テルミンとは?歴史・原理・演奏法と映画や音楽での音色解説
テルミンとは?歴史・原理・演奏法を初心者向けに解説。映画や音楽で聴く独特の音色や代表的な使用例も紹介
テルミン[ˈθɛɹəmɪn](テルミンヴォックスまたはエーテルフォンとも)は、最初の完全電子楽器の一つである。これは、ロシア内戦勃発後の1920年10月にロシアの発明家レオン・テルミンによって発明された。その発明は、動きを検出する方法を探していたことから発展したもので、奏者が触れずに演奏できる初めての楽器である。コントロール部には、奏者の手の位置を感知するための2本の金属製アンテナが付いています。片方の手は音程をコントロールし、もう一方の手は音量を調節する。テルミンを演奏するには、2本の金属アンテナを中心に手を動かす。テルミンからの電気信号は増幅されてスピーカに送られる。
原理(仕組み)
テルミンの基本原理はヘテロダイン(heterodyne)方式に基づいている。高周波の発振器が2つあり、うち1つは基準周波数に固定され、もう1つの発振器はアンテナ付近にある奏者の手の位置によって静電容量が変化し、その結果周波数が変動する。両者の周波数の差(ビート周波数)が可聴域に現れ、これが音程として聞こえる。音量側のアンテナは同様に手の位置で回路の利得や変調を変え、音量を制御する。回路設計や機種によっては音色(倍音構成)を調整するフィルタやエンベロープ回路を備えているものもある。
歴史と発展
1920年代に発明されたテルミンは、早くからコンサート楽器としても商品としても注目を浴びた。1920年代末から1930年代にかけて欧米でも紹介され、クララ・ロックモアのような初期の名手が登場して演奏技術を確立した。後にアメリカの電子楽器開発者ロバート・モーグ(Robert Moog)らが改良を加え、より安定したチューニングや演奏しやすい設計が普及した。現代では純正のテルミンだけでなく、電子回路で音色を模したエレクトロニックな派生機やソフトウェア版も広く使われている。
演奏法・テクニック
- 基本姿勢:右手(一般的には右利きの場合)で音程を、左手で音量を調節するのが一般的。手首や指先の微細な動きで正確なピッチを取る必要がある。
- ピッチの取り方:音程は目に見えるフレットや鍵盤がないため、耳を頼りに取る。最初はチューナーやピアノの基準音を併用して練習するのが有効。指や手の位置に対して一定の距離感覚をつかむことが大切。
- ビブラート・ポルタメント:テルミンはレガートや滑らかなグリッサンド(ポルタメント、グリッサンド)が得意。ビブラートは手首や指先で小刻みに揺らすことで出す。トレモロや表現豊かなスラーも可能。
- 音量制御:左手の開閉で音をフェードイン・アウトする。音量アンテナに近づけすぎると音が消える仕組みを利用し、アタックや消音をコントロールする。
- 練習法:スケール練習、長音でのピッチ安定練習、デュエットやピアノ伴奏での合わせ練習が有効。細かい音程差を耳で判別する絶対耳・相対耳の訓練も重要。
音色と用途(映画・音楽でのイメージ)
テルミンの音は、"エイリアン"、"シュール"、"不気味な響きのポルタメント、グリッサンド、トレモロ、ビブラート"などを連想させ、映画「Spellbound」や「The Lost Weekend」などの映画のサウンドトラックに使われています。その独特の漂うような音色はSFやホラー、不可思議な場面の演出に好んで用いられてきた。だが一方で前衛音楽や現代音楽、ロックやポップスでも効果的に使われ、多彩な表現が可能である。
テルミンは、「Spellbound」、「The Lost Weekend」、「Ed Wood」、「Mars Attacks!」、「The Day the Earth Stood Still」などの映画のサウンドトラックで使用されています。テルミンはBBCラジオフォニック・ワークショップの目玉であり、BBCtvのいくつかの番組のテーマ音楽を制作しました。テルミンは、芸術音楽(特に前衛音楽や20世紀の「ニューミュージック」)や、ロックやポップスなどのポピュラー音楽のジャンルでも使用されています。ロシアのドミトリー・ショスタコーヴィチは、1931年の映画『オドナ』のスコアにテルミンのパートを使用するなど、オーケストラ作品にテルミンのパートを最初に取り入れた一人である。
代表的な奏者・楽曲・派生楽器
- クララ・ロックモア(Clara Rockmore):テルミン演奏を音楽的に高い水準に引き上げた名手。正確なピッチと高度な表現力で知られる。
- リディア・カヴィーナ(Lydia Kavina):レオン・テルミンの一族と関係があり、現代でも国際的に活躍する奏者。
- ロックやポップでの使用例:ジミー・ペイジ(Led Zeppelin)は「Whole Lotta Love」のライブでテルミンのようなサウンドを使ったことが知られる。ただし「Good Vibrations」のような有名な楽曲では、実際にはテナーなどで作ったエレクトロニック派生楽器(エレクトロテルミン=スイッチャーが作る音)やオンド・マルトノが用いられることが多い。
- 派生楽器:オンド・マルトノやエレクトロテルミン(electro‑theremin/tannerin)は、テルミンと似た音色を出すが操作方式が異なる(スライダーや鍵盤的なコントロールを持つものが多い)。
現代の機種・メンテナンス
現代ではクラシックな真空管式のテルミンからトランジスタやデジタル回路を使ったものまで多様なモデルが存在する。モーグをはじめとするメーカーが安定性を高めた製品を出し、さらにUSBやMIDI出力を備えた機器もあるため、シンセサイザーやDAWと連携して使うことも可能である。保守面ではアンテナの接触不良やシールド、電源の安定化が重要で、演奏環境のノイズ対策(近くに金属物や人体の不意の干渉を避ける)を行うとチューニングが安定する。
まとめ
テルミンは、その触れずに音を生成するユニークな演奏法と独特の音色から、映画音楽や前衛音楽、ポピュラー音楽まで幅広く影響を与えてきた。演奏には高い耳の訓練と繊細な手のコントロールが要求されるが、それが表現の幅を広げる魅力にもなっている。現代では復刻モデルや新設計の機器、ソフトウェアによって入手性も高まり、古典的な用途だけでなく新しい音楽表現の道具としても注目されている。
関連ページ
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質問と回答
Q:テルミンとは何ですか?
A:テルミンは、最初の完全電子楽器の一つです。1920年10月にロシアの発明家レオン・テルミンによって発明され、触れることなく演奏することができます。コントロール部には、演奏者の手の位置を感知する2本の金属アンテナがあり、片方の手で音程を、もう片方の手で音量をコントロールすることができます。
Q:テルミンはどのようにして音を出すのですか?
A:テルミンを演奏するには、演奏者が2本の金属アンテナの周りで手を動かし、電気信号を発生させ、それを増幅してスピーカーに送ります。これにより、ポルタメント、グリッサンド、トレモロ、ビブラートなど、「エイリアン」のような超現実的で不気味な響きを生み出すことができるのです。
Q: テルミンといえば、どんな音楽が連想されますか?
A:テルミンの音は、「呪縛」「失われた週末」「エド・ウッド」「マーズ・アタック!」「地球が静止する日」などの映画のサウンドトラックで使われています。また、芸術音楽(特に前衛音楽と20世紀の「ニューミュージック」)やロックやポップスなどの大衆音楽ジャンルでも使われています。
Q:オーケストラ曲にテルミンのパートを入れた最初の音楽家の一人は誰ですか?
A: ロシアの作曲家ドミトリー・ショスタコーヴィチは、1931年の映画「オドナ」の楽譜をはじめ、オーケストラ曲にテルミンのパートを初めて取り入れた一人です。
Q: テルミンはいつ発明されたのですか?
A: テルミンは、ロシアの発明家レオン・テルミンによって、ロシア内戦勃発後の1920年10月に発明されました。
Q: 発明はどのように行われたのですか?
A: テルミンの発明は、動きを検出する方法を探すことから始まりました。
Q:特定のスタジオや組織で使われていたのですか?A: はい、BBCラジオフォニック・ワークショップで使用されました。これは、世紀半ばに要求された電子音を、サーマンを使って提供したものです。
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