ウールワース・ビルディングは、アメリカ・ニューヨーク市にある超高層ビルです。高さ241メートル(792フィート)、57階建てで、1913年に竣工しました。当時の技術(鉄骨構造と高速エレベーター)を駆使した先進的な建築であり、完成当時は世界で最も高いビルのひとつとして注目を集めました。
建設と依頼者
このビルは、実業家フランク・ウィンフィールド・ウールワースが、自身の小売チェーンF.W.ウールワース・カンパニーの本社兼投資物件として建設を望んだものです。設計を担当したのは建築家のキャス・ギルバート(Cass Gilbert)で、豪奢さと商業的威信を示す意図で設計されました。建設費は当時の大金で賄われ、完成後は「Cathedral of Commerce」(商業の大聖堂)と称されるほど壮麗な外観と内部装飾が話題になりました。
建築様式と特徴
ウールワース・ビルはネオ・ゴシック(新ゴシック)様式を採用しており、尖塔状の塔屋、彫刻的な装飾、ゴシック風の窓廻りやピナクル(小尖塔)など、教会建築を想起させる意匠が随所に見られます。構造は鉄骨フレームで、外装にはテラコッタや石材による繊細なモールドが施され、遠景でも豊かな装飾が映えるよう設計されています。
内部では大理石や装飾モザイク、天井の彫刻など豪華な仕上げが施されたロビーが知られており、当時のクラフトマンシップを今に伝える重要な空間となっています。ロビーは現在でも一般に開放されており、建築史や装飾芸術を目当てに訪れる人が多いです。
歴史的意義とその後
ウールワース・ビルは1913年の完成後、1930年まで世界で最も高いビルでした。1913年にその地位を得てから、メトロポリタン生命保険会社のタワーに代わって高層化競争の象徴となり、やがてその17年後には、マンハッタン銀行ビル(現在のトランプビル)が世界一となりました。
歴史的・建築的価値が高く評価され、外観や主要な内部空間は保護・保存の対象となっています。現代ではオフィス用途が中心ですが、一部は住宅や商業施設として再利用・改修されるなど、用途の多様化が進んでいます。
主なデータ
- 所在地:マンハッタン、ブロードウェイ沿い(ロウアー・マンハッタン)
- 竣工:1913年
- 高さ:241メートル(792フィート)
- 階数:57階
- 設計者:キャス・ギルバート(Cass Gilbert)
- 依頼者:フランク・ウィンフィールド・ウールワース(F.W. Woolworth)
ウールワース・ビルディングは、近代高層建築の先駆けとして、また都市景観の象徴として今日でも高い関心を集めています。見学の際はロビーや公開スペースを中心に、当時の装飾や細部意匠を確認してみると良いでしょう。




