リアルガー (As4S4):赤い砒素硫化鉱物の性質・歴史・用途
リアルガー(As4S4)の性質・生成・歴史・用途を解説。赤色の性状・光変化、顔料や花火・伝統薬としての利用、毒性と安全対策まで詳述。
リアルガーは鉱物の一種で、化学式は As4 S4 です。鮮やかな赤〜橙赤色を示す軟らかい硫化ヒ素の鉱物で、モース硬度は約1.5〜2(モース硬度)ととても軟らかく、触れると粉状になりやすい性質を持ちます。結晶は単斜晶系(モノクリニック)に属し、分子結晶的な構造をとることが多いです。比重はおよそ3.4〜3.6程度で、光沢は樹脂光沢からガラス光沢を示します。
物理・化学的性質
- 化学式:As4 S4
- 色:赤〜橙赤(露光や風化で変色しやすい)
- 硬度:モース1.5〜2(非常に軟らかい)
- 比重:およそ3.4〜3.6
- 融点:約320℃付近で融解し、その際に砒素や硫黄を含む煙を発しやすく、青い炎を伴って燃焼する
- 露光・風化:光に当たると黄色い粉に変化する。これがパラレアルガーと呼ばれる変質生成物で、しばしば粉状・脆い黄色物質として現れる
産状と伴う鉱物
リアルガーは低温の熱水鉱脈や熱水性の堆積環境で産出し、しばしばオルピメントと(黄砒素硫化鉱、As2S3)共生します。また、スズやアンチモンの硫化鉱物やその他のヒ素鉱物と伴うことが多く、脈状・塊状・粒状で産出することが一般的です。世界各地で見られ、中国でも古くから知られてきました。
歴史と用途
歴史的には、リアルガーは顔料(赤〜橙赤色)や交易品として古くから利用されました。花火・爆竹の製造においては、金属粉が一般的に使われるようになる以前には、光色や効果を出すためにリアルガーが使われることがありました。現在でも一部の爆竹や古い配合を踏襲する製品で用いられる例がありますが、毒性のため使用は制限される傾向にあります。
また、伝統的な用途としては赤色顔料、殺虫剤や防腐剤としての利用、さらに中国では薬として用いられてきた歴史があります。ただし現代ではヒ素の毒性が問題となり、安全性上の理由で規制・代替が進められています。
光による変化(パラレアルガー)
リアルガーは光や風化によって化学的に変化しやすく、赤色の結晶が黄色い粉状物質に転換します。この黄色い変化生成物はパラレアルガーと呼ばれ、構造的には実晶のリアルガーとは異なる状態(しばしば非晶質または微細結晶)になります。考古学や美術品の保存分野では、リアルガーの露光による退色・変質が問題になることがあります。
安全性と環境
リアルガーはヒ素を主成分とするため有毒です。取り扱いには注意が必要で、粉末状や加熱時に発生する蒸気・煙の吸入、皮膚接触、誤飲は重大な健康被害を招きます。燃焼や強熱時には砒素酸化物など有害なガスを発生するため、適切な換気と保護具(手袋、マスク、局所排気など)が必須です。また、廃棄は地域の有害廃棄物規制に従って行うべきです。
鑑定ポイント
- 色調:赤〜橙赤、摩耗や露光で黄色化
- 硬度:非常に軟らかく、ナイフで簡単に傷がつく
- 条痕:赤橙色の条痕を示すことが多い
- 光沢:樹脂光沢〜ガラス光沢
- 伴生鉱物や産状:オルピメントなどのヒ素鉱物と共に産する場合が多い
総じて、リアルガーは美しい赤色を示す一方で光や風化に弱く、かつヒ素による毒性があるため、美術品の保存や用途選定、採掘・加工・廃棄の段階で慎重な取り扱いが求められる鉱物です。

リアルガー
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