NOTゲートは、一般にインバータと呼ばれる基本的なデジタル論理素子で、単一の入力の論理補数を出力する。入力を論理「1」(真、高電圧)と解釈すれば出力は論理「0」(偽、低電圧)となり、その逆も同様である。ブール代数では、Y = ¬A、Y = A'、または Y = NOT A と表される。インバータは最も単純な論理ゲートであり、より大きなデジタル回路の構成要素として広く用いられる。
特性と記号
インバータは入力1本と出力1本を持つ。動作は、バッファ記号の出力側に小さな円(バブル)を付けて表すことが多く、論理図では標準的な「三角形+バブル」の記号でも示される。真理値表は次のとおり。
- 入力0 → 出力1
- 入力1 → 出力0
実用的なインバータの重要な電気的特性には、伝搬遅延(入力変化から出力変化までの時間)、入力しきい値電圧、ノイズマージン、出力駆動能力(ファンアウト)、消費電力がある。設計者はしばしば、入力値を反転せずに保持する非反転バッファと対比して考える。
物理的実装と歴史
初期のデジタル・インバータは真空管、その後は個別トランジスタと受動部品で実装された。20世紀を通じて、1個のトランジスタ段に抵抗を組み合わせる方式が一般的だった。のちに集積回路によって多数のインバータを一つのパッケージにまとめられるようになり、TTLやCMOSなどのファミリが標準的なインバータセルを提供した。現代のCMOSインバータは相補的なMOSFET対(1つのpチャネル、1つのnチャネル)を用い、入力が安定しているときの静的電流が小さいため高効率である。歴史的・技術的背景としては、トランジスタ、集積回路、および 論理ゲート の解説が参考になる。
用途、例、重要性
インバータには多くの役割がある。計算における論理否定を実現する、補完的な制御信号を生成する(たとえばアクティブローのリセット)、発振器の段を構成する(奇数個のインバータで作るリング発振器)、さらにより複雑なゲートの一部として組み合わせる、などである。NANDゲートとNORゲートは機能的完全性を持つため、任意の論理関数を構成する際にはインバータが暗黙に含まれる。アナログや混載信号の文脈では、適切なサイズ設計により、単純な信号増幅器やしきい値検出器として働くこともある。
変種と実用上の注意
代表的な変種には、ノイズの多い入力を整えるためにヒステリシスを付加するシュミットトリガ・インバータや、より大きな出力駆動能力を持つバッファ付きインバータがある。インバータを選定・設計する際、技術者は速度、消費電力、負荷(ファンアウト)、電圧レベルを考慮する。デジタル設計では、位相を補正したりタイミング条件を満たしたりするために冗長に用いられることも多く、その単純な動作は同期回路と非同期回路の双方にとって基礎となる。
注目すべき点: 概念的には単純でも、インバータの電気的実装がデジタルシステムの速度と消費電力の大部分を左右するため、半導体設計と教育の中心的要素であり続けている。