ペーパータオルとは?吸水の仕組み・使い捨ての特徴と衛生性(ウイルス除去)
ペーパータオルの吸水メカニズムと使い捨ての衛生性、ウイルス除去効果を解説。家庭や医療現場での安全な選び方・使い方まで詳しく紹介。
ペーパータオル(またはキッチンペーパー)は、布ではなく紙で作られた吸水性の良いティッシュです。布製のタオルと異なり、ペーパータオルは使い捨てで、使用後は捨てられます。ペーパータオルが水を吸い取るのは、紙がゆるく織られているからです。そのため、毛細管現象によって水が紙の中に入り込みます。水分が繊維に付着するのは、粘着作用によるものです。
吸水の仕組みをもう少し詳しく
ペーパータオルは主にセルロース(木材パルプなどの繊維)からできています。セルロースの分子には水と結びつきやすい官能基があり、水分は繊維表面に吸着します。また、紙の表面が細かくしわ(クレーピング)やエンボス加工されていると、表面積が増えて水を素早く取り込みます。さらに、繊維同士の隙間(毛細管)により液体は内部へ引き込まれ、これが毛細管現象として観察されます。
吸水性に影響する要素:
- パルプの種類:未漂白や再生パルプは水の保持力や環境性が異なります。
- プライ(層数)と厚さ:多層のものほど短時間で多くの水を吸えますが、厚みが増すと乾きにくくなる場合もあります。
- 表面加工:エンボス(凹凸)加工やクレーピングで吸収速度と保持力が向上します。
- 密度と空隙:隙間が多いほど毛細管現象が働きやすく、初期吸収が良くなります。
衛生性とウイルス除去について
手をふく際にペーパータオルを使うと、物理的に汚れや微生物を拭き取って除去できます。2020年、リーズ大学の科学者が行った実験で、ペーパータオルで手を乾かした人は、ジェット風乾燥機で手を乾かした人よりも多くのウイルスを除去していることがわかりました。この研究は、病院のトイレで行われ、ペーパータオルが飛沫やウイルスの拡散を抑える点で有利である可能性が示唆されました。
一般的な衛生上のポイント:
- 流水と石鹸で少なくとも20秒間手を洗い、その後よく乾かすことが最も重要です。
- ペーパータオルは使い捨てなので、再使用する布タオルに比べて交差汚染のリスクが低くなります。
- ペーパータオルで手をふいた後、そのタオルを使って蛇口やドアノブを拭き、捨てると接触による再汚染を防げます。
- 一方で、ジェットドライヤーは手から空気中に微粒子を飛ばす可能性があるため、公共の場や医療現場では注意が必要とされています。
種類と用途
- キッチンペーパー:油や汁を吸い取るのに適しており、調理時の油切りや拭き取りに使われます。
- ハンドタオル(紙タオル):トイレや手洗い場での手ふき用。シングルやダブルのプライがある。
- 業務用ロール:大判で長く使えるため施設や飲食店向け。
- センタープル、折りたたみ式、ミニロールなど、給紙形態にもいくつかの種類があります。
環境面での注意点
使い捨てであることは衛生的ですが、廃棄物や資源消費という環境負荷を伴います。環境負荷を抑えるための選択肢としては、再生紙(古紙)を使った製品や、塩素系漂白を避けた「無漂白(または酸素漂白)」の製品、堆肥化可能な素材を使ったものを選ぶ方法があります。家庭用では、個人専用の布タオルを頻繁に洗濯して使うことで使い捨て消費を減らすこともできますが、布を清潔に保つための洗濯頻度や方法に注意が必要です。
使い方のコツと廃棄
- 手洗い後は十分に擦り合わせてからペーパータオルでふき取ると効果的です。
- 汚れたペーパータオルはすぐに廃棄し、再利用しないでください。
- キッチンでの油汚れや食品くずが付いたものは、自治体の分別ルールに従って廃棄してください。未漂白で天然素材のものは一部でコンポスト可能な場合もあります(地域の可否を確認)。
- 公共のペーパータオルディスペンサーは、触れる部分を清潔に保つことが重要です。片手で取りやすいタイプ(片手で引き出せるもの)は再汚染を減らします。
まとめると、ペーパータオルはその吸水性と使い捨て特性から衛生面で優れた選択肢になり得ますが、環境面の配慮も必要です。手洗いと適切な乾燥の組み合わせが、感染対策として最も有効です。
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