エストラジオールとは?女性ホルモンの定義・作用と月経・更年期の変化

エストラジオールとは

エストラジオール(E2)は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの主要な形態のひとつです。主に卵巣の顆粒膜細胞から分泌されるステロイドホルモンで、血中では遊離型と性ホルモン結合グロブリン(SHBG)やアルブミンに結合した形で存在します。標的細胞には核内にあるエストロゲン受容体(ERα、ERβ)があり、受容体を介した遺伝子発現の調節(ゲノム作用)と、細胞膜を介した速やかなシグナル伝達(ノンゲノム作用)の両方を通じて作用します。

主な作用(女性)

  • 生殖器と二次性徴:女性の性器(性器)の発育・成熟、乳房(乳腺)の発達を促します。
  • 月経周期と排卵の調節:排卵や月経のリズム(の周期)を調節し、卵胞の発育や子宮内膜の増殖に関与します。
  • 骨代謝の維持:骨吸収を抑えて骨密度を保つことで、骨折リスクを低下させます(骨の形成・維持に重要)。
  • 皮膚・粘膜の保護:皮膚の厚さや弾力、膣粘膜の潤いを維持します。
  • 代謝・心血管:脂質代謝や血管機能にも影響を与え、HDL(善玉コレステロール)を増やすなど心血管リスクに関与しますが、補充療法や年齢によってリスクは変わります。
  • 中枢神経系:気分や認知機能、性欲にも影響を与えることがあります。

エストラジオールと他のエストロゲンの違い

体内のエストロゲンには主に3種類あり、それぞれ役割が異なります。

  • エストラジオール(E2):生殖年齢の女性で主要なエストロゲン。卵巣で多く産生される。
  • エストラノン(エストロン、E1):閉経後に優位となる。脂肪組織でのアロマターゼによる変換で供給されることが多い。
  • エストリオール(E3):主に妊娠中に高値となり、胎盤から供給される。

通常、月経周期やライフステージによってE2とE1の比率が変化します。更年期にはエストラノン(E1)が相対的に高くなり、E2は低下します。妊娠中はE3の血清濃度が高くなります。

血中濃度の変化と目安

エストラジオールの血清濃度は月経周期により変動します。代表的な目安(測定法や基準値は施設によって差があります)を示します:

  • 卵胞期(初期): 約20–150 pg/mL(約73–550 pmol/L)
  • 排卵期(ピーク): 約200–600 pg/mL(約734–2200 pmol/L)になることがある
  • 黄体期: 約70–250 pg/mL(約257–917 pmol/L)
  • 閉経後: 多くは20–30 pg/mL未満(施設差あり)

男性の血中濃度は一般に女性の閉経後と同等かそれより低く、35 pg/mL程度以下とされることが多いです(個人差あり)。ただし単位や測定法により数値は変わるため、結果は担当医と解釈してください。

産生と代謝

  • 産生部位:生殖年齢の女性では卵巣が主な産生源。妊娠時は胎盤、閉経後は脂肪組織や副腎での前駆体からの変換が中心になります。男性や女性の末梢組織でもアロマターゼにより男性ホルモン(アンドロゲン)から変換されます。
  • 代謝:肝臓で代謝され、尿中や胆汁中に排泄されます。E2はE1、E3などに変換される過程もあります。

臨床的意義・検査の目的

  • 不妊治療や排卵評価:卵胞発育や排卵のタイミング評価に用いる。
  • 閉経診断や卵巣機能評価:早発閉経や卵巣予備能を評価する際の一助。
  • ホルモン補充療法(HRT)や経口避妊薬のモニタリング。
  • エストロゲン産生腫瘍の疑い:血中濃度が異常に高い場合に精査する。

異常値とその影響

  • エストラジオールが高い場合:多胞性卵胞症候群(PCOS)やエストロゲン分泌腫瘍、妊娠などが考えられます。過剰なエストロゲンは子宮内膜過形成や乳腺増殖を促し、長期的には癌リスクを高めることがあります。
  • エストラジオールが低い場合:閉経、更年期、卵巣不全、過度の体重減少や激しい運動、ストレスなどで見られ、月経停止や骨密度低下(骨粗鬆症)、性欲低下、膣乾燥、気分変動などを引き起こします。

治療と注意点

エストラジオール低下に対してはホルモン補充療法(HRT)が行われることがあります。HRTは更年期症状(ほてり、発汗、睡眠障害、膣症状など)の改善や骨量維持に有効ですが、以下のリスクと利点を医師と十分に相談する必要があります:

  • 利点:更年期症状の改善、骨折リスク低下、生活の質の改善。
  • リスク:乳がんや子宮内膜癌(エストロゲン単独投与の場合)、静脈血栓塞栓症の増加、個々の心血管リスクに依存する影響など。

一般に、HRTは「最小有効用量」を短期間で行う方針が推奨されることが多く、個々の病歴(乳がん既往、血栓リスクなど)を踏まえた選択が必要です。

男性における役割

エストラジオールは男性にも存在し、骨代謝の維持や精子形成、性機能にも関与します。多くは睾丸で作られたテストステロンの一部がアロマターゼで変換されて生成されます。男性での異常高値や低値は内分泌疾患や薬剤の影響を示唆することがあります。

まとめ

エストラジオール(E2)は、生殖年齢の女性における主要なエストロゲンであり、月経周期の調節、骨の維持、乳腺や生殖器の発達、皮膚や粘膜の健康、気分や代謝にも影響する重要なホルモンです。月経周期や妊娠、加齢(更年期)により血中濃度は大きく変化し、臨床的には不妊治療、閉経判定、ホルモン療法の管理などで測定されます。検査結果や治療については、個々の状況を考慮して専門医と相談してください。

質問と回答

Q: オエストラジオールとは何ですか?


A:エストラジオールはエストロゲンの一種で、主に卵巣から分泌されるステロイドホルモンであり、主な女性ホルモンです。

Q:女性におけるエストラジオールの働きは?


A:エストラジオールは、女性の特徴、女性性器の成熟、発情・月経周期を調節し、乳腺の生産を刺激します。

Q: 月経周期において、エストラジオールや他の女性ホルモンの血清濃度はどのように変化するのでしょうか?


A:エストラジオールをはじめとする女性ホルモンの血清濃度は、月経周期を通じて変化します。

Q:妊娠中のエストラジオールの血清濃度はどうなりますか?


A: 妊娠中は、エストラジオールE3の血清濃度が高くなります。

Q: 更年期のエストラジオールの血清濃度はどうなりますか?


A:閉経期には、エストロンの方が濃度が高くなります。

Q: エストラジオールは骨形成にどのような影響を与えるのでしょうか?


A: エストラジオールは、骨形成に大きな影響を与えます。閉経を過ぎた女性は、エストロゲンが少なくなるため、骨の減少が加速されます。

Q: エストラジオールは、男性にも何らかの働きをしますか?


A: はい、エストラジオールは男性にも機能しますが、そのレベルははるかに低いです。男性の血清濃度は35pg/mL未満で、閉経後の女性に見られる濃度と同程度です。

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