南キヴ州(コンゴ民主共和国)概要:首都ブカブ・歴史・地理・行政区分
南キヴ州(フランス語:Sud-Kivu)は、コンゴ民主共和国の26の州の一つである。首都はブカブ。
南キヴ州は、1989年に既存のキブ州を3分割して誕生した(分割後の州の一部としては、北キブ州やマニエマ州などがある)。
2015年8月7日、2015年南キヴ地震(マグニチュード5.8)がカバレの北北東35km(22m)の深さ12.0kmの地点で発生した。1名が死亡した。
行政的には、スディ・キブ州は8つのテリトリーに分かれています。
地理
南キヴ州はコンゴ東部に位置し、東側でルワンダや湖を介して接するほか、西側は内陸の高地に連なる山地が広がります。州域には、 キヴ湖(Lake Kivu)とタンガニーカ湖(Lake Tanganyika)の一部に面する沿岸域があり、湖畔地域は交通・漁業・交易の重要な拠点です。ミトゥンバ(Mitumba)山脈や周辺の山岳地帯は標高差が大きく、気候や植生の変化も顕著です。
歴史と社会
植民地時代以降、キブ地方は長年にわたり人口移動と土地利用の変化が続いてきました。1990年代以降の地域紛争(第二次コンゴ戦争以後の武装勢力の活動)や国境を越えた避難民・難民の往来は、社会構造と治安に大きな影響を与えています。首都ブカブは湖畔に位置する地域の政治・経済の中心地で、周辺地域からの流入人口が多い都市です。
行政区分
主要な8つのテリトリー(行政区)は以下のとおりです。
- Kabare(カバレ)
- Kalehe(カレヘ)
- Mwenga(ムエンガ)
- Uvira(ウヴィラ)
- Fizi(フィジ)
- Shabunda(シャブンダ)
- Walungu(ワルング)
- Idjwi(イジュイ)— キヴ湖の島を含むテリトリー
人口と言語
州内には複数の民族が暮らし、バンツー系の諸民族が多くを占めます。公用語としてはフランス語が用いられますが、日常交流や市場ではスワヒリ語(キスワヒリ)が広く使われています。その他、地域ごとに固有の言語や方言も多数存在します。
経済と生業
経済は農業が基盤で、コーヒー、茶、とうもろこし、キャッサバ、豆類などの栽培が行われています。湖沼域では漁業も重要です。また、地域には鉱物資源(錫、コルタン、金など)が分布しており、鉱業活動は経済的には重要ですが、しばしば非合法採掘や紛争資源問題とも結びついています。
自然環境と保護区
南キヴ州は生物多様性が高く、特にキブ湖周辺や山岳森林には固有種が多く見られます。カフジ=ビエガ国立公園(Kahuzi-Biega National Park)は、東部低地ゴリラ(ラクダゴリラ)などの保護で知られており、世界的にも重要な保護地域です。ただし、違法伐採や土地利用の変化、紛争等が保全にとって重大な課題です。
交通とインフラ
州内の道路網は整備状況が不均一で、雨季には通行困難となる路線も多いです。ブカブ近郊にはカヴム空港(Kavumu)などの空港があり、国内線が利用されます。湖上交通はUviraやFiziなど湖畔都市間の連絡に重要で、タンガニーカ湖やキブ湖を使った定期船や小型船が運航しています。
治安・人道状況と防災
地域には複数の武装集団が存在し、武力衝突や略奪、住民の強制移動といった人道上の問題が継続的に報告されています。国連の平和維持活動や各種NGOによる支援が行われていますが、状況は地域によって大きく異なります。地震などの自然災害リスクもあり、2015年に発生したマグニチュード5.8の地震はその一例です。
観光と文化
豊かな自然と文化的多様性は観光資源にもなっています。カフジ=ビエガ国立公園やキブ湖の風景、伝統的な市場や民族文化は訪問者の関心を引きますが、安全面やインフラ面の制約から観光開発は限定的です。
総じて、南キヴ州は豊かな自然資源と多様な文化を有する一方で、治安、環境保全、インフラ整備といった多くの課題を抱えている地域です。