負帰還(ネガティブフィードバック)とは — 制御・ホメオスタシスの基本原理と具体例
負帰還(ネガティブフィードバック)の基本原理とホメオスタシス、工学・生理学での具体例(サーモスタット等)を図解でわかりやすく解説
負帰還はサイバネティクスの基本概念であり、調節と制御の基礎となるものである。工学や生理学の分野でも重要である。生物学と生理学では、負のフィードバックはホメオスタシスとして知られている。
負のフィードバックは、システムの出力がシステムの入力の変更に反対するように作用するときに発生します。その結果、変化が少なくなり、システムが限界内に保たれる。典型的な例はセントラルヒーティングで、温度センサーがあらかじめ設定された値を超えると、暖房が切れるようになっている。この負のフィードバックがサーモスタットである。
負帰還の基本要素
- センサー(検出器):出力(温度、濃度、圧力など)を測定し、現在値を取得する。
- 比較装置(差動器):測定値と目標値(設定値)を比較し、誤差(偏差)を計算する。
- 制御器(コントローラ):誤差に基づいてどのように出力を変えるか決定する。PID制御などが典型的。
- 作動機(アクチュエータ):制御器の指示に従って出力を変える(例:バルブ、加熱器、ホルモン分泌など)。
工学的・生理学的な具体例
- サーモスタット(家庭用暖房):温度が設定値を上回ると暖房を停止し、下回ると暖房を作動させる。
- 血糖値の調節:血糖値が上がると膵臓からインスリンが分泌され、グルコースの取り込みを促して血糖を下げる。血糖が下がるとインスリン分泌が抑えられる—負帰還によるホメオスタシス。
- 体温調節:高体温時は発汗や血管拡張で熱放散を促し、低体温時は震えや血管収縮で熱産生と保持を促す。
- 血圧のバロレセプター反射:血圧が上がると圧受容器が刺激され、心拍数や血管径を変えて血圧を下げる反応が起きる。
- 電子回路(オペアンプの負帰還):フィードバックを用いることで利得を安定化させ、外乱や素子ばらつきの影響を小さくする。
なぜ負帰還が有用か(利点)
- 出力を目標近くに保ち、外乱に強くする(外乱抑制)。
- システムの感度を下げ、素子特性や環境変化に対する頑健性を高める。
- 出力誤差を小さくできる(積分作用をもつ制御により定常偏差を除去できる)。
欠点と設計上の注意点
- フィードバックループに遅延や位相遅れがあると、ゲインが高い場合に振動や発振を引き起こすことがある。適切なゲイン調整や位相余裕の確保が必要。
- 応答速度と安定性のトレードオフがある。速く追従させようとすると過渡応答でオーバーシュートや振動が生じやすい。
- 負帰還そのものが常に「良い」とは限らない。誤った設計や遅延の大きい経路では制御性能を悪化させることがある。
負帰還の簡単な数学的理解(概念説明)
制御理論では、順方向の増幅や動作を表す「順伝達関数」をG、フィードバック経路をHとすると、閉ループ系の有効利得は概ね次のようになる:
閉ループ利得 ≒ G / (1 + G·H)
ここから分かるように、G·Hが大きい(強い負帰還)と、閉ループ利得は1/Hに近づき、元のGの大きさに影響されにくくなる(=頑健性の向上)。
負帰還と正帰還の違い(簡潔に)
- 負帰還:出力の変化に反対方向に働き、安定化・平衡維持を行う。ホメオスタシスに相当。
- 正帰還:出力の変化を増幅・加速し、状態を急速に変える。破局的変化やスイッチング動作(例:血液凝固の局所的活性化、発火動作)に使われることがある。
まとめ
負帰還は多くの人工システムや生体システムで中心的な役割を果たす基本原理です。外乱に対する安定化、目標値への追従、素子ばらつきへの耐性といった重要な利点をもたらしますが、遅延や過剰なゲインがある場合は振動や発振を招くため、設計と調整が重要です。制御工学と生理学の両面から負帰還を理解すると、機械や電子回路だけでなく、生体の恒常性(ホメオスタシス)や病態の理解にも役立ちます。
ホメオスタシス
生命システムのほぼすべての側面には恒常性があり、これらのシステムのいずれかが破綻すると病気になる。例:血圧、グルコースレベル、肝機能、細胞分裂など。
ホメオスタシスは、クロード・ベルナールによって定義され、後にウォルター・ブラッドフォード・キャノンによって1926年、1929年、1932年に定義されました。この概念は、クロード・ベルナールが1865年に発表した「内部環境(milieu interieur)」に由来するものである。
システム全体のフィードバックが負であれば、システムは安定する傾向にあります。
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