ペンタンとは?定義・化学式(C5H12)と3異性体(n-/イソ-/ネオ-)の違い
ペンタンとは?化学式C5H12の定義とn-/イソ-/ネオ-の3異性体(構造・命名・性質・見分け方)やIUPAC命名の違いも図解でわかりやすく解説。
ペンタンは、化学式C
5H
12.5個の炭素原子を持つアルカンである。通常、「ペンタン」は3つの異性体(n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン)すべてを表す。しかし、IUPACでは、ペンタンはn-ペンタンのみを表しています。IUPACでは、他の2つの異性体は2-メチルブタンと2,2-ジメチルプロパンです。シクロペンタンの化学式はC
5H
10なので、ペンタンの異性体ではありません。
異性体(構造と名称)の違い
同じ分子式C5H12を持つペンタンの異性体には次の3種があります。IUPAC名と代表的な構造式を合わせて示します。
- n-ペンタン(IUPAC名:pentane)— 直鎖状。構造式で表すと CH3–CH2–CH2–CH2–CH3。
- イソペンタン(IUPAC名:2-methylbutane)— 1つのメチル置換を持つ分岐鎖。構造式の一例: CH3–CH(CH3)–CH2–CH3。
- ネオペンタン(IUPAC名:2,2-dimethylpropane)— 中心炭素に4つのメチル基が結合した非常に対称な分子。構造式は (CH3)4C または C(CH3)4。
物理的性質の差と理由
- 沸点の順序(代表値):n-ペンタン ≈ 36°C > イソペンタン ≈ 28°C > ネオペンタン ≈ 9–10°C。直鎖に近いほど分子間の表面接触が増え、分散力が大きくなるため沸点が高くなります。
- 融点は対称性の影響を受けます。ネオペンタンは分子対称性が高く結晶化しやすいため、他の異性体と比べて融点の振る舞いが異なる点が知られています。
- 密度や蒸気圧も構造によって変化しますが、いずれも有機溶媒としての性質や取り扱いに影響します。
用途と入手
- ペンタン類は溶媒、試薬、エネルギー源(ガソリン成分の一部)として用いられます。工業的には石油精製の副生成物として得られます。
- ネオペンタンはその低沸点や特異な物性を利用して特殊用途に用いられることがありますが、一般的には混合物として扱われることが多いです。
安全性と取り扱い
- ペンタン類は引火性が高く、蒸気は空気と混合して爆発性雰囲気を作るため、換気の良い場所で火気を避けて取り扱う必要があります。
- 吸入による中枢神経抑制、長時間大量吸入での健康影響、また閉所での大量放出は窒息の危険があるため注意が必要です。
- 保管は密閉容器で冷暗所に、適切な接地・静電気対策の上で行ってください。詳しい安全データは各製品のSDS(安全データシート)を参照してください。
シクロペンタンとの違い
シクロペンタンは環状アルカンであり、化学式は C5H10 です。炭化水素の飽和度(結合の種類)と構造が異なるため、物理的・化学的性質も大きく違います。シクロペンタンはペンタン(C5H12)とは異なる化学種として扱われます。
参考として、具体的な取り扱いや定量値(沸点・密度など)を確認する場合は、化学物質データベースや製造者の技術資料、IUPACの命名規則など信頼できる一次資料を参照してください。
異性体
一般名 | ノルマルペンタン | イソペンタン | ネオペンタン |
アイユーパック名 | ペンタン | 2-メチルブタン | 2,2-ジメチルプロパン |
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反応
ペンタンの異性体はすべて酸素で燃焼して二酸化炭素と水を作ります。
C
5H
12+8O
2->5CO
2+6H
2O.
質問と回答
Q:ペンタンの化学式は?
A:ペンタンの化学式はC5H12です。
Q: ペンタンは何個の炭素原子を持っていますか?
A:ペンタンは5個の炭素原子をもっています。
Q: 「ペンタン」とは、一般的に3つの異性体すべてを指すのでしょうか?
A: はい、通常「ペンタン」は3つの異性体(n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン)すべてを指します。
Q: IUPACではペンタンの定義が一般的に使われているものと異なっているのでしょうか?
A: はい、IUPACでは、ペンタンはn-ペンタンのみを表します。他の2つの異性体は2-メチルブタンと2,2-ジメチルプロパンです。
Q: シクロペンテンは、ペンテンの異性体ですか?
A: いいえ、シクロペンテンの化学式はC5H10なので、ペンテンの異性体ではありません。
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