テーベ(木星の衛星): 発見・命名・軌道と物理特性ガイド

ボイジャー1が捉えた1979年の発見から命名・軌道・物理特性まで、木星衛星テーベの起源と特徴を分かりやすく解説する完全ガイド。

著者: Leandro Alegsa

テーベ木星14)は、木星からの距離で4番目に知られている衛星である。1979年3月5日にスティーブン・P・シノットがボイジャー1号の画像から発見し、S/1979 J 2と命名した。その後、1979年2月27日の画像からも発見された。1983年に、川の神アソプスの娘でゼウス(ギリシャ神話の木星)の恋人であった神話のニンフ、テーベにちなんで正式に命名された。

発見と命名の経緯

発見は主に宇宙探査機の画像解析によるもので、スティーブン・P・シノットがボイジャー1号から得られた連続画像を調べる過程で検出しました。発見時の仮符号は S/1979 J 2 で、1983年にギリシャ神話の人物にちなんで正式に「テーベ」と命名されました。

軌道と位置関係

  • 軌道半径(概数):木星から約22万km前後の領域を公転します(内側の衛星群の一員)。
  • 公転周期:地球時間で約0.67日(およそ16時間程度)で木星を一周します。
  • 軌道特性:軌道はほぼ円形に近く、木星の赤道面に対して小さな傾斜角を持ちます。
  • 衛星群:テーベは同じく内側に位置するアマルテア群(メティス、アドラステア、アマルテアなど)に分類され、これらは木星に近い低軌道を共有します。

物理的特徴

  • 形状:不規則で楕円状(球形ではない)。小型の天体によく見られる非球形です。
  • 大きさ:代表的な寸法・平均半径は小〜中規模の衛星に相当し、数十キロメートル規模の半径を持つとされています(観測と解析に基づく概算値)。
  • 表面の性質:表面は暗く(低反射率)、赤みを帯びた色調が観測されています。クレーターや凹凸が多く、隕石衝突の痕跡が見られます。
  • 組成:精密な組成は不明ですが、氷と岩石が混在し多孔質である可能性が高いと考えられています。
  • 自転:木星に対して潮汐固定されており、公転周期と自転周期がほぼ一致(常に同じ面を木星に向けていると考えられます)。

リングとの関係

テーベは微小な塵を放出しており、その塵が形成するのが「テーベ・ゴサマーリング(Thebe gossamer ring)」です。これは隕石衝突などで表面から放出された微粒子が木星の周囲に広がったものと説明され、木星の淡い環構造の一部を形成しています。

観測史と探査機によるデータ

  • 初期発見は主にボイジャー計画の画像解析によります。
  • その後、ボイジャーや後続の探査機(たとえばガリレオなど)による観測で形状や表面特性、リングとの関係が明らかになってきました。
  • 地上望遠鏡からの観測は、木星本体の明るさや近接のために難しく、高解像度データは宇宙機観測が中心です。

まとめ

テーベは木星の内側を周回する不規則衛星の一つで、1979年に発見され1983年にギリシャ神話の人物名で命名されました。小型ながらも木星の環の形成に寄与する塵を供給しており、構造や起源を理解するうえで重要な対象です。詳細な物理・化学組成や内部構造については完全には解明されておらず、今後の観測や探査でさらに多くの情報が得られることが期待されています。

軌道

テーベは木星の内側にある衛星の中で最も遠い。木星を222,000 km (3.11木星半径) の距離で公転している。テーベの軌道は、木星の赤道に対して、離心率〜0.018、傾斜角〜1.08°である。これらの値は近接した月としては異常に高く、過去に最も近いガリレオ衛星イオの影響を受けたことで説明できる。過去にイオが木星から徐々に離れていく過程で、イオとのいくつかの平均運動共鳴がテーベの軌道を通過し、それがテーベの軌道を励起したのであろう。

物理的特性

テーベは球体ではなく、最も近い楕円体近似は116x98x84kmである。嵩比重と質量は不明だが、平均密度がアマルテアと同じ(〜0.86g/cm³)と仮定すると、質量は〜4.3×1017 kgと推定される。

テーベの表面は黒っぽく、赤みがかった色に見える。

探査

テーベはボイジャー1号の画像から、ボイジャー航法チームのメンバーであるスティーブ・シノットによって発見された。しかし、探査機ガリレオが木星に到着するまでは、そのことはほとんど知られていなかった。ガリレオはテーベの表面のほぼ全域を撮影し、その組成に制約を加えた。



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