スワティ語(SiSwati)とは?分布・方言・特徴まとめ
スワティ語(SiSwati)の分布・方言・特徴をわかりやすく解説。話者数や地域差、学習ポイントまで歴史背景と合わせて一挙紹介。
スワティ語(Swati)(スワジ語:SiSwati)は、バンツー語のNguniグループに属する言語です。エスワティニ(旧スワジランド)と南アフリカで主に話され、話者数は合わせておおむね約150万人と推定されています。エスワティニでは国語的地位をもち、南アフリカ共和国では11の公用語の一つに数えられます。エスワティニの教育やメディアで広く用いられ、南アフリカの一部の学校や地域放送でも教えられています。Swatiはレソトで話されているPhuthiや、Zulu、Ndebele、Xhosaと近縁の言語です。
分布と方言
スワティ語話者は主にエスワティニ国内に集中していますが、南アフリカの北東部(主にMpumalanga州や一部のKwaZulu‑Natal州)にもコミュニティが存在します。国内では地方行政区に対応する複数の方言があり、代表的には次の4つに分類されます(名称は現地の地名に由来します)。
- ホホ(Hhohho)
- マンズィニ(Manzini)
- ルボンボ(Lubombo)
- シシェルウェニ(Shiselweni)
これらの方言は、エスワティニの4つの行政区に概ね対応しており、語彙や発音、いくつかの文法的慣用に差異がありますが、互いに高い程度で通じます。
音声・音韻の特徴
スワティ語は典型的なNguni系の音韻体系を持ち、以下の特徴が挙げられます。
- 母音は比較的単純で、長短や二重母音が語義や強調に関与することがあります。
- 子音には有声音・無声音、鼻音、破裂音、摩擦音があり、Nguni語に特徴的なクリック音(c, q, x に相当する音)を含む方言もありますが、クリックの使用頻度や種類は方言により差があります。
- スワティ語は声調(トーン)を持ち、高母音・低母音の対立が語の区別に重要で、文法的な機能(例えば時制・相の区別)にも影響します。
文法の特徴
文法面では典型的なバントゥ語の性質を示します。
- 名詞クラス(分類体系)と接頭辞による一致(コンコルダンス):主語・目的語・形容詞・指示詞などが名詞クラスと一致する接頭辞を取ります。
- 動詞は膠着的で、多様な接頭辞や接尾辞を付けて主語、人称、目的語、時制・相・否定などを表現します。語順は基本的にSVO(主語–動詞–目的語)ですが、動詞形に多くの情報が含まれます。
- 疑問文や命令文、相の変化は動詞形の変化で示されることが一般的です。
語彙と影響
歴史的に周辺のNguni語群と密接な関係にあり、語彙や構造上の共通点が多く見られます。近代以降は英語やアフリカーンス語からの借用語が増えており、行政用語や技術語などは外来語が定着しています。
書記体系・教育・社会的地位
スワティ語はラテン文字を用いる正書法が確立されており、教科書、新聞、ラジオ、テレビ番組、宗教文書などで使用されています。エスワティニでは初等教育から母語教育が行われ、公式文書や文化的表現において重要な役割を果たします。南アフリカでも公的な認知があり、地域レベルで教育や放送に用いられます。
日常表現の例
- Sawubona — 「こんにちは」(単数の相手への挨拶)
- Sanibonani — 「こんにちは」(複数の相手への挨拶)
- Ngiyabonga — 「ありがとうございます」
- Yebo / Cha — 「はい」/「いいえ」
スワティ語は近隣のNguni諸語と共通点が多く、相互理解が比較的容易な部分もありますが、固有の音韻・語彙・慣用表現を備え、独自の言語的アイデンティティを保持しています。研究や教材、地域メディアの充実により、今後も保存と振興が進められることが期待されています。
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