科学工学産業統計などの分野では、測定の精度や正確さには特別な意味があります。

  • 正確さ(Accuracy)とは、あるの測定値の平均がその実際の値(真の値)にどれだけ近いか、すなわち系統的なずれ(バイアス)が小さいかを示します。
  • 精密さ(Precision)とは、同じ条件で測定を繰り返したときに結果がどれだけ揃うか、すなわち測定値のばらつき(散らばり)が小さいかを示します。通常、標準偏差や分散で表されます。

測定システムは、正確だが精密ではない、精密だが正確ではない、どちらでもない、あるいはその両方である可能性があります。例えば、ある実験のやり方に誤りがあった場合、サンプルサイズを大きくすると一般に測定のばらつきは小さくなり(精密さは向上します)、平均値の不正確さ(系統誤差)は変わらないため正確さは向上しません。結果として、欠陥のある実験から得られる一貫性のある、しかし不正確な値が得られることになります。系統的な誤差(バイアス)を除去または補正すると正確さは改善されますが、測定のばらつき(精密さ)自体は変わらないことが多いです。

例えと定量的指標

よく使われる比喩として射撃の的があります。的の中心(真の値)を狙うとき、

  • 弾が集中して中心付近にまとまる:正確かつ精密(良い測定)
  • 弾が集中しているが中心からずれている:精密だが正確ではない(系統誤差あり)
  • 弾が中心の周りに広く散らばるが平均が中心に近い:正確だが精密ではない(ランダム誤差大)
  • 弾がばらばらで中心からもずれている:正確でも精密でもない

定量的には次のように表されます:

  • バイアス(偏り) = 測定値の平均 − 真の値。バイアスが0に近いほど正確
  • 精密さの指標 = 標準偏差(σ)や相対標準偏差(RSD)。値が小さいほど精密
  • 平均二乗誤差(MSE) = バイアス^2 + 分散。総合的な誤差を評価する際に有用。

誤差の種類と原因

  • 系統誤差(Systematic error / バイアス):装置のキャリブレーション不良、方法の誤り、一定の環境条件(温度や圧力)の影響などにより、測定値が一方向にずれる。繰り返しても同じ方向にずれるため、サンプル数を増やしても解消されない。
  • ランダム誤差(Random error / ばらつき):測定器のノイズや操作のわずかな差、試料間の微小な変動などによって生じ、測定ごとに異なる方向に散らばる。サンプル数を増やすことで平均的な誤差は小さくなる(標準誤差は1/√nに比例して減少)。

改善・対策

  • 正確さ(バイアス)を改善するには:標準物質や既知値との比較によるキャリブレーション、方法や手順の見直し、外的要因の補正(温度補償など)が必要。
  • 精密さ(ばらつき)を改善するには:測定回数を増やす、測定手順の標準化、機器のメンテナンスや高精度な装置を用いる、測定者の訓練を行う。
  • データ解析上の対策:外れ値検査、分散分析、信頼区間や標準誤差の報告を行い、どちらの問題(系統誤差かランダム誤差か)かを区別する。

測定システムは、正確さ精密さを兼ね備えていれば有効である。関連する用語として、バイアス(独立変数とは無関係の要因または因子によって引き起こされる非ランダムまたは指向性の効果)やエラー(ランダムな変動)がある。実務では、測定目的に応じてどちらを優先すべきか(極めて正確な平均値が必要か、個々の測定のばらつきを小さくする必要があるか)を判断し、適切な検証と補正を行うことが重要です。