BWV(バッハ作品目録)とは:ヨハン・セバスチャン・バッハの作品一覧と番号体系
BWV(バッハ作品目録)の全貌を解説。番号体系の仕組み、付録扱いの疑義作や史的変遷、代表作(BWV232など)の見つけ方まで分かりやすく紹介。
Bach-Werk-Verzeichnis(通称 BWV)は、ヨハン・セバスチャン・バッハの知られている作品を整理した総合的な目録です。ドイツ語での原語は「Bach-Werke-Verzeichnis」、英語ではバッハ作品目録を意味します。
BWVの成り立ち
この目録は音楽学者のヴォルフガング・シュミーダーによってまとめられ、1950年に刊行されました。シュミーダーはバッハに帰されている既知の音楽を収集し、ひとつひとつに番号(BWV番号)を付けて体系化しました。これにより、同じ曲名や似た形式の作品が多く存在しても、番号によって特定できるようになりました。たとえば、ロ短調ミサ曲はBWV 232であり、これを示せば曲の特定が明確になります。
番号の付け方と分類
BWV番号は作曲の年代順(書かれた順)ではありません。すべての作品は、形式や用途(ジャンル)ごとにまとまるよう配列されています。たとえば、カンタータ群、協奏曲群、鍵盤曲群、オルガン曲群、合唱曲群など、ジャンル別にグループ化されているため、同じジャンルの作品を容易に参照できます。これは、演奏会や研究で同種の作品を比較・参照するときに便利です。
付録(Anhang)と真偽の問題
バッハ作品とされてきた中には、実際にバッハが作曲したかどうか確証がないものがあります。そうした作品はBWV Anhang(BWV付録、しばしば「Anh.」と表記)として別にまとめられています。付録には、
- 資料が失われてしまい内容が確認できない失われた作品、
- 作曲者がバッハかどうか疑わしい作品、
- 後の研究でバッハ作ではないと判明した偽作や誤帰属の作品
などが含まれます。研究が進むにつれて、ある曲が付録から本体リストへ移されたり、逆に本体から除外されたりすることがあります。
代表的なBWV番号の例
BWVは日常的に演奏会の曲目表や楽譜、レコードの解説で使われます。よく知られた例をいくつか挙げると:
- BWV 232:ロ短調ミサ曲(Mass in B minor)
- BWV 244:マタイ受難曲(St Matthew Passion)
- BWV 245:ヨハネ受難曲(St John Passion)
- BWV 248:クリスマス・オラトリオ(Christmas Oratorio)
- BWV 846–893:平均律クラヴィーア曲集(Well-Tempered Clavier)
- BWV 565:トッカータとフーガ ニ短調(Toccata and Fugue in D minor)
- BWV 988:ゴルトベルク変奏曲(Goldberg Variations)
- BWV 1007–1012:無伴奏チェロ組曲(Cello Suites)
- BWV 1046–1051:ブランデンブルク協奏曲(Brandenburg Concertos)
歴史的経緯と改訂
シュミーダーが最初に編纂した1950年版以降も、音楽学の研究や新しい写本の発見により目録は補訂・更新されています。新しい研究に基づいて番号の扱いが見直されたり、付録から本体に移されたり、または逆にバッハ作でないと結論づけられる例もあります。したがって、参照する際は最新版や注記の付いた版を確認することが重要です。
表記と使用上の注意
出版物やレコードの中には古い慣習として" S. "(Schmiederの頭文字)を使ってBWV番号を表すものもありますが、シュミーダー自身はBWVという表記を推奨しました。実務上は「曲名, BWV番号」の形で表記するのが一般的です(例:プレリュードとフーガ ト長調, BWV 550 のように)。
まとめ
BWVはバッハの膨大な作品を整理し、研究・演奏・出版の現場で共通の識別子として広く使われています。番号が付けられていることで、同名や類似形式の作品の区別が容易になり、学術的な議論や演奏プログラムの正確性を保つ助けになります。研究の進展に伴い、目録も更新され続けている点に留意してください。
なお、バッハは多くの同時代の作曲家と同様にオーパス番号を用いませんでした。したがって現代の目録(BWVなど)が作品識別の基本となっています。
最後に、古い文献や録音で見られる表記の差異(BWVとS.など)に注意しつつ、作品を特定するためには常にBWV番号を併記して確認することをおすすめします。
質問と回答
Q: Bach-Werke-Verzeichnisとは何ですか?
A: Bach-Werke-Verzeichnis (BWV) は、ヨハン・セバスティアン・バッハの楽曲のうち、知られているすべての楽曲をリストアップしたものです。英語ではBach Works Catalogue(バッハ作品目録)という意味です。
Q:このカタログは誰が作ったのですか?
A:カタログは1950年にヴォルフガング・シュミーダーによって作られました。
Q:BWVは音楽家にとってどのように役立つのですか?
A:それぞれの曲に番号をつけることで、音楽家がどの曲について話しているのかを正確に知ることができるようになります。例えば、ト長調の前奏曲とフーガはいくつかありますが、「前奏曲とフーガ ト長調 BWV550」と書いておけば、どの曲か一目瞭然です。
Q:BWVの番号は年代順に並んでいるのですか?
A:いいえ、カンタータはすべて一緒、協奏曲はすべて一緒など、どのような曲であるかによって分類されています。
Q:古い本には「BWV」の代わりに何と書いてあるものがありますか?
A:古い本には「BWV」の代わりに「S」と書かれているものがあります(Sはシュミーダーのこと)。
Q:なぜシュミーダーは自分の名前を使われたくなかったのですか?
A:彼は自分の名前ではなく、バッハの名前を使うことを望んだのです。
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