"Waltzing Matilda "は、オーストラリアで最もよく知られている曲のひとつである。田舎の民謡であるブッシュバラッドは、「オーストラリアの非公式な国歌」と呼ばれている。タイトルの「ウォルツィング・マチルダ」とは、オーストラリアのスラングで、背中に背負った「マチルダ」(バッグ)に荷物を入れて、仕事を探しながら田舎を歩くことを意味している。

この歌は、旅する農夫がブッシュ・キャンプでお茶を飲みながら、食べるために羊を捕まえるというストーリーである。羊の持ち主が3人の警官を連れてやってきて、羊を取った罪(絞首刑)で労働者を逮捕しようとすると、労働者は小さな水飲み場で自殺してしまう。その労働者の亡霊は、今でもこの場所に取り憑いている。

この曲の歌詞は、1895年に詩人で民族主義者のバンジョー・パターソンが書いたものである。初めて楽譜として印刷されたのは1903年のことである。この曲には様々な物語があり、どのようにして作られたのかということも知られている。クイーンズランド州ウィントンにあるウォルツィング・マチルダ・センターには、この曲の博物館がある。

言葉と登場人物の意味

歌に出てくる用語は当時のオーストラリア独特のスラングや田舎暮らしの語彙を多く含みます。主要な語の意味は次のとおりです。

  • Swagman(スワッグマン)/旅する労働者:旅をしながら日雇い仕事を探す男性。背中に「swag(スワッグ)=寝具や所持品をくるんだ包み」を背負っている。
  • Matilda(マチルダ):ここではスワッグの女性名的な呼び方。旅の荷物そのものを擬人化した表現。
  • Jumbuck(ジャンバック):羊(この歌では盗まれた羊を指す)。
  • Billabong(ビラボング):オーストラリアの一時的な水たまりや水飲み場、曲の決定的な舞台。
  • Billy(ビリー):野外で使うやかん。茶を沸かす小物。

歌詞のあらすじと主題

物語は簡潔で象徴的です。スワッグマンがビラボングのそばで休み、ビリーでお茶を煮ていると、ジャンバック(羊)を見つけて食べることを考えます。羊の所有者がやって来て、警官(troopers)を呼び、スワッグマンを捕まえようとします。捕縛されそうになったスワッグマンはビラボングに身を投げ、自殺します。最後にその霊がビラボングに取り憑いているという古い民話的な結末で、自由や貧困、法と権力の対立、そしてブッシュの孤独が暗示されています。

旋律の起源と成立過程

歌詞は1895年にバンジョー・パターソンが書きましたが、その旋律の起源については複数の説があります。旋律を提供したとされるのはクリスティーナ・マクファーソン(Christina Macpherson)で、彼女があるメロディーを弾き、それを聴いたパターソンが歌詞を書き留めたという有力な伝承があります。具体的にどの伝統曲が原形になったかは研究者の間でも意見が分かれており、スコットランドやアイルランド、英国の民謡に似ているという指摘がある一方で、完全に同一の原曲を特定することはできていません。

出版と普及、文化的意義

1903年の楽譜出版以降、Waltzing Matildaはラジオ、レコード、映画、演劇などを通じて広く知られるようになりました。第一次世界大戦時には兵士たちの愛唱歌となり、オーストラリア人のアイデンティティを象徴する曲としても受け止められてきました。そのため「非公式の国歌」と呼ばれることがあり、スポーツイベントや公式行事でも演奏されることがあります。

異なる版本と議論

歌詞や歌い方には多くのバリエーションが存在します。時代や地域、演奏者によって節の順序や言い回しが変わり、さらに子ども向けに暴力的な要素を和らげた改訂版も作られています。旋律の起源やクレジットを巡る議論、商業利用に関する著作権の扱いなど、学術的・法的な関心も絶えません。

ウォルツィング・マチルダ・センターと記念

クイーンズランド州ウィントンのウォルツィング・マチルダ・センターは、この歌の歴史や関連資料を展示する博物館で、歌にまつわる物語や当時の生活文化、資料映像などを通じて来訪者に解説しています。曲の成立背景や地域史を学ぶ場として人気があります。

なぜ今も歌い継がれるのか

Waltzing Matildaが今日まで歌い継がれている理由は、旋律の覚えやすさ、簡潔で心に残る物語、そして「孤独な旅人」や「自然と人間の関わり」といった普遍的なテーマがあるためです。国や世代を超えて共感を呼ぶ要素が多く、オーストラリア文化の象徴として今も演奏され続けています。