グスターボ・ドゥダメル — ベネズエラ出身の指揮者・ヴァイオリニスト、ロサンゼルス・フィル音楽監督
グスターボ・ドゥダメル—ベネズエラ出身の世界的指揮者・ヴァイオリニスト。ロサンゼルス・フィル音楽監督としての軌跡、革新的な指揮と教育活動を紹介。
グスターボ・ドゥダメル(Gustavo Dudamel)は、1981年1月26日、ベネズエラ・ララ州バルキシメト出身の指揮者、ヴァイオリニスト。幼少期からベネズエラの青少年音楽教育制度「エル・システマ(El Sistema)」で音楽教育を受け、若くして国内のユースオーケストラを率いることで注目を集めた。特に、オルケスタ・シンフォニカ・シモン・ボリヴァルの指揮者として国際的に名声を得た。
経歴と主要な歩み
2004年に開催された国際指揮者コンクール(Gustav Mahler Conducting Competition)で優勝して国際的に注目され、その後ヨーロッパや北米の主要オーケストラに客演する機会が増えた。2009年にはロサンゼルス・フィルハーモニックの音楽監督に就任し、以降同楽団の音楽監督として多彩なプログラムを展開している。
また、スウェーデンのヨーテボリにあるヨーテボリ交響楽団の首席指揮者を務めるほか、故郷ベネズエラの音楽振興に関わり続け、シモン・ボリバル交響楽団の芸術監督としても活動している。
演奏・録音・社会活動
ドゥダメルは情熱的でエネルギッシュな指揮ぶり、幅広いレパートリー、そして若手育成と社会貢献へのコミットメントで知られる。ベートーヴェンやマーラーなどの西欧のクラシック作品に加え、ラテンアメリカの作曲家の作品や現代音楽の紹介にも力を入れている。世界各地の主要オーケストラや歌劇場への客演、国際音楽祭での出演、商業録音(メジャーレーベルでのアルバム)やツアーも多数行っている。
特にエル・システマ出身者として、音楽教育と社会変革を結びつける活動を継続しており、若い演奏家の育成、教育プログラムの支援、コミュニティ向けのコンサートなどを通じてクラシック音楽の普及に努めている。
評価と影響
ドゥダメルはそのカリスマ性と音楽に対する誠実さで国際的な評価を受け、現代のクラシック音楽界における最も影響力のある指揮者の一人と見なされている。コンサートホールでの表現力、若手育成への情熱、そして多様な聴衆に向けたプログラム構成が、高く評価されている。
人生とキャリア
ドゥダメルはベネズエラのバルキシメトで生まれた。父親はトロンボーンを演奏していた。幼い頃から音楽を学び、10歳のときにヴァイオリンを習う。作曲も学んだ。ベネズエラのエル・システマ(貧しい家庭の子どもたちに楽器を習わせるための組織)に参加するようになる。ハシント・ララ音楽院、ラテンアメリカ・バイオリン・アカデミーに進学し、バイオリンを学ぶ。
1995年から指揮の勉強を始める。1999年、ベネズエラの国立青少年オーケストラであるシモン・ボリバル交響楽団の音楽監督に就任し、数カ国をツアーで回る。
ドゥダメルは、指揮者として多くの賞を受賞した。すぐに有名になり、フィルハーモニア、イスラエル・フィルハーモニー、ロサンゼルス・フィルハーモニーを指揮するようになった。ドイツ・グラモフォンとレコーディング契約を結ぶ。2006年11月、ミラノ・スカラ座で「ドン・ジョヴァンニ」を指揮。2007年9月10日、ルツェルン音楽祭でウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を初指揮。2008年3月、サンフランシスコ交響楽団を初めて指揮した。
2005年、ネーメ・ヤルヴィの病気療養中、BBCプロムスで指揮。ヨーテボリ交響楽団の首席指揮者に就任。現在もシモン・ボリバル国立青少年オーケストラを指揮する。
2005年、ハリウッド・ボウルでロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団を初めて指揮。2009年、ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任。
2007年4月16日、グスターボ・ドゥダメルはシュトゥットガルト放送交響楽団を指揮し、ローマ法王ベネディクト16世の80歳の誕生日を祝うコンサートに、ヒラリー・ハーンをソロバイオリン奏者として招きました。コンサートにはローマ法王もいらっしゃいました。
ドゥダメルとエル・システマを描いたドキュメンタリー映画「Tocar y Luchar」が制作された。
私生活
ドゥダメルは、ベネズエラのバレエダンサーでありジャーナリストのエロイサ・マトゥレンと結婚している。

グスタボ氏と妻のエロイサ・マトゥレンさん
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