ペレス=プラードなどがいる。
  • マンボセクション: キューバ(およびカリブ海)音楽のいくつかの種類にある音楽のブリッジまたはセクションです。 - この「マンボ・セクション」は曲の中間でエネルギーを高めるために設けられることが多く、ホーンの短いフレーズを反復させながらリズムが強調される部分を指す。ダンサーはここで身振りを大きくし、ソロやコール&レスポンスが展開されることが多い。ジャズやビッグバンド風の編成でも同様の役割を果たすことがある。
  • マンボ(ブードゥー教)。ハイチ語でヴードゥーの巫女を意味する。 - この用法ではマンボは宗教的な役割を担う女性 priest(巫女)で、儀式の執行、霊との仲介、歌やリズムによる儀礼の導き、信者の教育やイニシエーション(入門)などの役割を果たす。男性の司祭は一般に「ウンガン(houngan)」と呼ばれる。ハイチの文化・宗教的文脈では、マンボはコミュニティにとって重要な精神的指導者であり、その資格や役割は伝統に基づく厳格な訓練や継承を伴う。

起源と歴史(音楽としてのマンボ)

マンボはキューバ音楽の中で他のジャンル(ダンソン、ソン、ルンバなど)と混ざり合いながら形成された。1930年代末から1940年代にかけて、都市部でのダンス文化の中でホーン・リフと強いパーカッションの組み合わせが発展し、1940〜50年代にはメキシコやアメリカ合衆国にも波及して「マンボ・ブーム」を引き起こした。ダンス・ミュージックとしては速く力強いビートが特徴で、社交ダンスやクラブで広く楽しまれた。

音楽的特徴と編成

典型的なマンボは、ドラム系のリズム(クラーヴェのパターンに基づくことが多い)、ピアノのモントゥーノ(繰り返しフレーズ)、そしてホーン(トランペット、トロンボーン等)による短いリフを組み合わせる。初期はチャランガ編成(フルート・弦楽器中心)やコンボ編成だったが、のちにビッグバンド的な編成も登場した。即興のソロやコール&レスポンスの要素も強く、ダンサーの動きと音楽の相互作用が重要である。

ダンスとしてのマンボ

マンボのダンスは、ステップにおけるアクセントとシンコペーションを重視する。ベーシックステップは比較的単純だが、ヒップの動きや腕の使い方、シャープな体の切り替えが特徴で、ペアダンスではパートナーとのタイミング合わせと即興的な装飾が求められる。チャチャチャやサルサといった後のラテン系ダンスにも影響を与えている。

ヴードゥー(ブードゥー)におけるマンボ

ハイチの宗教的用語であるマンボは、コミュニティの精神的・宗教的な実務を担う女性であり、儀式の司会、霊媒、歌やリズムを用いた儀礼の実施、信者の導きといった役割を持つ。マンボになるには伝統的な訓練と地域コミュニティ内での承認が必要で、宗教儀礼や祝祭で中心的な存在となる。

なお、「マンボ」は音楽や宗教以外にも多くのレコードや楽曲タイトルとして用いられてきた。たとえばデアマソ・ペレス=プラードなどの代表曲にもその名が見られ、世界中のダンス文化に影響を与え続けている。


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