英国のブレグジット担当国務長官とは?設立・役割と歴代一覧
英国のブレグジット長官の設立経緯(2016年創設)・役割・歴代一覧を分かりやすく解説。デイヴィッド・デイヴィスから現職までの経緯と政策影響を網羅。
欧州連合離脱担当国務長官(またはブレグジット長官)とは、イギリスの内閣のポストで、英国の欧州連合(EU)離脱(Brexit)に関する交渉・調整を担当する役職です。正式には「Department for Exiting the European Union(DExEU)」を所管する国務長官を指し、政府内で離脱に関する方針決定と実務の中心的役割を担いました。
設立の背景と目的
このポストは、2016年の国民投票でイギリスがEU離脱を決定したことを受け、テリーザ・メイ新首相によって2016年に創設されました。目的は、EU側との離脱交渉の一元的な指揮、国内の法制度・行政の整備、議会との調整、公共・経済面での準備といった幅広い調整業務を行うことにありました。
主な役割と権限
- EU離脱交渉の指揮・連携:EUとの離脱条件や移行期間、将来関係に関する交渉で政府を代表するか、政府内で交渉方針を取りまとめる。
- 国内法・政策の調整:EU(Withdrawal)法案など、離脱に伴う国内法整備や規制の調整を主導する。
- 省庁間調整:貿易、移民、農業、金融など各分野の省庁と連携して離脱に伴う実務的影響に対応する。
- 議会・世論との対応:議会での審議対応や説明、また国民・企業向けの情報提供や準備支援を行う。
歴史と経緯(主な動き)
創設以降、ブレグジット長官は離脱交渉の難航や政内の対立を背景に幾度か交代がありました。交渉の進展や合意案を巡る意見の相違が理由で辞任が発生するなど、政治的にも注目されたポストです。最終的に、イギリスがEUを正式に離脱した後、同省(DExEU)はその任務を終え、機能は他省庁や内閣府へ移管され、役職自体は廃止されました。
歴代担当者(主な人物)
- デイヴィッド・デイヴィス:2016年7月就任(2018年7月に辞任)。初代ブレグジット長官として離脱交渉の立ち上げを主導しました。
- デイヴィスの辞任後、ドミニク・ラーブがブレグジット長官に就任(2018年7月–2018年11月)。草案に反対して辞任する形となり、交渉の方針を巡る論争の中心になりました。
- 2018年11月にラーブが辞任すると、スティーブン・バークレイが国務長官に就任しました。以降、政府内での再編や首相の交代などを経て、DExEUの機能は段階的に他省庁へ移され、最終的にはEU離脱後に廃止されました。
評価と課題
ブレグジット長官の役割は、国家的課題の性格上、強い政治的影響力と複雑な調整力を要求されました。支持派からは交渉の集中管理のために必要と評価される一方、反対派や批評家からは交渉方針の不透明さや省としての効率性に対する批判もありました。特に離脱合意案(Withdrawal Agreement)や北アイルランド問題(Backstop)を巡る論争は、同職の継続性と信任に直接的な影響を与えました。
総じて、欧州連合離脱担当国務長官は、Brexitという一過性かつ大規模な政治課題に対応するために設けられた専門ポストであり、その設立・運用・廃止は近年の英国政治の重要な一章を示しています。
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