共有派生形質(シナポモルフィー)とは?進化系統学における定義と例

共有派生形質(シナポモルフィー)の定義と実例をわかりやすく解説。進化系統学で系統関係を識別する特徴と見分け方を紹介。

著者: Leandro Alegsa

共有派生形質(シナポモルフィー)とは、ある系統の中で複数の構成要素が共通して持ち、かつその系統の直近共通祖先にはない「進化的に新しく獲得された形質」のことを指します。生物系統学の専門用語で、2以上の種に共通に存在する形質を示すもので、相同特性または相同性の一種とみなされます。

定義と判定基準

  • 共有: その形質が2つ以上の分類群で共通していること。
  • 派生(derived): その形質は直近の共通祖先には存在していなかったと考えられること(つまり祖先形質ではないこと)。
  • クレード(monophyletic group)を識別するために使えること。共有派生形質は、その形質をもつすべての生物群が同一の派生形質を起点に同系統であることを示す証拠となる。
  • 判定にはしばしば外群比較(outgroup comparison)を用い、どの状態が原始(ancestral)でどれが派生かを決める。

主要な対比用語

  • 共有原始形質(symplesiomorphy): 共通祖先から受け継がれた原始的な形質で、系統の絞り込みには役立たない。
  • 単独派生形質(autapomorphy): その群だけが持つ派生形質で、当該群を特徴づけるが、複数群の関係を決めるには単独では不十分。
  • ホモプラシー(homoplasy) / 収斂進化: 異なる系統で独立に似た形質が進化した場合。共有派生形質と見間違う危険がある。

実例

  • 哺乳類の例: 母乳を分泌する乳腺(哺乳類の共有派生形質として扱われることが多い)、皮毛(毛)や中耳の三骨(槌骨・砧骨・鐙骨)などは古典的な共有派生形質の例です。
  • 四肢動物(四肢類)の例: 指をもつ歩行肢(デジタルを持つ肢)は、四肢類の主要な共有派生形質の一つとされます。
  • 分子レベル: 特定の遺伝子配列中の挿入・欠失(インデル)や可逆性の低いアミノ酸置換は、クレードを支持する分子共有派生形質として利用されます。

系統解析での扱いと注意点

  • 共有派生形質はクラドグラム(系統樹)を構築する際の基本的な手がかりとなる。複数の独立した共有派生形質が一致して同じ系統関係を支持すると信頼性が高まる。
  • しかし、収斂進化(ホモプラシー)や形質の逆行(reversal)があると誤った類縁関係が推定されることがある。したがって形態学的データと分子データの両方を組み合わせることが望ましい。
  • 「最近進化した区別するための形質」として扱うには、外群比較や祖先状態復元(ancestral state reconstruction)などで、その形質が本当に派生かを検証する必要がある。

まとめ

共有派生形質(シナポモルフィー)は、クレードの同一性を示す重要な概念であり、系統解析や分類学の基礎となります。一方で、ホモプラシーや形質逆行といった問題があるため、複数の独立した証拠(形質学的・分子学的両面)で慎重に評価することが重要です。

祖先と由来の特性の異なるパターンを表現するために使用される用語を示したクラドグラム。Zoom
祖先と由来の特性の異なるパターンを表現するために使用される用語を示したクラドグラム。



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