ウェスト・ミッドランズ郡は、イングランド中西部に位置する都市圏の郡で、人口は約260万人です。バーミンガムコヴェントリーウォルバーハンプトンの3つの大都市を擁する。また、サットン・コールドフィールドソリハルダドリー、ウォルソール、ウェスト・ブロムウィッチといったブラックカントリーの町もある。

また、「ウェスト・ミッドランズ」という名称は、もっと大きなウェスト・ミッドランズ地方にも使われているため、ときどき混同されることがある。

構成と位置

郡は7つのメトロポリタン・バラ(大都市バラ)から成る。中心都市のバーミンガムと、コヴェントリー、ダドリー、サンドウェル(中心はウェスト・ブロムウィッチ)、ソリハル、ウォルソール、ウォルバーハンプトンである。四方をスタッフォードシャー、ウォリックシャー、ウスターシャーに囲まれ、内陸の要地に位置する。

  • バーミンガム:商業・金融・文化の中心。運河網と再開発が進む都市景観が特徴。
  • コヴェントリー:自動車・先端製造業の拠点。第二次世界大戦の空襲と再建で知られる。
  • ウォルバーハンプトン:工業とサービス業が混在する都市。
  • ダドリー/サンドウェル/ウォルソールブラックカントリーの核。金属加工・製造業の歴史が色濃い。
  • ソリハル:住宅地とビジネス地区が広がり、バーミンガム空港や展示施設が立地。

地理と景観

郡域は緩やかな高原地形(バーミンガム台地)が広がり、テーム川支流のタム川やリア川、ストー川などが流れる。英国有数の運河網が市街地を縫い、産業遺産と観光資源の両面で重要である。広大な自然保護区サットン・パーク、リッキー・ヒルズやクレント・ヒルズなど、都市近郊で自然に触れられる緑地も多い。

歴史

産業革命期に金属加工・機械・ガラスなどの重工業が発展し、バーミンガムは「世界の工場の作業場」と呼ばれた。コヴェントリーは自動車・自転車産業で栄えたが、戦時中の空襲(コヴェントリー・ブリッツ)で大きな被害を受け、戦後に再建された。1974年の地方行政再編で現在の郡が成立し、1986年に郡議会が廃止されて以降は各バラが実質的な単一自治体として行政を担っている。2022年にはバーミンガムを中心にコモンウェルスゲームズが開催され、都市再生と交通整備が加速した。

行政と広域連携

郡内の広域政策はウェスト・ミッドランズ・コンバインド・オーソリティ(WMCA)が担い、選挙で選ばれる広域市長が交通、経済、都市計画などを統括する。警察はウェスト・ミッドランズ警察、消防はウェスト・ミッドランズ消防が担当。交通計画と運営はTransport for West Midlands(TfWM)が所管する。

経済

  • 製造業・モビリティ:自動車、金属加工、航空宇宙、電動化技術が強み。ソリハルやバーミンガム周辺には大手自動車関連の拠点が集積する。
  • ビジネス・サービス:バーミンガム中心部に金融・法律・コンサルティング企業が集まり、オフィス市場が拡大。
  • MICE・観光:国際見本市施設NECやアリーナ群、商業施設が空港周辺に集中。ブラックカントリーの産業遺産や運河観光も人気。
  • クリエイティブ・テック:ディグベスなどでゲーム、映像、デザイン分野が成長。

交通

  • 空港:バーミンガム空港(ソリハル)は欧州・中東を中心に各地と接続。
  • 鉄道:バーミンガム・ニューストリート、ムーアストリート、スノーヒルが主要駅。ロンドン、マンチェスター、ブリストル、スコットランド方面への幹線が集まる。
  • 都市交通:ウェスト・ミッドランズ・メトロ(路面電車)がバーミンガムとウォルバーハンプトンを結び、延伸が進む。バス網はTfWMが統括。
  • 道路:M5・M6・M42・M54などの高速道路が放射状に走り、グラヴェリー・ヒル・インターチェンジ(通称スパゲッティ・ジャンクション)が有名。
  • 高速鉄道計画:HS2第1期で、バーミンガム中心部のカーズン・ストリート駅とソリハルのインターチェンジ駅の開業が見込まれている。

教育・研究

大学・高等教育機関が集中し、地域のイノベーションを支える。主な大学に、バーミンガム大学、アストン大学、バーミンガム・シティ大学、ウォルバーハンプトン大学、コヴェントリー大学、ウォリック大学(キャンパスの一部はコヴェントリー市域)がある。工学、医療、データサイエンス、製造分野の研究拠点が多数立地する。

文化・スポーツ・見どころ

  • 文化施設:シンフォニー・ホール、バーミンガム・ミュージアム&アートギャラリー、バーミンガム・ロイヤル・バレエ、CBSO(市響)。
  • 歴史・博物館:コヴェントリー大聖堂(旧聖堂と新聖堂)、コヴェントリー交通博物館、ブラックカントリー・リビング・ミュージアム(ダドリー)。
  • スポーツ:エドバストン・クリケット・グラウンド、サッカーのアストン・ヴィラ、バーミンガム・シティ、ウォルバーハンプトン・ワンダラーズ、ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン、ウォルソールFCなど。
  • 運河と緑地:市中心部の運河散策、サットン・パークや周辺丘陵でのアウトドア。

人口と多様性

移民受け入れの歴史が長く、南アジア系、カリブ系、東欧系など多様なコミュニティが共生する。宗教もキリスト教、イスラム教、シク教、ヒンドゥー教など幅広く、祭礼や食文化が街の魅力を形づくっている。多言語環境の学校や地域サービスも整備が進む。

名称の使い分け

ウェスト・ミッドランズ郡は上記の7バラから成る行政単位である。一方、ウェスト・ミッドランズ地方にもという表現が示すウェスト・ミッドランズ地方は、さらに広い統計上・計画上の地域で、ヘレフォードシャー、シュロップシャー、スタッフォードシャー、ウォリックシャー、ウスターシャー、そして本郡を含む。文脈によって指す範囲が異なるため、区別して理解するとよい。