スウィーニー・トッド(フリート街の悪魔の理髪師)とは|ソンドハイム作・映画化と受賞歴

スウィーニー・トッド(フリート街の悪魔の理髪師)の誕生、ソンドハイム作曲・映画化(ジョニー・デップ主演)、舞台とトニー賞受賞の軌跡を解説

著者: Leandro Alegsa

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師は、19世紀のロンドンを舞台にした復讐譚をもとにしたミュージカルで、ヒュー・ウィーラーが原作(ブック)を担当し、スティーブン・ソンドハイムが音楽と作詞を担当したミュージカルである。原作となった物語自体は19世紀の都市伝説やパニック小説(ペニィ・ドレッドフル)に源をもち、1973年のクリストファー・ボンドによる戯曲「真珠の糸」を下地にして、ソンドハイムとウィーラーが舞台用に脚色した。物語は、冤罪で国外追放されて名を変えた元理髪師ベンジャミン・バーカー(=スウィーニー・トッド)が、妻と娘を奪われた復讐のためにロンドンへ戻り、理髪店で人を刈り殺していくというダークでブラックユーモアの効いた筋立てが特徴で、被害者の遺体はロンドンの名物パイ屋ロベット夫人により「ミートパイ」として売りさばかれる、というショッキングな展開を含む。

音楽・作風

スティーブン・ソンドハイムのスコアは、オペラ的な構成や重厚なアンサンブル、複雑な和声進行と精緻なモチーフの展開が特徴で、劇的な感情表現とブラック・コメディを同居させる手法が高く評価されている。初演ではジョナサン・タニック(Jonathan Tunick)が編曲・オーケストレーションを担当し、舞台上の音楽的統一感を作り上げた。演奏面ではしばしば俳優自身が楽器演奏を行う演出や、室内楽的な編成を活かした上演がなされることが多い。

初演と主な上演史

スウィーニー・トッドは1979年3月1日、ブロードウェイのユリス劇場で初演された。演出はハロルド・プリンス、音楽監督・指揮はラリー・フラー(舞台音楽監督)で、主演はスウィーニー・トッド役のレン・カリウ(Len Cariou)とロベット夫人役のアンジェラ・ランズベリーである。このオリジナルプロダクションは合計で557回上演され、受賞歴も多く、トニー賞最優秀ミュージカル賞をはじめ主要な賞を受賞した。

その後も世界各地で上演や復活公演が行われ、特に2005年のブロードウェイ復活公演(演出:ジョン・ドイル/John Doyle、出演:マイケル・セルヴェリス、パティ・ラバン=ルポーンなど)は演出意匠が注目され、高い評価を受けた。上演形態や配役、演出によって作品のダークさや社会風刺の色合いが強調されたり、音楽的な解釈が変化したりするため、同作は演出家や俳優による再解釈が多い作品でもある。

映画化とその評価

本作は2007年に映画化され、ティム・バートン監督作品として公開された。映画版ではスウィーニー・トッド役をジョニー・デップが演じた。映画は映像表現と音楽の融合、ゴシックな美術・衣裳で注目を集め、批評家や観客から賛否両論のある強烈な印象を残した。各国の映画賞や音楽賞でノミネート・受賞を重ねている。

テーマと影響

復讐、正義の歪み、都市社会の抑圧と貧困、愛と狂気といった普遍的なテーマを、ブラックユーモアと残酷さを交えて描く点が本作の核である。ソンドハイムの劇伴はミュージカル音楽の可能性を拡張し、近代ミュージカルの重要作として演劇史に残る作品となった。多くの劇団・演出家が挑戦する代表的なレパートリーであり、舞台・映画を通じて広く知られている。

参考として、オリジナルの主要クレジットや代表的な上演の情報は劇場公演の記録や各種批評で確認できる。公演ごとに演出や解釈が大きく異なるため、気になる上演があれば当該プロダクションの資料やレビューを参照するとよい。

主な役割

キャラクター

音声 []

商品説明

スウィーニー・トッド

バスバリトン

15年間の流刑地生活を終え、ロンドンに戻ってきた理容師。

ネリー・ラベット夫人

コントラルト

ロンドンで一番まずいパイ」を売る店主。スウィーニー・トッドと恋に落ちる。

アンソニー・ホープ

テナー

トッドと友達になる青年。

ヨハンナ

ソプラノ

美しい少女、トッドの娘。

Tobias Ragg

テナー

使用人の少年。最初はピレリに、次にロベット夫人に仕えるが、トッドを信用することはない。

ターピン判事

低音

自分の欲しいものを手に入れるためだけに権力を行使する、悪の裁判官。

ビードル・バンフォード

テナーカウンターテナー

ターピンの犯罪の助っ人。

乞食の女

メゾソプラノ

狂った老婆。

アドルフォ・ピレッリ

テナー

イタリアの床屋さん。

ミュージカルナンバー

プロローグ

  • "オルガン前奏曲"
  • 「スウィーニー・トッド バラード」 アンサンブル

第一幕

  • "No Place Like London" - トッド、アンソニー&ベガー・ウーマン
  • "床屋とその妻" - トッド
  • "ロンドンで一番まずいパイ" - ロベット夫人
  • "Poor Thing" - Mrs. Lovett & Todd
  • "My Friends" - Todd & Mrs. Lovett
  • 「スウィーニー・トッドのバラード(リプライズ)」 - アンサンブル
  • "グリーンフィンチとリネットバード" - ジョアンナ
  • "Ah, Miss" - アンソニー、ヨハンナ&ベガー・ウーマン
  • "Johanna" - Anthony
  • "ピレリの奇跡のエリクサー" トビアス・ラッグ、トッド、ミセス・ラヴェット&アンサンブル
  • "コンテスト "のことです。
    • "ピレリのエントランス" - Pirelli
    • "シェービングシークエンス" - ピレリ
    • "Tooth-Pulling Sequence" - Pirelli & Tobias
  • 「スウィーニー・トッドのバラード(リプライズ2)」 - アンサンブル
  • "Wait" - ラベット夫人、ベガー・ウーマン&トッド
  • "ピレリの死" - Pirelli
  • 「スウィーニー・トッドのバラード(リプライズ3)」 - 3人のテナー
  • "ジョアンナ(ジャッジメント・ソング)"。Mea Culpa" - ターピン判事
  • "Kiss Me" - Johanna & Anthony
  • "Ladies in their Sensitivities" - ビードル・バンフォード
  • "Kiss Me (Reprise/Quartet)" - ビードル・バンフォード、ジョアンナ、アンソニー&ジャッジ・ターピン
  • "Pretty Women" - トッド&ジャッジ・ターピン
  • "エピファニー" - トッド
  • "A Little Priest" - トッド&ミセス・ラヴェット

第二幕

  • "神様、よかったね!"- トビアス、ロベット夫人、トッド&アンサンブル
  • "Johanna (Quartet)" - アンソニー、トッド、ジョアンナ&ベガー・ウーマン
  • "By the Sea" - Mrs. Lovett & Todd
  • "Wigmaker Sequence/The Ballad of Sweeney Todd (Reprise 4)" - Todd & Anthony/Ensemble
  • 「手紙(五重奏)」 - アンサンブル
  • "Not While I'm Around" - Tobias & Mrs. Lovett
  • "パーラーソング "です。
    • "Sweet Polly Plunkett" - ビードル・バンフォード&ミセス・ラヴェット
    • "Tower of Bray" - ビードル・バンフォード、ミセス・ラヴェット&トバイアス
    • "Sweet Polly Plunkett (Reprise)" - ラベット夫人
  • "ファイナルシークエンス "です。
    • 「スウィーニー・トッドのバラード(リプライズ5)」 - アンサンブル
    • "Fogg's Asylum" - アンサンブル
    • "City on Fire/Searching" - アンサンブル、ジョアンナ&アンソニー/トッド、ラベット夫人&ベガーウーマン
    • "Ah, Miss (Reprise)" - アンソニー&ジョアンナ
    • "乞食女の子守唄" ~乞食女
    • "ジャッジの帰還" - トッド&ジャッジ・ターピン
    • 「スウィーニー・トッドのバラード(リプライズ6)」 - アンサンブル
    • "ファイナル・シーン" - トッド、ロベット夫人、トバイアス

エピローグ

  • 「スウィーニー・トッドのバラード(リプライズ7)」 - アンサンブル

ストーリー

スウィーニー・トッドは、最初はベンジャミン・バーカーという名前だった。トッドは、ターピンという裁判官に冤罪で15年間送られたオーストラリアの収容所から戻ってくる。そして、ロベット夫人という孤独なパイ職人から、彼の妻がターピン判事にレイプされた後、毒殺されたことを聞かされる。さらに、判事が自分の娘を囲っていることも知る。トッドは復讐を決意する。スウィーニーとロベット夫人は、殺人とロベットのパイ屋の商売繁盛のために、ある計画の共同経営者となる。

受賞・ノミネート

ブロードウェイのオリジナル作品

  • トニー賞最優秀ミュージカル賞(受賞作品)
  • トニー賞ミュージカル部門最優秀作品賞(受賞者)
  • トニー賞 最優秀オリジナル作曲賞(受賞作品)
  • トニー賞 ミュージカル部門主演男優賞(レナード・カリウ、受賞者)
  • トニー賞ミュージカル部門主演女優賞(アンジェラ・ランズベリー、受賞者)
  • トニー賞 ミュージカル部門演出賞(受賞)
  • トニー賞 景色デザイン賞(受賞者)
  • トニー賞衣装デザイン賞(受賞)
  • トニー賞 照明デザイン賞(ノミネート)
  • シアターワールド賞(ケン・ジェニングス、サラ・ライス、受賞者)
  • ドラマデスク賞
  • ミュージカル部門優秀賞(受賞)
  • アウトスタンディング・ブック(受賞者)
  • ミュージカル部門優秀男優賞(レナード・カリウ、受賞者)
  • ミュージカル部門優秀主演女優賞(アンジェラ・ランズベリー、受賞者)
  • ミュージカル部門優秀主演男優賞(Ken Jennings、受賞者)
  • ミュージカル部門優秀主演女優賞(メルル・ルイーズ、受賞者)
  • 最優秀振付賞(ノミネート)
  • ミュージカル部門優秀監督賞(受賞者)
  • 優秀作詞賞(受賞)
  • 音楽部門優秀賞(受賞)
  • 優秀衣裳デザイン賞(ノミネート)
  • 優秀照明デザイン賞(ノミネート)
  • 優秀セットデザイン賞(ノミネート)

1989年ブロードウェイ・リバイバル

  • トニー賞ミュージカル部門主演男優賞(ボブ・ガントン、ノミニー)
  • トニー賞 ミュージカル部門主演女優賞(ベス・ファウラー、ノミニー)
  • トニー賞 ミュージカル部門 演出賞(ノミネート)
  • トニー賞最優秀リバイバル作品賞(ノミネート)
  • ドラマデスク賞
  • ミュージカル部門優秀男優賞(ボブ・ガントン、ノミニー)
  • ミュージカル部門優秀女優賞(ベス・ファウラー、ノミニー)
  • 優秀照明デザイン賞(ノミネート)
  • 優秀セットデザイン賞(ノミネート)
  • アウトスタンディング・リバイバル部門(ノミネート)

2005年ブロードウェイ・リバイバル

  • トニー賞最優秀リバイバル・ミュージカル賞(ノミネート)
  • トニー賞ミュージカル部門主演女優賞(パティ・ルポーン、ノミニー)
  • トニー賞 ミュージカル部門主演男優賞(マイケル・セルベリス、ノミニー)
  • トニー賞 ミュージカル部門最優秀主演男優賞(マノエル・フェルシアーノ、ノミネート)
  • トニー賞 ミュージカル部門演出賞(受賞)
  • トニー賞最優秀オーケストレーション賞(ジョナサン・チュニック、受賞者)
  • ドラマデスク賞
  • ミュージカル・リバイバル部門優秀賞(受賞者)
  • ミュージカル部門優秀男優賞(Michael Cerveris、ノミネート)
  • ミュージカル部門優秀主演女優賞(パティ・ルポーン、ノミニー)
  • ミュージカル部門優秀主演男優賞(アレクサンダー・ジェミニャーニ、ノミニー)
  • ミュージカル部門優秀監督賞(受賞者)
  • 優秀オーケストレーション賞(Jonathan Tunick、受賞者)
  • ミュージカル部門優秀舞台装置賞(ノミネート)
  • 優秀照明デザイン賞(受賞)
  • 優秀音響デザイン賞(ノミネート)

2007年作品

  • ゴールデングローブ賞 作品賞(ミュージカル/コメディ)(受賞者)
  • ゴールデングローブ賞 ミュージカル・コメディ部門主演男優賞(ジョニー・デップ、受賞者)
  • アカデミー賞美術賞(ノミネート)
  • アカデミー賞 主演男優賞(ジョニー・デップ、ノミネート作品)
  • アカデミー賞衣装デザイン賞(ノミニー)

質問と回答

Q:『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』とは?


A: 『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』は、19世紀のスウィーニー・トッドの伝説を基にしたミュージカルです。

Q: 『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の原作者は誰ですか?


A: 『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の原作者はヒュー・ウィーラーです。

Q: 『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の音楽と歌詞は誰が書いたのですか?


A: 『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の音楽と作詞は、スティーヴン・ソンドハイムです。

Q: 「スウィーニー・トッド」のストーリーは何にインスパイアされたのですか?


A: スウィーニー・トッドのストーリーは、クリストファー・ボンドが1973年に発表した戯曲『真珠の糸』から着想を得ています。

Q: 2007年に映画化された『スウィーニー・トッド』の主演は誰ですか?


A: ジョニー・デップがスウィーニー・トッド役を演じました。

Q: スウィーニー・トッドがブロードウェイで上演されたのはいつですか?


A: スウィーニー・トッドは1979年3月1日にブロードウェイのユリス劇場で上演されました。

Q: スウィーニー・トッドはどんな賞を受賞しましたか?


A: スウィーニー・トッドはトニー賞最優秀ミュージカル賞を受賞しました。


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