ラヴィ川(Ravi)とは:地理・歴史・流域(パンジャブ・ラホール)解説

ラヴィ川の地理・歴史・流域を図解でわかりやすく解説。パンジャブ・ラホールを貫く流路、文化遺産とインダス水域条約の影響まで網羅。

著者: Leandro Alegsa

ラヴィ川Ravi River、ウルドゥー語:راوی)、サンスクリット語रविパンジャブ語ਰਾ 、はカシミール地方パキスタンにある重要な河川です。パンジャブ州の名前(「パンチ=5」「ナーブ=川」)の由来となる五つの川のうちの一つであり、インダス川流域の主要な分流の一つでもあります。

地理と流路

ラヴィは南アジア北部のヒマラヤ山麓に源を発し、一般にヒマーチャル・プラデーシュ州のチャンバ地区近辺から流れ出します。川は最初北西方向に流れ、その後ダルハウジー(Dalhousie)付近で南西へと向きを変え、マードプール(Madhopur)付近でパンジャブ平野に入ります。ここではダオラ・ダル(Dhaola Dhar)山脈の峡谷を切り開いて流下します。その後国境を越えてパキスタン領内に入り、最終的にはチェナブ川に合流します。

川の全長はおよそ720kmとされ、雪解け水とモンスーン雨を主水源とするため、季節による流量変動が大きいのが特徴です。上流域は山岳地帯、中・下流域は広い平野となり、両岸には灌漑用水や集落が発達しています。

歴史と文化的意義

ラヴィ川は古代から知られ、ヴェーダ時代にはParushani または Iravati と呼ばれていました。古代ギリシャの記録では Hydraotes として言及されています。歴史的にパンジャブ地方の文化・経済の中心となり、川沿いには都市や遺跡が形成されました。

特に、ラヴィは「ラホールの川」と呼ばれることがあり、その名の由来となっている都市ラホールは川の東岸に位置しています。対岸(西岸)には、ムガル朝期の史跡が残るシャフダラ(Shahdara)地区があり、ジャハンギールの墓やヌール・ジャハンの墓などが有名です。

水利用と国際条約

ラヴィ川の水は、1960年に締結されたインダス水域条約(Indus Waters Treaty)によって、インド側に主に配分されています。この条約により、ラヴィ(およびベーアス、スートレージ)は主としてインドが利用する「東部河川群」と位置づけられ、農業用灌漑や水力発電などに活用されています。インド側ではダムや堰、分水施設(例:マードプール付近の取水施設やRanjit Sagar(Thein)ダムなどの大型事業)が建設され、地域の農業生産や電力供給に貢献しています。

一方で、国境を越えて流れる河川であるため、流量管理・貯水・越境利用はインドとパキスタン双方にとって重要な政治的・技術的課題となっています。

主な支流とインフラ

  • 上流域には雪解け水を集める小さな山岳河川群があり、地域の降水や融雪に依存しています。
  • インド領内では灌漑用の取水堰やダム、発電所が整備されており、パンジャブ平野の農業を支えています。
  • 国境周辺では河川管理のための調査・維持作業が行われています。

環境問題と課題

ラヴィ川は上流の氷雪融解や下流の灌漑取水、都市からの排水などにより流量・水質とも変化が見られます。モンスーン期の洪水リスク、非モンスーン期の流量不足、土砂堆積や生態系の劣化、河川周辺の都市化による環境負荷などが主な課題です。越境河川であるため、持続可能な水資源管理や河川の保全には国際的な協調も欠かせません。

観光・史跡

ラヴィ川流域には自然景観や歴史的建造物が多く、丘陵部の景勝地(ダルハウジーなど)や平野部のムガル期の史跡(シャフダラの霊廟群など)は観光資源となっています。地域の文化・宗教行事や伝統的な河畔の生活も、河川の重要性を物語っています。

まとめ

ラヴィ川はヒマラヤに源を発し、パンジャブ平野を潤してパキスタンでチェナブ川に合流する重要な河川です。古代から人々の生活・文化に深く結びつき、現在では灌漑や発電など経済的に重要な役割を担う一方、越境性と季節変動に起因する管理上の課題や環境問題にも直面しています。地域の安定的な発展のためには、流域全体での統合的な管理と保全が求められます。

ラホールのラビ川Zoom
ラホールのラビ川

1895年頃のラヴィ川の船橋Zoom
1895年頃のラヴィ川の船橋

質問と回答

Q:ラヴィー川とは何ですか?


A: ラヴィ川は、インド北西部とパキスタン東部を横断する川です。パンジャブ州の名前の由来となった5つの川のひとつで、インダス川の主要な5つの川・支流のひとつでもあります。

Q: ラヴィ川の古代の名前は何ですか?


A: ラヴィ川は、ヴェーダ時代のインド人にはパルシャニまたはイラヴァティと呼ばれ、古代ギリシャ人にはヒドラオテと呼ばれていました。

Q: ラヴィ川の源流はどこですか?


A: ラヴィ川はヒマラヤ山脈のヒマチャル・プラデーシュ州チャンバ地区で北西に流れています。

Q: 川の全長はどのくらいですか?


A:全長は約720kmです。

Q: ラヴァ川の水がどのように配分されるのか、どのような協定があるのでしょうか?


A: ラヴィ川の水は、インドとパキスタンの間のインダス水条約とインダス流域プロジェクトという協定に基づき、インドに割り当てられています。

Q:この川の両岸にはどんな都市がありますか?


A:東岸にはラホールがあり、西岸にはジャハンギールの墓やヌール・ジャハーンの墓があるシャハダラがあります。


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