リヒター・マグニチュード・スケールは、地震の規模(マグニチュード)を数値で表すために1935年にチャールズ・リヒター(とその同僚ベノ・グーテンベルク)が開発した尺度です。一般に「リヒタースケール」や単に「リヒター」と呼ばれます。定義上は、標準化された特定の型の地震計で観測された地震波の振幅を基に算出され、基準的には震源から約100km離れた地点での振幅に換算して評価されます。
定義と算出式
リヒタースケール(しばしば記号 ML と表記されるローカル・マグニチュード)は、観測された振幅 A(木・アンダーソン型などの標準地震計での最大振幅、通常マイクロメートル単位)と震源距離 Δ に依存する補正関数 A0(Δ) を用いて、概ね次のように定義されます:
ML = log10(A) − log10(A0(Δ))
ここで A0(Δ) は震源距離に応じた参照振幅で、各地域や観測網で補正が行われます。要するに「観測振幅の常用対数を取り、距離補正を引いた値」がマグニチュードです。
対数尺度とエネルギーの関係
- リヒタースケールは対数尺度です。マグニチュードが1増えると、記録される振幅は約10倍になります。
- 地震が放出するエネルギーは振幅の変化よりも急激に増え、マグニチュードが1増加するとエネルギーは概ね約32倍に相当するとされています(エネルギーとマグニチュードの関係には近似式が用いられます)。
- たとえば、マグニチュード3.0の地震はマグニチュード2.0の地震に比べて振幅が約10倍、大まかなエネルギー比では約32倍に相当します。
測定法と器具
リヒター尺度は元来、カリフォルニアで用いられていたWood–Andersonトーション式の標準地震計に基づいて定義されました。実際の観測では各地の地震計で得られた振幅をこの標準器の応答に換算し、距離補正を加えてマグニチュードを算出します。現代では自動処理で多種類の地震計データを標準化して計算されます。
制約と他の尺度
- リヒタースケールは中小規模の地震(おおむね M0〜M6 前後)には有効ですが、大規模地震では「飽和」しやすく、真の地震規模を過小評価することがあります。
- そのため、大きな地震の規模評価には「モーメントマグニチュード(Mw)」が現在は標準的に使われています。Mw は地震の断層面積とずれ量および岩石の剛性(地震モーメント)から直接求められるため、大規模地震でも正しく評価できます。
- また、リヒターとは別に表面波マグニチュード(Ms)や体波マグニチュード(mb)など、用途に応じた別のマグニチュード尺度も存在します。
- 「マグニチュード」は地震が放出する総エネルギーの尺度であり、家屋の揺れや被害の程度を示す「震度」とは異なる概念です。
観測される頻度と記録
世界では毎年多数の地震が発生しますが、一般にマグニチュード4.5以上の地震は世界中の常設観測網で広く検出・報告されます。極めて巨大な地震としては、1960年に発生したチリ大地震(観測史上最大のマグニチュード約9.5)があり、この地震では多くの犠牲者と大きな津波被害が出ました。これまでにマグニチュード10以上の地震は記録されていません。
(資料出典の一例:U.S. Geological Survey の解説など)
まとめ
- リヒタースケールは地震の振幅を対数的に表す古典的なマグニチュード尺度である。
- 1単位の増加は振幅で10倍、放出エネルギーでは約32倍に相当する。
- 大規模地震の評価には現在はモーメントマグニチュード(Mw)が適している。
- マグニチュード(規模)と震度(揺れや被害の程度)は異なる指標である。