海軍旗・軍艦旗とは?定義と掲揚位置、各国(米英)の違い
海軍旗・軍艦旗の定義から掲揚位置、米英の違いまで図解でわかりやすく解説。実例と掲揚ルールを比較して詳述。
海軍の軍艦旗は、船の背中に掲揚されます。国によっては、海軍旗の代わりに国旗を軍艦に掲揚しているところもある。米国は、海軍旗の代わりに国旗を使用している国の一例です。また、国旗とは異なる特別な海軍旗を持つ国もある。英国は、国旗とは異なる特別な海軍旗を使用している国の一例です。
掲揚位置と種類(簡潔な整理)
- 軍艦旗(海軍旗/Ensign):通常は船尾(艫、stern)の旗竿に掲揚される。これが「その船の国籍」を示す主要な旗で、航行中・停泊中ともに掲げられることが多い。
- ジャック(Jack):船首(先端)の短い旗竿(ジャックスタッフ)に掲げる小型の国旗的な旗。停泊中や係留中のみ掲げる慣例がある国が多い。
- 艦長旗・将旗・委任旗など:艦隊指揮官や提督が乗艦していることを示すための旗で、位置や模様は国や階級によって異なる。
- 委嘱ペナント(commissioning pennant):就役中の艦で掲げられる細長い旗。国や海軍の慣例により形状が違う。
掲揚の基本的な礼儀・運用
- 軍艦旗はその国の主権を象徴するため、掲揚と降下の儀礼には厳格な規定がある(入港時や退港時の敬礼、半旗(追悼)時の扱いなど)。
- 多くの国でジャックは「停泊時」にのみ掲揚し、航行中は降ろすことが慣例(ただし国ごとに例外あり)。
- 外国港に入る際は現地の慣習に従い、時に国旗や軍艦旗を鮮明に掲げることで礼遇を示す。
- 軍艦旗は戦時・平時を問わず、その掲揚状況が国際的な法的効果を持つ(例:捕獲の可否、通航権の行使など)。
各国の例:米国と英国(概要)
- 米国は、海軍旗の代わりに国旗(星条旗)をそのまま海軍の軍艦旗として使用する代表例です。米海軍では国旗を艦尾に掲げ、停泊または係留中には艦首のジャックスタッフに「ユニオンジャック」(青地に星)を掲げるのが慣例です。また、就役艦はマストに委嘱ペナントを掲げます。
- 英国は、国旗とは異なる特別な海軍旗を使用している国の一例です。王立海軍(Royal Navy)は「ホワイトエンサイン(White Ensign)」を軍艦旗として用い、商船は「レッドエンサイン(Red Ensign)」を用いるのが伝統的です。政府所有の非戦闘艦艇などは「ブルーエンサイン(Blue Ensign)」を使用する場合があります。ジャックとしてはユニオンフラッグ(ユニオンジャック)を用いるのが一般的です。
その他の留意点
- 国によっては軍艦旗のデザインが非常に象徴的で、歴史的・政治的意味合いを持つものがある(例:日本の旭日旗など)。国際関係上、掲揚や使用に敏感な反応が生じることもあるため注意が必要。
- 中立国や非戦闘の政府船舶、病院船などは別の専用旗を使用する場合があり、その扱いも条約や国内法で規定される。
- 海事や軍事に関する正確な運用規程は各国の海軍法や儀礼規定に詳述されているため、実務では該当する規定を参照することが重要である。

英国軍艦の海軍軍旗。
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