タイバジルとは|特徴・育て方・品種・料理での使い方と効能

タイバジル、またはアジアンバジルは、スイートバジルの一種で、主に東南アジアに分布するハーブです。小さくて細い葉と紫色の茎が特徴で、花はモーブ(ピンクパープル)色をしています。アメリカでよく栽培されている品種には「クイーン・オブ・サイアム」があります。

タイバジルは台湾の人気料理「三杯鶏サンペイジ)」の重要な食材で、東南アジアの多くの料理で使われます。薬味として生の葉を添えることが多く、たとえばベトナムのスープ料理ではフォーに付け合わせて、各自が香りを調整しながら食べます。香りはアニスに似た甘い香りがあり、料理に独特の風味を加えます(アニスの香りの成分を含むため)。

特徴

  • 葉:やや小さく細長い。食感はしっかりめで、加熱しても香りが比較的残りやすい。
  • 茎と花:茎は紫色を帯び、花はモーブ色で観賞価値もある。
  • 香り成分:アニスやリコリスに似た甘い香りを出す成分(メチルチアビコールなど)を含む。
  • 混同しやすい植物:ホーリーバジル(トゥルシー、Ocimum tenuiflorum)やスイートバジルとは香りや用途が異なるため区別が必要。

育て方(基本)

  • 日当たり:日当たりの良い場所を好む。室内で育てる場合は窓辺など十分な光を確保する。
  • 温度:暖かい環境を好み、霜に弱い。春〜秋の生育期に最適。
  • 土壌:水はけの良い培養土を使う。pHは中性〜やや酸性が適当。
  • 水やり:表土が乾いたらたっぷり与える。過湿は根腐れの原因になる。
  • 肥料:緩効性肥料や薄めの液肥を生育期に定期的に与えるとよい。
  • 剪定:こまめに摘心すると枝数が増えて生長が促される。花が咲き始めたら摘むと葉の品質が維持される。
  • 増やし方:種まきまたは挿し木で容易に増やせる。
  • 害虫病害:アブラムシ、ハダニ、うどんこ病などに注意。早期発見・対処が大切。

収穫・保存

  • 収穫時期:葉は必要に応じて随時摘み取る。上部から摘むと側枝が伸びて収量が増える。
  • 保存:冷蔵庫では湿らせたペーパータオルに包んでポリ袋に入れると数日持つ。長期保存は冷凍がおすすめ(刻んでオイルや氷トレーで冷凍)。
  • 乾燥:香りが飛びやすいため乾燥保存は風味が落ちるが、刻んで調味料に混ぜるなどの用途は可能。

主な品種

  • クイーン・オブ・サイアム:アメリカでも人気の品種で、香りと見た目のバランスが良い。
  • その他:地域ごとに栽培品種があり、葉の形状や色、香りの強さに差が出る。

料理での使い方

  • 生食:フォーなどのスープ、サラダ、春巻きなどの付け合わせに。食べる直前に加えると香りがよく立つ。
  • 加熱調理:カレーや炒め物、煮込みに加えると甘い香りが料理全体に馴染む。タイ料理やベトナム料理で広く使用される。
  • 調味料やソース:刻んでオイルや酢と合わせればドレッシングやマリネのアクセントに。
  • デザートや飲料:その甘い香りを生かしてシロップやカクテルに使うこともある(少量で十分)。

効能と注意点

  • 期待される効果:消化促進、抗酸化作用、抗菌作用などが報告されている。伝統的には胃腸の不調や風邪の初期症状に用いられることがある。
  • 注意点:タイバジルに含まれる成分(例えばエストラゴール=メチルチアビコール)は、大量摂取で健康リスクが指摘されることがあるため、通常の料理での使用量であれば問題ないが、過剰摂取は避ける。
  • アレルギー:シソ科にアレルギーのある人は注意。妊娠中・授乳中の大量摂取は避けた方が良いとされるので、不安がある場合は医師に相談する。

タイバジルは香り高く料理の風味を引き立てる便利なハーブです。育てやすく初心者にもおすすめですが、用途や他のバジル類との違いを理解して使い分けると、より香り豊かな料理が楽しめます。

スイートバジルは薄緑色で幅広の葉、タイバジルは紫色の茎と花、槍のような葉を持つZoom
スイートバジルは薄緑色で幅広の葉、タイバジルは紫色の茎と花、槍のような葉を持つ

晩夏のタイバジルの花Zoom
晩夏のタイバジルの花


AlegsaOnline.com - 2020 / 2025 - License CC3