ウェーダー(シギ・チドリ類)とは?分類・特徴・生態・分布を解説

ウェーダー(シギ・チドリ類)の分類・特徴・生態・分布を図解と観察ポイントで詳解。渡りや嘴の機能、保全情報まで初心者から研究者まで必読。

著者: Leandro Alegsa

ウェーダーとは、鳥類学で浅い水域や泥浜を歩き回って採食する鳥類の総称です。英語では「waders」や「shorebirds」と呼ばれ、日本語では一般に「シギ・チドリ類」などとまとめられます。これらはチドリ目(Charadriiformes)に含まれ、沿岸や湿地、浅瀬に適応した種が多くを占めます。Charadriiformes には砂浜や沿岸を利用する種のほか、海を行く海鳥が含まれるなど、系統的・生態的に多様で、その進化の関係は非常に複雑です。

分類と代表群

チドリ目の中でも「ウェーダー」と呼ばれるグループは明確な単系統群というより、生態的なまとまりとして用いられます。代表的な科や群には以下があります。

  • シギ科(Scolopacidae):チュウシャクシギ・オオハシシギ・リトルスティントなど、長い嘴で泥や砂を探る種が多い。
  • チドリ科(Charadriidae):チドリやシロチドリなど、浜辺や泥地で地表の小動物をついばむ種。
  • アジサシ類・カモメ類など(Laridae, Sternidae 等):沿岸生活に適応するが、採餌法や生態でウェーダーと区別されることもある。

形態・大きさ

ウェーダーは形態的に多様ですが、一般的な特徴として細長い脚と嘴を持ち、浅い水中で歩行しながら採食します。嘴の長さや形は種ごとに大きく異なり、これが餌資源の分割(ニッチ分化)に重要な役割を果たします。多くの種は嘴の先端に敏感な神経終末を備え、泥や砂の中に隠れた獲物を触覚で感知します。

大きさの幅は種によって大きく、最小級の種は成鳥で約15〜25 g、全長は約13 cm前後と小型です(例:リトルスティントなど)。対照的に最大級の種では体長が50〜65 cm、体重が約0.6〜1.2 kgに達するものもあり、哺乳類でいう中型程度の重さになる種もあります。

生態・採食

多くのウェーダーは泥や露出した、干潟などで小さな無脊椎動物を食べることが多いですが、採食方法は多様です。

  • 嘴で泥を突いて(プロービング)内部の甲殻類やゴカイ類を採る。
  • 表面をついばんで昆虫や甲殻類を採る。
  • 大型種では昆虫や小型の両生類・爬虫類、場合によっては小型の脊椎動物を捕食することもある。

また、同じ生息地に複数種が共存する場合、嘴の長短や採餌時間帯の違いによって直接競合を避ける工夫が見られます。

繁殖・生活史

多くのウェーダーは地表に巣を作る(地面に浅い窪みを掘るか草むらに産む)ため、卵や雛は外敵から見つかりにくいカモフラージュ色をしています。繁殖形態は種によって差があり、求愛行動や縄張り行動、時には集団繁殖を行う種もあります。雛は生まれてすぐに歩き回って餌を自分で採ることができる「巣立ち性(プレコシャル)」が一般的です。

分布と移動

ウェーダーは世界中の沿岸、湿地、河口、湖沼の浅瀬に分布し、北極温帯に繁殖地を持つ種は移動性が強いものが多いです。熱帯の種は比較的定住性が強い傾向にあります。例えば北極圏で繁殖する種の多くは、非繁殖期に数千キロを移動して南半球で越冬する長距離渡り鳥になります(リトルスティントなどはその一例です)。

保全状況と脅威

多くのウェーダー種は干潟や塩性湿地に依存しており、これらの生息地の破壊・埋立て、沿岸開発、汚染が深刻な脅威となっています。その他の脅威には以下が挙げられます:

  • 越冬地や中継地の喪失(干潟の埋立てなど)
  • 狩猟や乱獲
  • 気候変動による生息地の変化(海面上昇や季節変動の変化)
  • 外来捕食者や人間活動による繁殖成功率の低下

このため、主要な越冬地・中継地は国際的に保全対象とされることが多く、ラムサール条約や各国の保護政策、渡り鳥保護のための国際協力が重要です。

観察のポイント

  • 潮汐の低い時間帯に干潟や砂浜で多く見られる。
  • 嘴の長さや形、歩き方、採餌の仕方で種の識別がしやすい。
  • 渡りの時期には多種が一斉に集まるため、観察・同定に富んだ機会となる。

ウェーダーは生態系の健康指標ともなり得る重要なグループです。干潟や湿地の保全は彼らの保全のためだけでなく、多くの生物多様性と人間社会にとっても重要です。

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満潮時に浜辺でねぐらをするウェーダー

質問と回答

Q: ウェーダーとは何ですか?


A: 鳥類学の用語で、浅瀬を歩き回る鳥のことです。水鳥の仲間で、シギ・チドリ目と呼ばれることもあります。

Q: ほとんどの渉禽類はどこに住んでいるのですか?


A: ほとんどの渉禽類は、湿地帯や海岸に生息しています。

Q: 異なる種類の渉禽類は、どのようにして餌を争うことなく食べているのですか?


A: 嘴の長さが異なるため、同じ生息地で餌を直接争うことなく餌を食べることができます。多くの渉禽類は嘴の先に敏感な神経があり、泥や柔らかい土の中に隠れた獲物を見つけることができます。

Q: このグループの中で最も小さいものは何ですか?


A:このグループの最小の仲間はハマシギで、小さな成鳥は体重15.5g、大きさは13cm強になります。

Q: 最大の種は何だと思われますか?


A: 最大の種は、約63cm、860gのFar Eastern Curlewと考えられています。

Q:この中で最も重いとされる鳥は何ですか?


A:これらの種の中で最も重いとされているのはビーチシックニーで、体重は約1kgです。

Q: 北極圏や温帯域の鳥の多くは渡り鳥なのでしょうか?


A:はい、北極圏や温帯域の鳥は渡りが強い種が多いですが、熱帯の鳥は留鳥になることが多いようです。北極圏の種の中には、リトルスティントなどのように、非繁殖期を南半球で過ごす長距離移動性の種もいます。


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