プタハとは:古代エジプトの職人・創造神、メンフィスの守護神
プタハとは古代エジプトの職人・創造神、メンフィスの守護神。起源や象徴、神話と美術表現をわかりやすく解説。
プタハは古代エジプトの職人や建築家の神であった。プタハは、トリノの「王リスト」で、エジプトの8人の伝説的な神王のうちの最初の神として名前が挙げられている。
美術では、髪がなく、髭を生やしたミイラ化した男性として描かれ、しばしばスカルキャップをかぶり、ジェドや他の大きな道具(ミイラ化の儀式で使う姿が描かれることもある)を持っています。彼はセクメトと結婚していると信じられていた。
プタハは、古代エジプトの首都の一つであるメンフィスの地方神である。芸術を発明したとされることから、職人のパースン(教皇)である。
起源と信仰の中心
プタハはメンフィス(古代エジプト語でメンネフェル)を信仰の中心とする主要な神で、都市の主要神殿は「フット・カー・プタハ(Ptahのカの家)」と呼ばれていました。この神殿は古代よりメンフィスの宗教・政治の拠点であり、プタハ崇拝はエジプト全土に影響を与えました。
創造神としての側面
プタハは単なる職人の守護者にとどまらず、創造の神とも見なされました。特にメンフィス神学を伝える文書(代表的なものに「シャバカ石」がある)では、プタハは心(考え)で形を思い描き、口でことばを発して世界を現実にしたと説かれます。この思想は「思考と言葉による創造」という独特の神観を示しています。
像と象徴
美術表現では、プタハは通常ミイラ姿の男性として描かれ、頭にスカルキャップ(頭巾)をかぶり、手にはしばしばアンkh・ジェド・ワスの要素を組み合わせた杖(生命・安定・支配の象徴)を持ちます。こうした図像は彼の不朽性・秩序維持・創造性を表しています。職人や建築に関わる道具が伴う場合もあり、職能神としての性格が強調されます。
家族と結びつき
伝統的にプタハの配偶神はセクメト(ライオン女神)とされ、二神の子としてネフェルトゥム(花や治癒の神として表現されることがある)が挙げられます。地域や時代によってはバステト(バステト)と結び付けられることもあり、神格の結びつきは変化しました。
職人・芸術との関係
プタハは彫刻家・金属工・建築家などの守護神であり、工房や工事現場で祈りを受ける存在でした。古代エジプトの職人たちは、技術や知恵の起源をプタハに求め、作業の成功や作品の保護を祈願しました。多くの作品や碑文にプタハへの献辞が残されており、芸術と密接に結び付いた信仰の痕跡が見られます。
葬祭的側面と同一視
プタハはまた死と再生の概念と結びつき、後代ではプタハ=セケル=オシリス(Ptah-Seker-Osiris)のような複合神として崇拝されることがありました。特にメンフィス近郊の墓域やサッカラ(サッカーラ)周辺での葬祭儀礼に関連する崇拝が行われました。
遺産と考古学的遺物
メンフィスの発掘ではプタハ像や碑文が多数出土しており、カイロ博物館などに重要な遺物が所蔵されています。これらはプタハ崇拝の広がりと、古代エジプトの宗教的・芸術的伝統における彼の役割を示す重要な証拠です。
まとめ
プタハは職人・建築家の守護神として親しまれる一方で、メンフィス神学における創造神という深い思想的役割も担いました。ミイラ化した姿や象徴的な杖、配偶神セクメトとの関係、そして職人や葬祭と結びつく複合的な性格など、古代エジプト宗教の中心的な存在として長く信仰され続けました。

プタ
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