リペントレス』は、アメリカのスラッシュメタルバンド、スレイヤーの12枚目のスタジオアルバムである。2015年9月11日に発売され、バンドにとって初めてNuclear Blastからリリースされたアルバムである。また、スレイヤーのアルバムでは初めてエクソダスのギタリスト、ゲイリー・ホルトが参加し、2001年の『God Hates Us All』以来、初めてドラマーのポール・ボスタフが参加した作品である。
このアルバムはビルボード200で4位となり、アメリカでのバンドのアルバムチャートで最高位を記録した。また、ドイツでも首位を獲得し、世界各国の20近いチャートでトップ10入りを果たした。批評家からは賛否両論の評価を得た。
背景と制作
前作から約6年ぶりとなる本作は、長年のギタリストであるジェフ・ハンネマンの逝去(2013年)およびドラマーの交代を経た新体制での初のフル・アルバムで、バンド史の大きな転換点に位置づけられる。楽曲の多くはケリー・キングによって書かれ、スレイヤー流の高速で苛烈なリフとリズムを前面に押し出した。一方で、ハンネマンが残したアイデアを元にした楽曲も収録され、過去から現在へと連なるサウンドの連続性が意識されている。レコーディングは2014年から2015年にかけて米ロサンゼルスのスタジオで行われ、ゲイリー・ホルトはリードギターの多くを担当。ポール・ボスタフのアグレッシブでタイトなドラミングは、全編の推進力となっている。
音楽性・テーマ
ピュアなスラッシュメタルの再提示が本作の核で、ダウンチューニングに頼らない切れ味の鋭いリフ、疾走パートとミドルテンポのうねりを緻密に配した楽曲構成が特徴。歌詞は、宗教的権威への懐疑、個人の意志、暴力と倫理の境界といったスレイヤーが一貫して扱ってきた題材を引き継いでいる。タイトル曲「Repentless」はバンドの不屈の姿勢を標榜するアンセムとして機能し、「When the Stillness Comes」はホラー的叙述で異色の緊張感を生む。「Pride in Prejudice」や「You Against You」など、対立と憎悪をテーマにした楽曲も印象的である。アートワークは宗教的図像と暴力的イメージをコラージュした重厚なデザインで、作品全体のダークな美学を視覚面から補強している。
シングルとプロモーション
- Implode(2014): 新体制で初披露された先行曲。ファンにとってバンドの現在地を示す狼煙となった。
- When the Stillness Comes(2015): レコード・ストア・デイにシングル化され、アルバム発表への期待を高めた。
- Repentless(2015): 代表曲としての地位を確立。刑務所を舞台にした過激なMVが話題に。
- You Against You(2016) / Pride in Prejudice(2016): 映像は物語的に連続し、アルバム世界観を拡張した。
アルバム発表後はワールドツアーを大規模に展開し、フェスティバルや単独公演で多くの新曲がセットに組み込まれた。後年には、同時期のMV群とライヴ映像を軸にした映像作品もリリースされ、Repentless期の総括となった。
評価
レビューは概ね肯定的だが保守的という見立てが多く、演奏とサウンドの鋭さ、特にボスタフのプレイとホルトのリードワークは高評価を獲得。一方で、革新性や意外性に乏しいとする指摘もみられた。ファンの受け止めは総じて好意的で、クラシック期の攻撃性を現代的にアップデートした「堅牢なスレイヤー像」を提示した作品と捉えられている。
チャート成績
収録曲(標準盤)
- Delusions of Saviour
- Repentless
- Take Control
- Vices
- Cast the First Stone
- When the Stillness Comes
- Chasing Death
- Implode
- Piano Wire
- Atrocity Vendor
- You Against You
- Pride in Prejudice
多くの楽曲はケリー・キングによる作曲で構成され、「Piano Wire」などにはジェフ・ハンネマン由来のアイデアが反映されている。
参加メンバー
- トム・アラヤ – ベース、ヴォーカル
- ケリー・キング – ギター
- ゲイリー・ホルトが – ギター(リードを多数担当)
- ポール・ボスタフが – ドラムス