ナガム・ナウザト・ハサン:ISIS被害ヤジディ女性を救うイラクの婦人科医(2015年受賞)

ナガム・ナウザト・ハサン—イラクの婦人科医がISIS被害のヤジディ女性を救出・医療・心理・性的虐待支援。2015年国際勇気ある女性賞受賞。

著者: Leandro Alegsa

ナガム・ナウザト・ハサン(アラビア語:نغم نوزات حسن、英語表記:Nagham Nawzat Hasan)またはナガム・ナウザットは、イラク出身の婦人科医で、性的暴力や強制移動の被害を受けたイェジディ(ヤジディ)女性・少女たちの支援で国際的に知られている。2015年、国際勇気ある女性賞を受賞した。

経歴と背景

ナガム・ナウザット・ハサンは、クルド地域で医療に従事する婦人科医として研鑽を積んだ後、宗教的少数派であるイェジディ(ヤジディ)コミュニティに深く関わるようになった。2014年のシンジャール陥落以降、イスラム国(ISIS)による大量虐殺や拉致、性暴力が大きな社会問題となる中、彼女は現地での医療・心理的支援の最前線に立った。

救援活動と支援の内容

ハサンは、ISISに拉致されたイェジディ教徒の少女や女性たちを対象に、以下のような支援を行っている:

  • 身体的ケア:避妊・妊産婦ケア、性暴力による外傷の治療、性感染症の検査・治療などの婦人科医療。
  • 心理的支援:トラウマケアとカウンセリングの提供、必要に応じた精神保健専門家への連携。
  • アウトリーチ活動:難民キャンプや避難先を訪問して支援を伝え、被害を受けた少女たちが診療所に来ることを促す取り組み。
  • 啓発・教育:地域や医療従事者を対象に、性的虐待の被害者支援と偏見の解消を目的とした教育・研修活動を実施。

また、彼女は被害者支援や性的虐待に反対するプログラムとして「私はエジディ-ハラスメントに反対します」といった取り組みを始め、性暴力を受けた女性たちが声を上げやすくする環境作りにも力を注いでいる。

受賞と評価

2015年の国際勇気ある女性賞を受賞したことで、ナガム・ナウザット・ハサンの活動は国際的な注目を浴びた。この賞は、困難な状況下で人権や女性の権利を擁護した女性リーダーに贈られるものであり、受賞は彼女の尽力が医療・人道支援の分野で高く評価されたことを示している。

影響と課題

ハサンの活動は、直接的に多くの被害者を救い、地域社会における性暴力の可視化と支援体制の整備に寄与した。一方で、被害者の社会復帰や偏見の解消、長期的な精神的ケアの確保など、多くの課題が残されている。資源や専門人材の不足、地域の安全保障状況の不安定さも支援活動の継続を難しくしている。

ナガム・ナウザット・ハサンは、医師としての専門知識を生かしつつ、被害者に寄り添う支援を続けており、地域社会や国際社会に対して性的暴力の被害に対する理解と行動を促す重要な役割を果たしている。

2016年、ジョン・ケリー米国務長官とナガム・ナワザット氏Zoom
2016年、ジョン・ケリー米国務長官とナガム・ナワザット氏

受賞歴

  • ソリダル・ヒューマン・ライツ・シルバーローズ賞(2016年)。
  • 国際女性勇気賞、2016年。


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