血圧とは|定義と測定方法、正常値・高血圧・低血圧の基礎知識
血圧とは、医学で使われる測定値です。体内では、動脈が心臓から血液を運んでいます。血液が動脈を通過するとき、血液は動脈の壁に押し付けられます。血圧は、血液が動脈の壁にどれだけ強く押し付けられているかを測定します。
通常、「血圧」とは、腕の上腕動脈のように、肺以外の体の部位に血液を送る太い動脈の圧力を測定します。血圧は通常、水銀(mmHg)のミリメートルで測定されます。
血圧には2つの数字があります。一つ目は収縮期血圧です。これは、心臓が収縮期(拍動して血液を押し出す)にあるときに、血液がどれだけ動脈の壁に押し付けられるかを測定します。これは、動脈の壁に対する圧力が最も高いときです。2番目の数値は拡張期血圧です。これは、心臓が拡張期(拍動の間に休んでいて、血液を押し出さない状態)にあるときに、血液がどれだけ動脈の壁に押し付けられるかを測定します。例えば、このページの写真では、心臓が拍動しているときの動脈の壁の圧力は122mmHgで、心臓が休んでいるときの圧力は65mmHgです。この血圧は"122/65"と書いて"122 over 65"と読みます。
平均動脈圧とは、人の平均血圧のことです。脈圧とは、収縮期血圧と拡張期血圧の差のことです。
血圧を測定するために、医師は血圧計と呼ばれる装置を使用します。
平均動脈圧(MAP)と脈圧について
平均動脈圧(MAP)は臓器に血液が供給される実効的な圧力を表します。簡易的な算出式は次の通りです:
MAP ≈ 拡張期血圧 + 1/3 ×(収縮期血圧 − 拡張期血圧)
脈圧(pulse pressure)は収縮期血圧と拡張期血圧の差で、血管の硬さや老化の指標になることがあります。
血圧の測定方法(実際の手順と注意点)
- 測定前に5分以上安静にする(会話やスマホ操作を避ける)。
- カフ(腕帯)は上腕の心臓と同じ高さにし、腕を机などに置いて支える。
- 適切なカフサイズを使用する(小さすぎると高めに、大きすぎると低めに出る)。
- 測定は座位で行うのが一般的。脚を組まない、背もたれに寄りかかるなど正しい姿勢で。立位測定は起立性低血圧の評価に用いる。
- 複数回(1〜2分間隔で2〜3回)測定し、平均をとると安定した値が得られる。
- カフェイン・喫煙・入浴・運動直後は血圧が変動するため避ける。
測定方法には主に2種類あります。聴診法(コロトコフ音を聞く手動式)と、自動血圧計(振動や圧の変化を測るオシロメトリック方式)です。それぞれ利点があり、医療現場では聴診法が診断の基準に使われることが多く、家庭では自動血圧計が手軽です。
正常値・高血圧・低血圧の目安
基準は国や学会により異なりますが、一般的な目安は次の通りです:
- 正常(理想):収縮期血圧 120 mmHg 未満 かつ 拡張期血圧 80 mmHg 未満
- 正常高値(または境界域):収縮期 120–129 mmHg かつ 拡張期 < 80 mmHg
- 高血圧(段階):多くのガイドラインで収縮期 130–139 mmHg または 拡張期 80–89 mmHg を軽度(Stage 1)、収縮期 ≥140 mmHg または 拡張期 ≥90 mmHg を中等度以上(Stage 2)として扱うことがあります。診断や治療方針はガイドラインや個々のリスク(糖尿病・腎疾患・心血管疾患の既往など)によって変わります。
- 低血圧(目安):一般に収縮期血圧が 90 mmHg 未満、または拡張期血圧が 60 mmHg 未満を低血圧とすることが多いです。ただし、症状(めまい、失神、倦怠感)がなければ必ずしも治療を要するとは限りません。
注意:判定基準は地域の診療ガイドラインや年齢、合併症で異なります。正確な診断や治療方針は医師と相談してください。
高血圧と低血圧のリスク・症状
- 高血圧のリスク:長期にわたる高血圧は脳卒中(脳梗塞・脳出血)、心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病、動脈硬化などのリスクを高めます。しばしば自覚症状が乏しく「サイレントキラー」と呼ばれます。
- 低血圧の症状:起立時のめまい、立ちくらみ、失神、倦怠感、集中力低下など。特に高齢者では転倒リスクが問題になります。
家庭での血圧管理と医療機関での評価
家庭血圧測定(朝・夕の測定を推奨)は診断と治療評価に有効です。白衣高血圧(病院でだけ高い)や逆に仮面高血圧(masked hypertension)(病院では正常だが普段は高い)を見つけるために、自宅測定や24時間血圧監視(ABPM)が用いられます。
血圧が高い場合は生活習慣の改善(減塩、適度な有酸素運動、体重管理、節酒、禁煙、睡眠改善)や、必要に応じて薬物治療が行われます。治療方針は年齢・既往歴・臓器障害の有無・総合的危険度で決まります。
測定結果の読み方と次のステップ
- 測定値が一回だけ高かった場合は複数回の測定や別日に再測定する。
- 家庭で高値が続く、あるいは症状がある場合は医療機関を受診する。
- 既に降圧薬を服用している場合は定期的な測定と医師との相談で治療目標を確認する。
このページの内容は血圧の基礎知識をわかりやすくまとめたものです。個別の診断や治療については医師に相談してください。
正常血圧
血圧は子供の方が低いのが普通で、年を取ると高くなります。
健康な成人の人の場合、収縮期血圧は120以下、拡張期血圧は80以下であることが望ましいとされています。しかし、血圧は人によって大きく異なります。血圧は日中も自然に変化します(概日リズム)。睡眠時には血圧が下がり、起床時には血圧が上がります。安静にしているときは低く、活動しているときは高くなります。他にも、ストレス、病気、薬、食べるものなど、多くのことが血圧を変化させる可能性があります。血圧を測ってもらうストレスでさえ、血圧を高くすることがあります。これを"白衣高血圧"といいます。


収縮期血圧122、拡張期血圧65の血圧を示すデジタル血圧計で、「122 over 65」または「122/65 mmHg」と読みます。
血圧の問題
人は血圧が高すぎたり低すぎたりすると、健康上の問題を抱えてしまうことがあります。
高血圧の方
主な記事。高血圧症
血圧が高い状態を高血圧といいます。人は、血圧が高く、長期間にわたって高い状態が続くと高血圧になります。高血圧は非常に一般的です。米国の成人の約3人に1人が高血圧です。高血圧は、多くの場合、症状が出ないため、多くの人が何かが間違っていることに気づかずに高血圧になっていることから、「サイレント・キラー」と呼ばれることがあります。しかし、高血圧は心臓や血管、腎臓などを傷つけてしまいます。心臓発作や脳卒中、腎不全などの深刻な健康障害を引き起こす可能性があります。
低血圧
主な記事。低血圧
血圧が低い状態を低血圧といいます。血圧が低すぎると、心臓や脳などに十分な血液や酸素が行き渡らなくなります。低血圧になると、めまいや失神などの問題を引き起こすことがあります。人の血圧が十分に低いと、発作を起こしたり、意識を失ったり、死に至ることもあります。
質問と回答
Q: 血圧とは何ですか?
A: 血圧は医学で使われる測定法で、血液が動脈の壁を押す強さを測定するものです。
Q: 血圧は通常どのように測定するのですか?
A: 血圧は通常、水銀柱のミリメートル(mmHg)で測定されます。
Q: 血圧の数値のうち、2つの数値は何ですか?
A: 血圧の数値は、収縮期血圧と拡張期血圧の2つです。収縮期の数値は、心臓が拍動しているときに血液が動脈の壁を押す強さを測定し、拡張期は、拍動と拍動の間の休息時に血液が押す強さを測定します。
Q: 平均動脈圧は何を測定するのですか?
A: 平均動脈圧は、人の平均的な血圧を測定します。
Q: 脈圧は何を測定するのですか?
A: 脈圧は収縮期血圧と拡張期血圧の差を測定します。
Q: 医師はどのように血圧を測定するのですか?
A: 医師は血圧計と呼ばれる装置を使用して血圧を測定します。