概要

『青ひげ』は、1972年のホラー映画で、エドワード・ドミトリクが監督を務めた。よく知られた民話を、豊かな映像美を備えた映画的な時代劇ドラマへと置き換えている。脚本は、シャルル・ペローによる原典の「秘密」と「禁じられた部屋」という中心的な設定を土台にしつつ、物語をより雰囲気のある成人向けの作品へ広げている。制作は多国籍の欧州合作で、一般にはイタリア・ドイツ・フランス合作と説明される。

制作と主要キャスト

この企画は、確立されたハリウッドの監督と著名な映画スターを組み合わせ、娯楽性の高いジャンル映画に上質な風格を与えようとした。題名役を演じるのはリチャード・バートンで、その存在感が中心人物に重みを与えている。ラクエル・ウェルチも共演し、宣伝面では彼女のスター性が大きく生かされた。脇を固める俳優にはジョーイ・ヘザートン、シビル・ダニング、ジャン・ルフェーブルが含まれる。完成作は、アメリカでは Cinerama Releasing Corporation によって配給された。

様式、主題、翻案

この映画は原作の忠実な再話ではなく、ペローの物語を、秘密、執着、不信といったホラーやメロドラマに適した主題を描くための出発点として用いている。映像面では、時代考証に基づく美術、衣装、ろうそくの灯る室内が重視され、ゴシックな雰囲気が強調される。物語は、1970年代初頭の欧州ホラーにしばしば見られる心理的な脅威と官能的な緊張を前面に出し、鍵のかかった部屋や過去の罪の暴露といった民話由来の象徴的モチーフで筋を進めていく。

配役と注目点

  • リチャード・バートン — 主演として、敵役に演劇的な重みを与える。
  • ラクエル・ウェルチ — 高い知名度を持つ共演者として、華やかさと人気をもたらす。
  • ジョーイ・ヘザートン、シビル・ダニング、ジャン・ルフェーブル — 作品の社会的な世界を形づくる脇役。

評価と遺産

公開時の批評は賛否が分かれた。制作価値や演技を評価する声がある一方で、進行のテンポや、芸術性のある時代劇と搾取的なホラーのあいだでの調子の不一致を批判する意見もあった。その後、この作品は1970年代欧州ホラーに関心を持つジャンル史研究者や、バートンやウェルチのような著名スターがこうした作品に起用された経緯に注目する人々の間で取り上げられてきた。文学翻案、スター像、国際共同制作における上質さと大衆娯楽の融合を語る際の参照点であり続けている。

注目すべき点

この映画は、青ひげ伝説の映画的再構成を考える際にしばしば挙げられる作品であり、エドワード・ドミトリクが監督した比較的後期の一般向け作品の一つでもある。国際的な制作背景は、当時の欧州合作でよく見られた慣行を示しており、複数市場への訴求を目指して資金と国際スターを結集していたことが分かる。