メサベルデ国立公園(Mesa Verde National Park)は、アメリカ合衆国の国立公園であり、ユネスコの世界遺産である。アメリカ合衆国コロラド州モンテズマ郡にある。1906年に設立され、世界で最も保存状態の良い崖の住居の一部を保護するために作られた公園で、1978年にユネスコの世界遺産に登録された。
公園はフォーコーナーズの近くにある81.4平方マイル(211平方キロメートル)を占め、台地(メサ)と深い渓谷が連なる高地地形を含んでいます。この地域には、かつてアナサジ族と呼ばれてきた現在では「先祖代々プエブロ人(Ancestral Puebloans)」と総称される先住民族が築いた家や村の遺跡が数多く残されています。これらの人々は長い間この地に定住し、石造りの共同住宅や儀礼的空間を発達させました。
最初期の住民はバスケット製作を得意とする小規模な集落で暮らしており、当初は主にメサ(台地)の上に住んでいましたが、やがて断崖の張り出し(崖のくぼみ)に建てられた住居へと移り住むようになりました。狩猟採集からより定住的な農業を始め、トウモロコシや豆、カボチャなどを栽培するようになり、狩猟具も進化していきました。西暦750年頃にはアドビ(泥煉瓦)や石造りのメサトップの村が形成され、12世紀後半から13世紀にかけて現在よく知られる崖の住居群の建設が本格化しました。
メサベルデは、洞窟や崖の露頭の下に築かれた「崖の住居(cliff dwellings)」で最もよく知られています。スペイン語で、「メサベルデ」という言葉は英語に訳すと「緑のテーブル」という意味になります。公園内では4700以上の考古学的遺跡が記録されており、そのうち約600が崖の住居です。代表的な遺跡には、最大級の崖の住居であるクリフパレス(Cliff Palace)、保存状態が良いスプルース・ツリー・ハウス(Spruce Tree House)、バルコニー・ハウス(Balcony House)やロング・ハウス(Long House)などがあります。
建築技術としては、切石を積み上げた石組みと泥灰(モルタル)、丸太(ビガ)を梁に使った屋根構造、地下や半地下の儀式空間であるキヴァ(kiva)が特徴です。住居は共同体ごとに複数の部屋を持ち、多世代で生活・貯蔵・儀礼が行われました。出土品には精巧な土器、織物の断片、籠、石器、装飾品などが含まれ、当時の高度な日常生活と工芸技術をうかがわせます。
13世紀末に多くの集落が放棄された理由については諸説あります。長期間にわたる干ばつや農地の枯渇、資源の過剰利用、社会的・宗教的変動、地域間の緊張などが複合的に影響したと考えられており、放棄後の移住先としてはリオグランデ流域や現在のプエブロ諸集落へ移ったグループがあるとされています。現代のホピ族、ズニ族、その他のプエブロ諸族は先祖代々プエブロ人の子孫とみなされています。
メサベルデ国立公園はアメリカ国立公園局(National Park Service)によって管理されており、考古学遺跡の保存と研究が継続的に行われています。一般公開されている崖の住居はレンジャーによるガイド付きツアーでのみ内部を見学できるものが多く、安全確保と保存のため公開範囲が制限されている場所もあります。訪問者は出土物の持ち帰りや遺跡への損傷を避けるため、現地のルールに従う必要があります。
観光情報としては、チャピン・メサ(Chapin Mesa)にある博物館やビジターセンターを起点に遺跡群へアクセスするのが一般的です。公園内には展望ポイントや散策路、ピクニックエリア、キャンプ場などの施設が整備されていますが、宿泊施設や追加のサービスは周辺の町(例:コロラド州のモンテズマ郡や近隣の観光地)に依存することが多いので、事前に計画を立てることをおすすめします。
メサベルデは、先史時代の住居技術と共同体生活、そして現代のプエブロ文化につながる重要な文化遺産を保存する場所です。歴史・考古学・人類学に関心のある訪問者にとって、非常に学びの多いフィールドとなっています。