デレン・ビクター・ブラウンDerren Victor Brown、1971年2月27日生まれ)は、イギリスのマジシャン、心理的イリュージョニスト、いわゆる「メンタリスト」、および画家です。ロンドン南部のクロイドンで生まれ、ブリストル大学では法律ドイツ語を学びました。1996年に本格的にステージショーを始め、その後も舞台公演、テレビ番組、書籍を通して広く知られるようになりました。パフォーマンスでは、近接して行う「クローズアップ・マジック」や観客一人一人と密接に関わる演出を得意とし、暗示や注意の逸らし(ミスディレクション)、コールド・リーディングなど、心理学的手法を巧みに組み合わせて観客の認知や判断を操るスタイルが特徴です。

代表的なテレビ番組には、Trick of the MindTrick or TreatThe Systemなどがあり、いずれもチャンネル4で放送されました。これらの番組ではトリックの披露にとどまらず、人間の判断や群集心理を題材にした社会実験的な企画、霊能力や超常現象の検証、視聴者参加型の仕掛けなどを通じて、観客に思考の盲点やバイアスを意識させることを目的としています。彼はまた複数のステージツアーや特別番組、書籍(例:自身の考えやテクニックを解説した著作)も発表しています。

ブラウンは公然とゲイです。かつては10代のころに福音派のクリスチャンだったものの、20代で無神論者になったことを公言しています。彼は自らの変化について、特別番組「The Messiah」や著書Tricks of the Mindなどで語っており、リチャード・ドーキンスの二部構成ドキュメンタリー「理性の敵」の一部として行われたインタビューでは、霊媒師やサイキックが聴衆を操作するために使うさまざまな心理的テクニックを説明しました。ブラウンはまた、聖書やその他の宗教文献を読み、自分の信仰に関する疑問を検証しようとしたが、求めていた答えは見つからず、結果的にキリスト教的信念には十分な根拠がないとの結論に至ったと述べています。

彼の仕事は高い評価を受ける一方で、論争や批判も伴ってきました。観客や被験者の同意の取り扱いや、心理的影響の問題、あるいは「仕掛け」を用いて人々を誤導することへの倫理的懸念などが指摘されることがあります。同時にブラウンは科学的懐疑主義と批判的思考の普及にも貢献しており、超常現象や詐術に対する啓蒙活動的な側面も持っています。

現在も舞台とテレビを中心に活動を続け、トリックの技術だけでなく、人間の認知や意思決定に関する示唆を与える表現者として国際的に知られています。パフォーマンス、書籍、メディア出演を通して、観客に「考えることの大切さ」を問いかける存在と言えるでしょう。