パンジャブ語はインド・アーリア語。それは約1億3000万人の人々の第一言語であり、世界で10番目に多く話されている言語です。この言語を話す人々のほとんどは、パキスタンとインドのパンジャーブ地方に住んでいます。また、インドのハリヤナ州、インドのヒマーチャル・プラデーシュ州、インドのデリーでも広く話されています。パキスタンでは人口の大部分がこの言語を話しています。
パンジャブ語は、ヒンディー語、ベンガル語、ウルドゥー語、マラーティー語などの他の多くの現代インド・アーリア語と同様に、サンスクリット語の古代言語から発展しました。パンジャブ語は、このグループの中では珍しく調性のある言語です。調音や声調の特徴は音韻変化(特に有声子音の消失と連動した声調の発達)によって説明され、多くの方言で高低や落差のある声調差が意味を区別します。
パンジャブ語は、GurmukhīとShahmukhīと呼ばれる2つの異なる文字で書かれています。Gurmukhī(グルムキー)は主にインド・パンジャーブで使われ、左から右へ書きます。Shahmukhī(シャームキー、ペルシア系アラビア文字に由来)は主にパキスタン側のパンジャーブで用いられ、右から左に書かれます。歴史的にはLanda系の筆記法やローマ字表記も存在し、現代ではメディアや移民コミュニティでラテン文字表記もよく見られます。
パンジャブ語はシーク教徒が話す主な言語である。グル・グラント・サヒブのほとんどの部分では、グルムキーで書かれたパンジャーブ語が使われていますが、シク教の経典で使われている言語はパンジャーブ語だけではありません。グル・ナンナク(1469-1539)の生涯と伝説を描いたジャナムサキス(Janamsakhis)は、パンジャブ文学の初期の例です。
方言と変種
パンジャブ語には多数の方言群があり、地域や社会集団によって発音・語彙・文法が異なります。代表的な方言には次のようなものがあります。
- マジー(Majhi):ラホール(現在のパキスタン)やアムリトサル周辺で使われ、標準的な変種と見なされることが多い。
- ドアビ(Doabi)、マルワイ(Malwai)など:インド・パンジャーブの各地域の方言。
- ポトーハーリー(Pothohari)、シェイフプーリー(Shahpuri)、ジャンゴーチ(Jhangochi)など:パキスタン側の北・中部で話される方言群。
- セラーキー(Seraiki)やヒンドコー(Hindko)はしばしば独立した言語あるいは関連する言語変種として扱われる。
文法の特徴(概説)
- 語順は基本的にSOV(主語‐目的語‐動詞)で、後置詞(英語の前置詞に対する相)を使います。
- 名詞は性(男性・女性)と数(単数・複数)を持ち、格は派生形や後置詞で表されます。
- 動詞は時制・相・法を示す屈折を持ち、助動詞(主に「ある/いる」に相当する語)と組み合わされて体系が作られます。敬語や丁寧表現も発達しています。
- 音韻的には、無声・有声・濁音や気音(有気/無気)の対立、そして前述の声調(調性)が重要です。
歴史と文学
パンジャブ語には古くから豊かな口承文学と書記文学があり、宗教詩や叙事詩、民話が発展してきました。著名な詩人や作品には、バーバー・ファリード(Baba Farid)、ブルレ・シャー(Bulleh Shah)、ワリス・シャー(Waris Shah)の叙事詩「Heer Ranjha」などがあります。シーク教の聖典であるグル・グラント・サヒブの詩篇群は、パンジャブ語(および他の言語)で書かれ、宗教的・文学的に重要です。
社会的地位と国際的分布
インドのパンジャーブ州ではパンジャブ語(グルムキー)が公用語として広く使われ、教育や行政にも採用されています。一方、パキスタンではパンジャブ語は話者数が多いものの、連邦レベルではウルドゥー語と英語が公用語として使われるため、公的地位は限定的です。ただし地域メディアや民間の文化活動、日常生活ではパンジャブ語が主要な役割を果たしています。
また、移民コミュニティにより世界各地にパンジャブ語話者が広がっています。特にカナダ、イギリス、アメリカ合衆国、オーストラリア、ニュージーランドなどで大きなコミュニティが存在し、現地のメディアや宗教施設、学校でパンジャブ語が使われることも多いです。
現代の課題と展望
グローバル化と都市化の中で、パンジャブ語は若い世代の言語選択や教育政策の影響を受けています。インドではグルムキー教育の普及が進む一方、パキスタンでは公教育での扱いが限られるため、パンジャブ語の維持・振興を求める運動や民間での教育プログラムが行われています。ポップミュージック(特にバングラやパンジャビ・ポップ)や映画、デジタルメディアを通じてパンジャブ語文化は国際的に注目され続けています。
参考として、パンジャブ語を学ぶ際は発音(特に声調)と文字(グルムキー/シャームキー)のどちらを優先するかを学習目標に応じて決めるとよいでしょう。方言差や文字差にも配慮しつつ、音楽や詩、会話に親しむことで理解が深まります。


