概要
ナンナは古ノルドの女神で、主にバルドルの妻として、彼の死を語る資料に登場する。現存する文献では、彼女は戦いや豊穣よりも、愛、喜び、静かな家庭的結びつきと結び付けられている。神話の中での役割は大きくはないが感情面では中心的であり、彼女の運命はバルドルの喪失と、神々の共同体の中でその殺害がもたらした道徳的な帰結と結び付いている。
伝承と中心的な物語
ナンナについての主要な記述は『詩のエッダ』と『散文のエッダ』にあり、そこでバルドルの死の物語が語られる。バルドルはロキと盲目の神ヘズが関わる策略によって殺され、その後ナンナは悲しみのあまり死んだと伝えられる。彼女はバルドルの葬送船に載せられ、彼とともに焼かれた。後代の伝承では、彼女の像あるいは霊が死者の国へ向かうバルドルに同行したともされる。これらのエピソードは短いが、北欧神話における喪失と和解の主題にとって重要である。
特徴と解釈
- 役割: バルドルの伴侶・配偶者であり、愛情と家庭の調和を象徴する。
- 神話上の機能: 彼女の死は、バルドル殺害が引き起こした悲嘆を強調し、ヘルから彼を取り戻そうとする試みの動機付けにもなる。
- 伝承の状況: 残されている言及はごく少なく、多くの細部は不確かで、学者の間でも議論がある。
補足と名称の問題
現代の要約の中には彼女を月の神と混同するものもあるが、北欧神話における月の擬人化はマーニであり、ナンナが古ノルド資料で月の女神として確認されることはない。彼女の名が他文化の神格、たとえばメソポタミアの「Nanna/Sin」と似ているのは偶然であり、機能が同一である証拠とみなすべきではない。
後世への影響と文化的な注記
ナンナは後代の文学や芸術において、しばしば哀悼と夫婦の忠実さを表す詩的・芸術的な存在として用いられてきた。原資料が限られているため、現代的な描写はさまざまであり、優しさと喪失を強調するものもあれば、ロキの欺きが広い神話の循環にもたらした悲劇的結果を探るものもある。
バルドルとナンナのより詳しい物語と、神々がその罪にどう応じたかという神話年代順での位置づけについては、バルドルの死や、彼をヘルから取り戻せなかったこと、そしてアース神族への影響に関する記述を参照するとよい。これらの出来事の背景は、北欧神話の主題や関連研究の要約でも確認できる。