州批准議会とは|米国憲法第5条の批准大会(1933年の事例)解説
州批准議会(state ratifying conventions)は、アメリカ合衆国憲法第5条が定める憲法改正の手続きにおける、批准(ratification:改正案を正式に承認すること)の2つの方法のうちの一つです。憲法改正案は、連邦議会が議会で可決して提出するか、あるいは州議会の3分の2の申請に基づいて議会が招集する「提案のための大会(convention for proposing amendments)」で提案され得ますが、いったん議会が改正案を提案した後、その改正案を各州で承認する方法としては、州議会による批准(state legislatures)と、州批准議会による批准のどちらかを議会が選択します。これまでに提出された27の憲法改正のうち、批准方法として州批准議会が選ばれたのは1回だけで、1933年の憲法修正第21条(禁酒法を撤廃した修正)に対する批准です。その他の改正はすべて各州の立法府(州議会)で批准されました。
手続きの仕組み(簡潔に)
- 改正案の提案:通常は連邦議会が提案しますが、憲法第5条は、各州議会の3分の2の申請があれば議会が「提案のための大会(全州による全国大会のようなもの)」を招集すると規定しています(こちらの方式は未使用)。
- 批准の方法:連邦議会が改正案を各州へ送付する際に、「各州議会での批准」か「各州で開催される批准議会での批准」のどちらかを指定します。批准が成立するためには、原則として各州の3分の4(現在は38州)の承認が必要です。
- 州批准議会の性質:州批准議会は通常、その州固有の法令や憲法に従って設置され、代表者(代議員)の選出方法・人数・招集の手続きは州ごとに異なります。多くの場合、批准議会は提示された改正案について「賛成」または「反対」のいずれかで採決する単純な役割に限定されます(改正案そのものを変更する権限はありません)。
1933年の修正第21条(唯一の事例)
修正第21条は禁酒法(修正第18条)の撤廃を目的としており、連邦議会は批准の方法として州批准議会を指定しました。これにより各州は特別に招集された批准議会を開催し、ほとんどの州で代議員は州法に基づき公選で選ばれました。結果として必要な3分の4の州で可決され、修正第21条は成立しました。なぜ州批准議会が選ばれたかについては、当時の政治的事情(州議会が党派的圧力などで直接の撤廃に慎重であることなど)が影響したと解釈されています。
実務上の特徴と論点
- 州ごとの運営差:批准議会の招集・代議員選出方法は州法に依存するため、手続きは州ごとに大きく異なります。具体的な手続を決めるのは各州の立法機関や州務長官などです。
- 権限の限定:批准議会の役割は基本的に「提示された改正案を批准するか否かを決める」ことであり、改正案の文言を変更する権限は持たないと解されます。
- 未使用の提案手段との混同に注意:第5条には「各州議会の3分の2の申請により議会が大会(convention)を招集する」との規定もありますが(提案のための大会)、これは改正案を提案するための大会であり、批准議会(ratifying conventions)とは別物です。これまで提案のための全国大会方式は使われておらず、すべての改正案は連邦議会が提案しています。
- 必要な賛成数:批准はいずれの方式でも原則として各州の3分の4の承認が必要です(現在は38州)。
まとめ
州批准議会は憲法第5条で認められた批准の方法の一つであり、州ごとに招集されて改正案を承認する特別な会合です。歴史的には1933年の修正第21条の際に一度だけ用いられ、それ以外の改正はすべて州議会での批准によって成立しました。提案側の「州からの申請による議会大会(convention)」と批准のための「州批准議会」は異なる制度である点に注意が必要です。
質問と回答
Q:州批准条約とは何ですか?
A: 州批准大会とは、合衆国憲法第5条が憲法改正案を批准するために設けた2つの方法のうちの1つです。
Q: 州批准大会が憲法修正案の批准に使われたのはいつですか。
A: 憲法改正案の批准に州批准大会が使われたのは、1933年の憲法修正第21条の批准のときだけです。
Q: 他のすべての憲法改正案はどのように批准されましたか?
A: 他のすべての憲法改正案は、批准のために州議会に提出されています。
Q: 州の批准大会を憲法改正案の発議に利用できますか?
A: はい、憲法は州批准大会を憲法修正案の発議に利用できると規定しています。
Q: 27の憲法改正案のうち、州大会で提案されたものはありますか?
A: いいえ、現在までのところ、27の憲法改正案のうち、州大会で提案されたものはありません。
Q: 州批准大会はどのように招集することができますか?
A: 州批准大会は、州議会の3分の2の投票によって招集することができます。
Q: アメリカ合衆国憲法第5条は、憲法改正案の批准プロセスをどのように規定していますか?
A: 合衆国憲法第5条は、憲法改正案を批准するための2つの方法、1つは州批准大会を通じた方法、もう1つは州議会を通じた方法を概説しています。