概要
「pepper(ペッパー)」は、互いに近縁ではない複数の植物と、そこから得られる香辛料に対して用いられる一般名である。通常、この語は大きく二つの系統を指す。新世界のCapsicum属(ピーマンやトウガラシ)と、旧世界のPiper属(黒コショウ)である。これ以外にも、ロングペッパー、シチュアンペッパー、タスマニアンペッパーなど、名前に「pepper」を含む植物があるが、いずれも異なる植物科に属し、共通するのは料理上の使われ方や刺激的な感覚である。
植物学的特徴
Capsicumはナス科の被子植物である。食用となる果実は植物学上はベリーにあたり、形、色、辛さの程度は非常に幅広い。多くのCapsicumの辛味は、主としてカプサイシンをはじめとするカプサイシノイド化合物によるもので、哺乳類の熱受容体を刺激する。一方、Piperはつる性植物の属で、果実の集まりである胡椒粒(ペッパーコーン)を加工して黒コショウ、白コショウ、緑コショウにする。Piperの鋭い刺激は主にピペリンによるもので、これはCapsicumの辛味成分とは異なるアルカロイドであり、化学的性質も感覚も異なる。
歴史と分布
Capsicumの各種はアメリカ大陸で栽培化され、ヨーロッパ人の探検以後に世界各地へ広がった。その結果、アフリカ、アジア、ヨーロッパの食文化に大きな変化をもたらした。黒コショウ(Piper nigrum)は南アジアおよび東南アジア原産で、古代以来、非常に価値の高い交易品として扱われ、各大陸の交易路や食習慣にも影響を与えてきた。
用途と重要性
ペッパー類は、料理、薬用、文化の各面で重要である。Capsicumの果実は生食、乾燥、粉末化、ソース化など多様に利用され、ビタミンCやカロテノイドも豊富である。カプサイシンは外用鎮痛剤に用いられるほか、ペッパースプレーのような忌避用途にも使われる。Piper由来の胡椒粒は食卓で広く使われる香辛料であり、防腐の役割も果たし、かつては香辛料交易の主要な経済要因でもあった。さらに、多くの「pepper」類は観賞用としても栽培されている。
区別と注目点
- 「pepper」と呼ばれる植物同士は近縁ではなく、名前は植物学上の類縁関係ではなく、風味、香り、または料理上の役割の類似に由来する。
- 辛味の化学的基盤は異なる。Capsicumではカプサイシン、Piperではピペリン、シチュアンペッパーではサンショール類などが、それぞれ独特の刺激を生み出す。
- 品種の幅は、辛みのない甘いピーマンから非常に辛いトウガラシまで広い。Piperの胡椒粒も、加工法によって黒、白、緑の形態に分かれる。
より詳しい植物学的・料理上の情報については、さらに読むなどの追加資料や植物ガイドを参照するとよい。