AS-90(Artillery System for the 1990s)は、軽装甲の155mm自走榴弾砲で、イギリス陸軍で運用されている。開発は1980年代末から進められ、1993年に実戦投入が始まった。AS-90の正式名称はGun Equipment 155 mm L131で、機動性と火力を重視した車両設計が特徴である。

開発と生産

AS-90はVickers Shipbuilding and Engineering(VSEL、1999年以降はBAE Systemsが所有)によって設計・製造された。1992年から1995年にかけて179両が生産され、製造費用は総額でおよそ3億ポンドとされる。配備は主に機甲部隊と連携する形で行われ、射撃支援任務に重点が置かれた。

配備と運用部隊

AS-90は、英国王立馬術師団(Royal Horse Artillery)や英国王立砲兵の複数部隊で使用され、合計で5連隊で配備された。冷戦終結後から複数の国際任務や演習に参加しており、実戦や平時の射撃支援で運用実績を積んでいる。

設計の特徴

  • 砲塔と主砲:口径155mmの榴弾砲を搭載。基本型は短中砲身仕様で、高速の弾幕展開が可能である。
  • 装甲:乗員の生存性を考慮した軽装甲構造で、対小火器および砲片に対する防護を持つ。
  • 機動力:履帯式車両で、走破性と機動性を両立。道路移動速度は実戦仕様での機動を想定した設定になっている。
  • 乗員:車長、操縦手、射手、装填手など複数の乗員で運用する。

火力と弾薬

AS-90は従来の155mm榴弾を使用し、弾種として通常榴弾のほか、加速・伸長性能を持つ特殊弾(ベースブリード弾・ロケット補助弾頭=RAP)や精密誘導弾などを使用できる。2002年にBAEシステムズによって提案された強化計画では、96両のAS-90に52口径の長砲身を装備して射程を延伸する案があり、これにより通常弾での射程が約30km、専用の特殊砲弾を用いれば60〜80kmの到達が見込まれていた。しかし当該プロジェクトは最終的に中止された。

近代化と派生計画

AS-90に対する近代化案には、砲身延長や火器管制システムの更新、弾薬自動装填機構の導入などが含まれてきた。これらの改修は射程と発射効率、各種弾薬への対応力を高めることを目的としているが、予算や運用要求の変化により一定の計画は凍結・見直しされた。

運用実績と評価

1990年代以降、AS-90は各種国際任務や多国籍演習で使用され、英国陸軍の主力自走榴弾砲として安定した運用実績を持つ。評価としては、堅実な射撃性能と機動性を両立する一方で、さらなる射程延伸や自動化といった面で近年の最新自走砲と比べて更新の必要性が指摘されている。

まとめ

AS-90は英国が独自に導入・運用した155mm自走榴弾砲であり、1990年代から英国陸軍の火力中核を担ってきた車両である。生産数は限られるものの、実戦投入を通じて信頼性を確立しており、将来の運用では近代化改修や後継システムの導入が検討されている。