概要
国立ブラジル博物館(Museu Nacional)は、1818年に設立されたブラジル最古の科学機関である(機関史)。リオデジャネイロのパッソ・デ・サン・クリストヴァン宮殿に置かれ、長年にわたり、アメリカ大陸における自然科学と文化研究の主要拠点の一つとして知られてきた。リオデジャネイロ連邦大学の一部として、同博物館は公開展示と学術研究・教育を結びつけていた。
コレクションと研究
2世紀以上にわたり、同博物館は分野横断的な比較研究を支える多様な資料を収集してきた。コレクションには、自然史(natural history)、古生物学、植物学、動物学の標本や記録に加え、先住民および植民地時代の歴史に関わる考古学、歴史学、民族学資料が含まれていた。文化研究を担う部門には、世界中の研究者が利用してきた豊富な人類学(anthropology)資料があった。
建物と歴史的発展
帝政期の宮殿に収められたこの博物館自体も、ブラジルの政治的・文化的変遷を映す文化遺産の一つだった。ポルトガル王室のブラジル滞在期に創設され、19世紀から20世紀にかけての科学探検、寄贈、国際交換を通じて拡大した。研究室、図書館、展示室は、何世代にもわたる研究者と保存修復専門家を育てた。
2018年の火災とその影響
2018年9月、大規模な火災が博物館建物を襲い、構造の大部分と多くの代替不可能な資料が失われた。この出来事を受け、博物館職員、大学、国際的な協力機関が動員され、緊急の救出と記録作業が直ちに始まった。多くの資料や記録が失われた一方で、一部の遺物、アーカイブ、デジタル・バックアップは回収され、さらにこの惨事は保存政策と危機対応の重要性への関心を高めた。
意義、復旧、現在の状況
国立ブラジル博物館は、いまもブラジルの科学的遺産と文化的多様性を象徴する中心的存在である。宮殿の修復、残存資料の保存、展示の再構築は継続中であり、公共部門、学術機関、国際的な協力のもとで進められている。博物館は研究の発信、救出されたコレクションの管理、アウトリーチの展開を続けながら、将来の来館者と研究者のために機能を再建している。
注目点
- 1818年に創設され、長く公開教育と学術科学の両面で活動した。
- コレクションは自然科学、考古学、歴史、民族学にまたがっていた。
- 2018年の火災は大きな損失をもたらしたが、国際的な保存修復の取り組みと政策議論も促した。
- 復旧は、構造再建とともにデジタル化、研究、地域との関わりを組み合わせて進められている。