耐震性能とは?定義・基準・評価方法と歴史的背景をわかりやすく解説

耐震性能とは、ある地震が発生したときに建築物の構造体が安全性や耐用年数などの機能を維持できるかどうかを示すものである。通常、構造物の一部または全部が倒壊して、その中にいる人や周囲の人の生命や健康に危険が及ばない場合、安全であるとみなされます。構造物は、設計された機能を果たすことができれば、使用可能であるとみなされるかもしれません。

耐震性能の考え方(評価の観点)

耐震性能は単に「壊れないこと」だけを意味しません。一般に、評価は目的に応じて複数のレベルに分けられます。主な観点は以下のとおりです。

  • 生命安全(Safety): 人命が守られ、倒壊や重大な崩壊が生じないことを重視します。
  • 継続使用性(Serviceability): 地震後も通常の業務や生活が続けられるか、あるいは短期間で回復できるかを評価します。
  • 修復のしやすさ(Repairability): 損傷は許容されても、補修で機能回復が可能かどうかを考えます。

これらは設計者や所有者、用途(住宅、病院、避難所、公共施設など)により重視する順序が変わります。

法令・基準・等級

日本では建築基準法などの法令で耐震設計の基準が定められており、1981年の改定(一般に「新耐震基準」)以降、建物の地震性能に関する基準は大きく強化されました。実務では以下のような枠組みが使われます。

  • 設計法:等価静的荷重法、応答スペクトル法、時刻歴解析など。
  • 耐震等級:住宅性能表示制度で示される等級(耐震等級1〜3)。耐震等級1は建築基準法相当、等級2/3はそれより高い安全度を示します。
  • 用途や重要度に応じた基準強化:病院や免震構造を必要とする施設は、より厳しい検討が要求されます。

評価方法(設計・診断・解析)

耐震性能の評価は新築設計と既存建物の診断で方法が異なります。

  • 新築設計:構造計算により所定の地震力に対して必要な強度・変形性能を確保します。代表的な解析法は等価静的法、応答スペクトル法、非線形時刻歴解析などで、建物の特性や重要度に応じて使い分けられます。
  • 既存建物の耐震診断:外観調査、図面や材料の確認、簡易診断(一次診断)から精密診断まで段階的に行います。診断結果に基づき、補強の必要性や具体的な改修計画が立てられます。
  • 性能照査(性能設計):期待する性能(倒壊防止、再使用可能性など)を定義し、それに照らして解析を行う方式で、特に重要施設で使われます。

耐震対策の手法

具体的な対策は目的と費用に応じて選ばれます。主な手法は:

  • 耐震補強:既存の構造体に補強壁や鋼材を追加する、接合部を補強するなどして強度を高めます。
  • 制震:ダンパー(粘性・摩擦など)を設置して地震時の振動エネルギーを吸収し、変形や損傷を抑えます。
  • 免震:建物と基礎の間に免震装置(積層ゴムやローラー)を挿入して地震力の伝達を低減し、上部構造の被害を小さくします。

歴史的背景と変遷

古代の建築家たちは、地震は神々(ギリシャ神話では「ポセイドン」)の怒りによるもので、人間には抗えないものだと考えていた。

以後も各時代で地震対策は進化してきました。日本の伝統木造建築は柔軟性のある構造や継手で揺れに対処してきましたが、近代化とともに鉄筋コンクリートや鉄骨造が普及すると、細部の施工や設計の不足が大災害時に問題となるケースが出てきました。大きな節目としては、1981年の基準改定(新耐震基準)や、1995年の阪神・淡路大震災があり、これらを契機に法制度や実務、耐震診断・改修の制度が整備・普及しました。

近年の意識と取り組み

地震荷重は、構造物が破壊されずに耐える能力を超えることもありますが、現在では人々の意識は大きく変化しています。

自治体や国は老朽化した建物の耐震化を促進し、公共施設や避難所、学校などの耐震補強を優先する施策を進めています。また、住宅購入時に耐震診断や耐震等級を確認することが一般的になり、免震・制震などの技術も商業施設や住宅で採用されるようになりました。

実務者・住民が知っておくべきポイント

  • 古い建物(特に1981年以前の設計)の場合は耐震診断を専門家に依頼することを検討してください。
  • 住宅を購入する際は耐震等級や構造種別、過去の補強履歴を確認しましょう。
  • 避難経路や家具の固定、窓ガラス対策など、建物以外の備えも重要です。
  • 公共施設や病院など社会的に重要な建物は、単に倒壊しないだけでなく地震後も機能を維持することが求められます。

耐震性能は「完全に地震を防ぐ」ことではなく、被害の程度を小さくし、人命を守り、社会機能の維持を図るための設計・対策の総称です。疑問があれば、建築士や構造設計者、自治体の相談窓口に問い合わせてください。

ポンペイ最後の日』( カール・ブリュロフ著、国立ロシア美術館蔵Zoom
ポンペイ最後の日』( カール・ブリュロフ著、国立ロシア美術館蔵

2010年の地震後のハイチの国連本部。Zoom
2010年の地震後のハイチの国連本部。

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質問と回答

Q: 耐震性能とは何ですか。

A: 耐震性能とは、地震時および地震後に、建築構造物が安全性や耐用性などの機能を維持する能力のことです。

Q:地震時に安全と判断されるのはどのような場合ですか?



A:地震の際に、構造物の一部または全部が倒壊することによって、その中にいる人や周囲の人の生命や健康が危険にさらされることがなければ、その構造物は安全であるとみなされます。

Q:地震時に構造物が使用可能であるとはどういう意味ですか?



A:地震荷重がかかっても設計通りに機能する構造物であれば、地震時に使用可能であると考えられます。

Q: 古代の建築家は地震についてどのように考えていましたか?



A: 古代の建築家たちは、地震は神々の怒りによって引き起こされるものであり、人間が防ぐことはできないと信じていました。

Q:現代の耐震に対する考え方は何が違うのですか?



A: 耐震性能に対する現代の考え方は大きく変わり、地震荷重が構造物の耐力を超えても、損傷することなく耐えられることが認識されるようになりました。

Q:地震で建物の構造が部分的に壊れても安全だと言えるのでしょうか?



A:いいえ、地震によって建物の一部または全部が壊れても安全とは言えません。

Q: ギリシャ神話に登場する「アースシェイカー」とは誰のことですか?



A: ギリシャ神話の主な「アース・シェーカー」はポセイドンです。

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