ローズウッドとは:種類・特徴・産地・用途と保全問題をわかりやすく解説
ローズウッドの種類・特徴・主な産地・用途と違法伐採や保全問題を分かりやすく解説。材質・香りや楽器・家具への利用も詳述。
ローズウッドは、ダルベルギア属の樹木から採れる木材です。世界中で美しい木肌と深い色合い、そして独特の香りが評価され、楽器や高級家具などに広く使われてきました。
主な種類と特徴
- ブラジリアンローズウッド(代表例: Dalbergia nigra)— 非常に濃い褐色〜紫黒色の縞が入り、美しい光沢と強い甘い香りが長く続きます。音響特性が良いため、ギターの裏・側板や高級楽器に重用されます。
- インディアンローズウッド(東インドローズウッド) — Dalbergia latifolia から採れるもので、英語では Indian rosewood と呼ばれます。インド原産で、プランテーション栽培も行われています。文章中のパキスタンの他の場所でもプランテーションで栽培されています(Chiniot)。
- マダガスカル・ローズウッド — Dalbergia maritima(現地で“bois de rose”と呼ばれることもある)で、赤みの強い色調が非常に珍重されます。野生個体は乱獲の影響が大きく、保全上の問題が深刻です。
- 東南アジア産のローズウッド類 — Dalbergia cultrata など、地域ごとに近縁種があり、流通上は D. olivier i として販売・表示される場合もあります。
材としての性質
- 色調は赤〜茶〜紫黒色の幅があり、木目に濃淡の縞が出ることが多い。
- 比重が高く、硬くて堅牢。加工後の仕上がりは光沢が出やすく、美しい。
- 油分を含み、しっとりとした手触り。鋭利な工具を鈍らせやすい。
- 香りがあり、甘く「ローズ(薔薇)」を連想させる香味が長く残る種類もあります。
- 一部の人には皮膚刺激や呼吸器アレルギーを引き起こすことがあり、加工時は防塵マスクや手袋の着用が推奨されます。
代表的な用途
- 弦楽器(特にギターの裏板・側板、指板など)— 優れた音響特性と美観から高級楽器に使用。
- 高級家具、化粧板、象嵌、彫刻、工芸品。
- 刃物の柄や木工用具、ターンリー(旋盤加工品)など。
- 一部は船舶・建築の内装材としても利用されてきました。
産地と流通
ローズウッド類は主に南米(ブラジル等)、インド亜大陸、マダガスカル、東南アジア一帯で採取・生育します。東南アジア全域で、木工用として収穫される種類が多く、国際市場で高値で取引されることが乱獲の一因となっています。
保全問題と法規制
ローズウッドは高値で取引されるため、違法伐採や密輸、乱獲による個体数の激減が各地で深刻です。特にマダガスカルの群落やブラジリアンローズウッドは大きな影響を受けています。マダガスカル・ローズウッド(Dalbergia maritima)はその赤い色が非常に珍重されますが、野生では乱獲されています。2010年の取引と違法伐採のモラトリアムは無視されるケースも報告されています。
国際的には多くのダルベルギア属の種がワシントン条約(CITES)で規制され、国際取引には許可書が必要です。特定種や産地によってはより厳しい規制(輸出入禁止や附属書I指定など)が適用されるため、輸出入や長距離販売では書類確認が欠かせません。
流通上の注意点と消費者向けアドバイス
- 購入時:種名や産地、CITES書類や原産証明の有無を確認する。疑わしい輸入経路や安価すぎる高級材には注意。
- 楽器製作・販売:国際販売を行う場合、該当する種がCITESで規制されていないかを事前確認し、必要書類を整備してください。
- 代替案:FSC認証材、植林材、再生材、あるいは合成材や他の代替樹種(例: Pau Ferro や他の硬木)を検討する。
- 作業安全:切削粉塵による健康被害を避けるため、防塵マスク、換気、手袋、適切な工具管理を行う。
識別のポイント
- 色合いと木目:赤みや紫みがかった縞が特徴。ただし乾燥や仕上げで色は変化する。
- 重量と硬さ:重く硬い。比重の高さは一つの目安になる。
- 香り:削ったときに甘い香りが出る種がある(ただし全てではない)。
- 専門機関による検査:疑わしい場合は、顕微鏡的観察や化学・DNA検査で種の同定や産地確認が可能です。
保全に向けた取り組み
持続可能な利用のためには、以下のような取り組みが重要です。
- 合法伐採・合法取引の徹底と違法取引への取り締まり強化。
- プランテーションや代替材の普及促進。
- 認証制度(FSC等)やトレーサビリティ技術(DNAバーコーディングやチェーン・オブ・カストディ管理)の活用。
- 消費者教育:希少種への需要を抑え、再利用・リサイクル材を選ぶ意識の醸成。
まとめると、ローズウッドは美観・音響ともに優れた貴重な木材ですが、種によっては深刻な保全問題を抱えています。購入や輸出入、加工を行う際は、種名・産地・法規制を確認し、持続可能な選択を心がけてください。
補足:本文で触れられた学名や流通名(例: Dalbergia latifolia, Dalbergia maritima, Dalbergia cultrata)は、種の同定や法的扱いに影響するため、正式名称での確認をおすすめします。


ダルベルジア・ラティフォリア・ローズウッドのチェス駒
質問と回答
Q:ローズウッドとは何ですか?
A:ローズウッドはダルベルギア属の樹木から採れる木材です。
Q:ブラジリアンローズウッドとは何ですか?
A:ブラジリアンローズウッドは、バイアローズウッドとも呼ばれるDalbergia nigraの木から採れる木材です。強く甘い香りが何年も続くのが特徴です。
Q:イースト・インディアン・ローズウッドとは何ですか?
A:イースト・インディアン・ローズウッドは、ソノケリングとも呼ばれ、Dalbergia latifoliaの木から採れ、インド原産です。パキスタンのプランテーションでも栽培されています。
Q:マダガスカル・ローズウッドとは何ですか?
A:マダガスカルローズウッドは、Bois de Roseと呼ばれ、Dalbergia maritimaの木から採れ、その赤い色が非常に珍重されています。野生では乱獲されています。
Q: マダガスカル産ローズウッドの乱獲は対策されていますか?
A: はい、2010年に貿易と違法伐採のモラトリアムが実施されましたが、無視されています。
Q: Dalbergia oliveriとは何ですか?
A: Dalbergia oliveriは、東南アジア全域で木工用として収穫されるローズウッドの一種です。香ばしい匂いがします。
Q: Dalbergia cultrataの販売に問題はないのでしょうか?
A: はい、Dalbergia cultrataがD. olvieriとして販売されているため、混乱を招き、木材の持続可能性に害を及ぼす可能性があります。
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