ネフティスとは:オシリス神話で活躍するエジプトの死と魔術の女神

ネフティスは古代エジプト神話における重要な女神で、「優秀な女神(The Excellent Goddess)」や古代語名の一訳である「家の主(Nebet-ḥt)」と呼ばれます。暗闇、死、腐敗に結び付けられる一方で、強力な魔術と治癒の力を持ち、王や死者を守る守護者としての役割も担いました。伝承の中では、王の敵を燃えるような息で滅ぼすほどの危険な側面が語られ、そのため王権の守護神の一柱と見なされることもありました。

役割と象徴

ネフティスはしばしば女性の姿で表現され、頭部には自分の名を表す象形文字を載せて描かれます。翼を広げて棺を覆う姿や、凶鳥(しばしばカイトに類する鳥)として描かれることも多く、死者の保護や蘇生に関する象徴が強調されます。エジプトの葬送文書(ピラミッド・テキスト、コフィン・テキスト、死者の書)にも繰り返し現れ、死者を冥界への旅から守る存在として重要視されました。

オシリス神話での役割

ネフティスはイシス、オシリス、セトと並ぶ名高い一族の一員で、特にイシスと対をなして行動することが多いです。オシリスの死と復活の神話においては、イシスと共にオシリスの遺体を探し出して保存し、復活の儀式を助けたとされます。また、幼少期のホルス(オシリスの子)を保護し育てたのもネフティスの魔力と慈護によると伝えられています。こうした物語群により、彼女は哀悼・保護・魔術的介入の女神としての地位を確立しました。

葬儀・カノープスとの関係

葬送の場面ではネフティスは死者の守護者として機能します。四つのカノープス壺(臓器保存用容器)と関連づけられる伝承もあり、ヒヒの頭をした守護神ハピ(Hapi)を守る存在として語られることがあります(地域や時代による変異あり)。この関係は彼女が肺や呼吸、死後の保護に関わることを示唆します。

崇拝と後期の変化

ネフティスの崇拝は古王国以来続き、葬礼儀礼や王権儀礼に深く関与しました。墓や神殿のレリーフ、呪術的な護符にも頻繁に現れます。後期(新王国以降〜プトレマイオス、ローマ期)には他の女神と結びつけられることが増え、地域や時代によってはアヌケト(Anuket)などと同化・同一視される例も見られます。こうしたシンクレティズムは、神格の役割が時代とともに拡張・変容したことを示しています。

総じて、ネフティスは死と暗闇の側面を持ちながらも、護りと再生の力を併せ持つ複層的な女神です。イシスと並ぶ伴侶的存在として、また葬儀と王権を支える重要な守護者として、古代エジプト宗教の中で長く尊崇されました。

赤いドレスのネフティスZoom
赤いドレスのネフティス

ファミリー

神話によると、ネフティスには多くの兄弟がいた。両親は大地の神ゲブと天空の女神ヌトである。彼女はイシスオシリスの妹であり、セトの姉/双子であり妃であった。ネフティスはまた、黒い肌のジャッカルの頭を持つアヌビスの母でもある。



カルト

ラメシド・ファラオの第19王朝では、オキシリンコスとヘラクレオポリスの中間にあるセペルメルの町に、「ラメセス・メリアムンのネフティスの家」というネフティスの神殿が建てられ、現在のデシャシェの近郊にあった。




AlegsaOnline.com - 2020 / 2025 - License CC3