ニシャ・アユブ:マレーシアのトランスジェンダー権利活動家 — SEED基金・Justice for Sisters創設者
ニシャ・アユブ—SEED基金&Justice for Sisters創設者。マレーシアでトランスジェンダーの権利を擁護し、2016年国際勇気ある女性賞を受賞した活動家の軌跡。
ニシャ・アユブはマレーシアのトランスジェンダーの権利活動家です。トランスジェンダーの人々を支援する「SEED基金」と、法的支援を行う「Justice for Sisters」を立ち上げ、コミュニティの安全と権利擁護に取り組んでいます。2016年、国際勇気ある女性賞を受賞し、国内外で広く認められました。
ニシャは21歳のとき、女性の服を着ていたためにシャリア法(イスラム法)に基づき、刑務所に入れられました。出所後、彼女はマレーシアのトランスジェンダーの権利のために活動を開始し、個人的な経験をもとに制度的な差別と闘う道を選びました。
活動の内容
- 法的支援:拘束や起訴、差別に直面するトランスジェンダーの人々に対して法律相談や裁判支援を提供し、権利擁護を行っています。
- 啓発と教育:社会の偏見を減らすために講演やワークショップを実施し、医療従事者や公的機関に対する研修も行っています。
- コミュニティ支援:緊急時の支援や生活支援、カウンセリングへの紹介など、当事者が実生活で必要とする支援を仲介しています。
- 政策提言:差別的な規定や運用に対して法改正や運用改善を求める働きかけを続けています。
設立した組織について
SEED基金は、トランスジェンダーやLGBTQ+コミュニティが直面する緊急のニーズや長期的な自立支援を目的とする基金です。生活支援や医療支援、教育・職業訓練の助成などを通じて、当事者の安全と復権を支えます。
Justice for Sistersは、法的支援と権利擁護を専門とする組織で、逮捕・訴追された人々への弁護、差別事例の記録と公表、政策提言などを行っています。法制度の不当な運用を可視化し、救済を求める取り組みを進めています。
影響と評価
ニシャ・アユブの活動は、個人的な経験を出発点として制度的な問題へと目を向けさせ、国内外で注目を集めました。2016年の受賞はその象徴であり、トランスジェンダーの人々が直面する人権問題を国際社会に伝えるうえで重要な役割を果たしました。
直面する課題と今後の展望
マレーシアでは、シャリア法に基づく取り締まりや、いまだに残る差別的な法律・慣行、医療や雇用での排除など、トランスジェンダーの人々が安全に暮らすことを阻む多くの課題があります。ニシャや彼女が関わる団体は、こうした構造的な問題の是正をめざし、法制度の改革、社会的理解の促進、被害の救済に向けた活動を続けています。
彼女の取り組みは個人の尊厳と人権を守る実践として、地域社会や国際的な連携を通じてさらに広がりつつありますが、持続的な変化には依然として多くの努力が必要です。

2016年、ニシャ・アユーブとジョン・ケリー米国務長官
受賞歴
- ヒューマン・ライツ・ウォッチよりアリソン・デ・フォルジュ賞受賞(2015年
- 米国国務省よりInternational women of courage Awardを受賞(2016年
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