パント(平底舟)とは:オックスフォード・ケンブリッジで親しまれるポール操船の浅瀬用ボート

パント(平底舟)とは、浅い川や運河で使われる、前部の幅が広く平らなボートの一種です。伝統的には長いポールを川底に押し当てて推進する操船法が用いられ、この動作自体を「パントする(punting)」と言います。操船者(パンター)は通常船尾に立ち、ポールを川底に突いて舟を前進させ、またポールを巧みに扱って方向を調整します。

構造と操作

パントは平底で喫水が浅く、穏やかな浅瀬で安定して走行できるよう設計されています。素材は伝統的に木材(オークやチークなど)が用いられますが、現代ではアルミやファイバーグラス製のものも見られます。一般的な特徴は以下の通りです:

  • 幅広の平らな底面で浅瀬に強い。
  • 前方は切り立った平らな形状、後方に操船スペース(ステアリング用のデッキ)を持つことが多い。
  • 内部にベンチ(サドルやスラット)、荷物や乗客用の広いスペースがある。
  • 推進具は「ポール(quant)」で、長さは水深や船長に応じて使い分ける(通常は数メートル)。

操船法としては、ポールを川底に押し込んで体重をかけて押す「押し出し式」が基本ですが、ポール先端を水中で引いて推進力を得る「スカリング(小刻みに引く)」や、ポールを使って舵取りするテクニックも使われます。

歴史と用途

パントはもともと荷物運搬や台船、狩猟(鳥撃ち)や釣りをするための実用船として発達しました。浅瀬でも人や物資を運べることから河川沿いの地域で広く使われてきました。現代ではレジャー用途が主流で、特にイギリスでは観光や学生の娯楽として親しまれています。

オックスフォード・ケンブリッジでのパント文化

現在、パントは主にイギリスの大学都市、特にオックスフォードやケンブリッジの川で観光や余暇活動として盛んです。ケンブリッジのCam川やオックスフォードのCherwell・Isis(テムズの支流名)の名所では、季節になると多くの貸し舟やツアーが運行されます。夏季には学生や観光客が楽しむためのパントレースやイベントも行われ、地域文化の一部となっています。さらに、夏のレガッタではテムズ川でのレース開催に合わせて関連行事が開かれることもあります。

楽しみ方とマナー・安全

  • 貸し舟を利用する場合、多くのボートハウスで短時間のレンタルやガイド付きツアー、あるいは操船を代行するサービスがあるため初心者でも楽しめます。
  • 乗船時はバランスに注意し、急に立ち上がったり舟首に集まらないようにすること。天候や水位の変化にも注意してください。
  • 救命具の着用や、深み・浅瀬の見極め、他の船とのすれ違いでの右側通行など、地元のルールや係員の指示に従うことが重要です。
  • オックスフォード/ケンブリッジ周辺では通行や撮影時のマナー(静かにする、景観を損なわないなど)が重視されます。

まとめ

パントは浅瀬向けに特化した伝統的な平底舟で、歴史的には実用船として発展し、現代ではオックスフォードやケンブリッジをはじめとする河畔でのレジャーや観光の定番となっています。操船は簡単そうに見えて技術を要するため、初めての場合は指導を受けたりガイド付きで試すのが安心です。

ケンブリッジでのパントZoom
ケンブリッジでのパント

パントポール

プレジャーパント用のポールは通常、スプルースまたはアルミニウムで作られています。通常のポールは、長さ約12~16フィート(4~5メートル)、重さ約10ポンド(5キログラム)です。オックスフォードやケンブリッジでは、16フィートの長さのポールが使われることもあります。

ポールの底には、先端を保護するための丸い金属の塊である「シュー」が取り付けられている。シューは、ツバメの尾のような形で作られていることもある。


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