アルテジアン帯水層(アーテシアン井戸)とは|定義と仕組み
アルテジアン帯水層(アーテシアン井戸)の定義と仕組みを図解で解説。圧力で湧き出る原理、涵養域・地質条件、実例と利用法までわかりやすく紹介。
アルテシアン帯水層とは、地下水を上からと下からの不透水層に挟まれて圧力(静水圧)下で保持している被圧帯水層のことです。地面を貫通してこの帯水層に達するような孔(井戸)を掘ると、帯水層内の水圧により井戸内の水位が周囲の地下水位より高く上昇します。このような井戸を「アーテシアン井戸」と呼び、自然の圧力が十分に高ければ水が地表まで自噴することもあり、その場合は自噴井(flowing artesian well)と呼ばれます。
仕組み(被圧の発生と維持)
帯水層自体は砂礫、石灰岩、砂岩などの多孔性・透水性のある地層で構成され、ここに水が貯留・流動します。アルテシアン帯水層は上下を不透水層(粘土や緻密な岩盤)で挟まれており、外部と直接連通しにくいため、帯水層内の水は系全体の静水圧を受けます。圧力の源は、帯水層の水が補給される涵養域(recharge area)が、利用する地点より標高が高い場合や、かつての気候条件で封じ込められた水(化石水)が含まれている場合などです。一般に、水が帯水層に戻るのは、涵養域の水位が井戸の水位よりも高くなったときであり、その差が静水圧となって井戸内の水位を押し上げます。
化石水や加圧の類似例
化石水の帯水層は、何千年・何万年の間に閉じ込められて外部からの補給がほとんどないことがありますが、周囲の岩盤の圧力が高ければアルテシアン的な状態になります。これは新しく掘削された油井が持つ加圧状態に似ており、掘削時に貯留流体が圧力で噴出することがあるのと同様です。
利用と管理上の注意点
- 利用例:アーテシアン井戸は農業用水や飲料水の供給、工業用水に利用されます。自然に自噴する場合は揚水ポンプを使わずに水が得られる利点があります。
- 過剰な揚水のリスク:帯水層からの過剰な汲み上げは圧力を低下させ、井戸の自噴が止まる・水位が低下する・周辺地盤沈下を招くことがあります。
- 汚染の防止:被圧帯水層は比較的保護されているものの、井戸の施工不備や上部からの漏水により汚染される恐れがあります。適切なセメントパッキングやケーシングが重要です。
- 長期管理:涵養域の保全や揚水量の管理、モニタリングによる水位・水質の把握が必要です。地下水利用は地域の持続性に配慮することが求められます。
まとめ
アルテシアン帯水層は、上下の不透水層に挟まれた被圧帯水層で、涵養域の高い水位や封じ込められた水圧により井戸内の水位が自然に上昇する特徴があります。アーテシアン井戸は有用な地下水源ですが、持続的な利用には圧力低下や汚染を防ぐための適切な管理と保全が不可欠です。
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アルテシアン・ウェルの図面

アルテジアンウェルを生み出す地層。

メッセルピットのアルテシアンウェル。
オリジン
アルテジアンウェルは、フランスの旧アルトワ県にちなんで名付けられました。1126年からカルトゥジオ会の修道士によって多くのアルテシアン井戸が掘られた。
所在地
オーストラリア、アメリカ、スペイン、イタリア、イギリス、フィジー、カナダなど、多くの国にアルテジアン帯水層があります。大アルテシアン盆地は、世界で最も大きく、最も深いアルテシアン盆地で、オーストラリア大陸の23%を占めています。
質問と回答
Q:アルテシア帯水層とは何ですか?
A:アルテシアン帯水層とは、地下に圧力がかかっている地下水の層です。
Q: 人工帯水層で井戸の水位が上昇する原因は何ですか?
A:井戸の水位は、水の重さに等しい圧力がかかるところまで上昇し、アルテシアン帯水層の圧力を受けます。
Q:流動性アルテシアン井戸とは何ですか?
A: 自然圧が十分に高ければ地表に到達する井戸のことです。
Q: 帯水層とは何ですか?
A: 帯水層とは、砂礫、石灰岩、砂岩などの水を保持できる地質層のことで、その中を水が流れ、貯留されます。
Q:帯水層に圧力がかかる原因は何ですか?
A:帯水層は、岩石や粘土の間に挟まれているため、圧力がかかっているのです。
Q: 水はいつ帯水層に戻るのですか?
A:涵養帯の水位が井戸の水頭より高い位置にあるとき、帯水層に水が戻ります。
Q: 化石水帯水層はアルテシアンになり得るか?
A: はい、化石水の帯水層は、周囲の岩石から十分な圧力がかかっていれば、アルテシアンにもなりえます。
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