偽りの戦争(Phoney War)とは:1939年9月〜1940年5月の西部戦線停滞期
1939年9月〜1940年5月の「偽りの戦争(Phoney War)」を分かりやすく解説。西部戦線の停滞、海空戦と外交の緊迫を歴史背景と共に詳述。
偽りの戦争(Phoney War)とは、1939年9月のポーランド侵攻による戦端開きの後、西側戦線で大規模な陸上戦闘が停滞していた時期(概ね1939年9月〜1940年5月)を指す通称である。英語では「Phoney War」、仏語では「Drôle de guerre」、独語では「Sitzkrieg」とも呼ばれる。1940年5月にドイツが本格的に低地諸国・西部に侵攻すると、この停滞は終わりを迎え、フランスを含む西部戦線は一気に激化した。
経過と特徴
この期間の西ヨーロッパでは、奇妙な静けさと段階的な準備が同居していた。表面的には活発な戦闘が少なかったが、政治的・軍事的な動きや海上戦、空中偵察などは続いていた。
- 宣戦と消極的対応:イギリスとフランスが1939年9月にドイツに宣戦布告し、両国は大規模な動員や防御準備を進めた。しかし、互いに積極的な地上攻勢を行うことはほとんどなかった。
- 限定的な攻勢:フランスは1939年9月にザール方面で限定的な攻勢(サール攻勢)を行ったが、すぐに停止・撤退した。
- 海上戦の激化:ドイツの潜水艦(Uボート)や襲撃艦による連合国商船への被害が深刻化し、大西洋の戦いが本格化した。封鎖・護送といった海上戦が重要となった。
- 空の活動:イギリス空軍は偵察や夜間の爆撃・プロパガンダのビラ撒きなどを行い、戦域の情報収集と敵国の士気低下を試みた。
- 連合国の補強:カナダをはじめとする英連邦軍の部隊がイギリスに到着し始め、装備の整備・訓練が行われた。一方で、連合国は増大する兵器需要のためアメリカからの調達にも頼るようになった(後述)。
- 外交・他地域の戦闘:ソ連とフィンランドの冬戦争(1939–1940)など、西部戦線以外での戦闘や外交的変動も続いていた。
アメリカの対外支援(正確な経緯)
アメリカは当初中立を維持していたが、1939年11月の中立法修正により武器の「現金決済・自己輸送(cash-and-carry)」販売が認められ、英仏はこれによって一定の軍需品を調達した。いわゆる貸与法(Lend-Lease)はその後1941年3月に成立し、アメリカの軍事物資供給はさらに拡大した。
年表(主要出来事)
- 1939年9月3日:イギリス、フランスがドイツに宣戦布告。
- 1939年9月:フランスの限定的なサール攻勢(すぐ中止)。
- 1939年後半〜1940年初頭:Uボートによる通商破壊、護送船団の整備が進む。
- 1939年11月〜1940年3月:冬戦争(ソ連対フィンランド)。
- 1940年4月:ドイツがデンマークとノルウェーに侵攻(ノルウェー戦役)。
- 1940年5月10日:ドイツが低地諸国・フランスへ大規模侵攻(<強襲作戦の開始>)。偽りの戦争はここで終息。
意義と評価
偽りの戦争は「戦闘がない戦争」としてメディアや後世に呼ばれるが、実際には情報戦、海上封鎖、兵站・動員、偵察といった準備活動が活発化した期間でもあった。この停滞期は両陣営にとって再編や装備の改善の時間を与えた一方で、ドイツの電撃戦(Blitzkrieg)への備えが不十分だった連合国側の脆弱性を露呈した面もある。1940年5月以降の短期間での西部崩壊は、偽りの戦争期の準備不足や戦術的誤算が影響したと評価されることが多い。
以上の点から、偽りの戦争は「戦線の空白」ではなく、むしろ次の大規模戦闘に向けた準備と戦略的駆け引きが行われた重要な過渡期であったといえる。

イギリスがナチスドイツとの戦争状態を宣言した直後、ワルシャワのイギリス大使館の下で喜びのデモをするワルシャワの人々。
質問と回答
Q:Phoney Warとは何ですか?
A: Phoney Warとは、第二次世界大戦中の1939年9月から1940年5月までの8ヶ月間、ヨーロッパで重要な軍事作戦が行われなかった期間のことを指します。
Q: イギリスとフランスはドイツに宣戦布告した時、何をしたのでしょうか?
A: イギリスとフランスは、ドイツに対して封鎖を宣言しました。
Q: イギリスとフランスが宣戦布告したとき、ドイツは何をしましたか?
A: ドイツも同様で、ドイツの潜水艦が多くの連合国の船を破壊する大西洋の戦いを開始しました。
Q: イギリス空軍は、インチキ戦争で何をしたのですか?
A: イギリス空軍はドイツにプロパガンダのビラを投下しました。
Q: インチキ戦争中の1940年4月に何が起こりましたか?
A: ドイツがデンマークとノルウェーに侵攻しました。
Q: イギリスとフランスは、インチキ戦争の間、武器を手に入れるために何をしましたか?
A: イギリスとフランスは、アメリカの兵器会社から兵器を購入し始めました。
Q: アメリカ政府は、インチキ戦争の間、どのようにイギリスとフランスを助けたのですか?
A: アメリカ政府は中立を保っていましたが、武器を安く売り、さらに軍備や物資をレンドリースすることでイギリスとフランスを助けました。
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