ウェールズ語の正書法 アルファベット・ジグラフと発音符号の解説

ウェールズ語の正書法を詳解 アルファベット28文字と8つのジグラフの扱いから jやkの歴史的用法とサーカムフレックスなど発音符号の読み方まで分かりやすく解説

著者: Leandro Alegsa

ウェールズ語は、ラテン語のアルファベットを用いて書かれます。伝統的には、単独の文字とみなされる8つのジグラフ(合字)を含めて合計で28文字と数えられることが多いです。


a, b, c, ch, d, dd, e, f, ff, g, ng, h, i, (j), l, ll, m, n, o, p, ph, r, rh, s, t, th, u, w, y


アルファベットとジグラフ(合字)

上の一覧に示したように、ウェールズ語では ch, dd, ff, ng, ll, ph, rh, th の8つのジグラフが、伝統的に一つの文字として扱われます。たとえば辞書や姓名の配列などでこれらを一文字として照合する慣例があります。括弧付きの (j) は歴史的には外来語に限られる文字で、現在はアルファベット順では通常 英語に倣って il の間に置かれることが多くなっています(特に苗字の Jones など)。

子音の特徴的な発音

  • ch:ドイツ語の「Bach」やスコットランド英語の「loch」に近い無声軟口蓋摩擦音 /x/。
  • dd:英語の "this" に相当する有声音の歯摩擦音 /ð/。
  • ff:英語の /f/。一方で単字の f は /v/ を表します(例:ffenestrfenestr で区別)。
  • ll:無声側面摩擦音。舌の両側から空気を抜く特徴的な音で、英語に直接対応する音はありません(説明的に「無声のl」と表現されます)。
  • ng:英語の "sing" の最後の音のような軟口蓋鼻音 /ŋ/。語頭に来ることもあります(例:ng で始まる単語)。
  • ph:主に外来語で /f/ を表す(例:phone 系の語)。
  • rh:有声の r に対して無声で発音される(/r̥/ に近い)、息を伴う r 音。
  • th:英語の "thin" に近い無声歯摩擦音 /θ/。

外来文字と歴史的変化

借用語や専門用語では、kvxz といった文字が見られます(例:キログラムボルトゼロ などの表記)。ただし伝統的な綴りや慣用形では、これらはしばしばウェールズ語の文字で置き換えられます。一般的な置換の例としては、k → cv → fx → csksz → s のような傾向があり、完全に統一されているわけではありません。

16世紀までは k がよく使われていましたが、ウェールズ語訳の新約聖書(編訳者のウィリアム・セールスベリーら)を巡る印刷上の事情などもあって、当時 c を用いる形が広まりました。セールスベリーは批判に対して「C for K, because the printers have not so many as the Welsh requireth」と述べたと伝えられます。この変更は当時一部で賛否がありましたが、その後の慣習に影響を与えました。

母音と発音記号(アクセント)

ウェールズ語では wy がしばしば母音として機能します(例:cwm /kuːm/、ty など)。母音の長短や音価は方言や位置によって変わります。

最も一般的に使われる発音記号は circumflex(抑揚記号)で、â, ê, î, ô, û, ŵ, ŷ のように母音の上に付いて長音(あるいは区別のための特殊な音価)を示します。ほかにアキュート(´)、グレーブ(`)、ウムラウト(¨)などの記号がまれに用いられ、外来語や発音の区別を示す目的で用いられることがあります。

まとめと参考

  • ウェールズ語の綴りはラテン文字を基礎とするが、独自のジグラフや音韻特徴を持つ。
  • ジグラフは辞書や辞典で一文字として扱われることがあるため、配列や索引では注意が必要。
  • 抑揚符号(circumflex など)は母音の長さや発音を明示するために重要。
  • 外来語には英語由来の文字が入るが、伝統的にはウェールズ語の文字に置き換えられる場合がある。

詳細な発音や方言差、歴史的変化については専用の音声教材や辞書で確認すると実用的です。

質問と回答

Q: 伝統的なウェールズ語のアルファベットは何文字ですか。
A: ウェールズの伝統的なアルファベットは28文字です。

Q: ウェールズのアルファベットではどの文字がダイグラフとして扱われますか?


A: ウェールズ語のアルファベットでは、ch, dd, ff, ng, ph, rh, th, ll が1文字として扱われます。

Q: "j "はウェールズ文字に含まれますか?


A: "j "は伝統的にウェールズ語のアルファベットに含まれていませんが、英語からの借用語に使われているため、現在ではしばしば含まれています。

Q: ウェールズ語の専門用語にはどの文字が使われていますか?


A: "k"、"v"、"x"、"z "はウェールズ語の専門用語に使われています。

Q: ウェールズ文字は "k"、"v"、"x"、"z "の代わりに使えますか?


A: はい、ウェールズ文字はしばしば "k"、"v"、"x"、"z "を置き換えることができます。

Q: ウェールズ語のアルファベットから "k "が削除されたのはなぜですか?


A: ウェールズ語の新約聖書が出版された時、印刷業者が十分な "k "の文字を用意できなかったため、"k "はウェールズ語のアルファベットから取り除かれました。

Q: ウェールズ語で最もよく使われる発音区分は何ですか?


A: ウェールズ語で最もよく使われる発音区分符号はサーカムフレックスです。


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